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意外と知らない「社外取締役」の役割と選任が必要なケース

2024.06.18

3. 社外取締役の選任が必要なケース

監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社では、社外取締役の設置が義務付けられています(会社法331条6項、400条3項)。

また、監査役会設置会社かつ大会社である公開会社(上場会社)にも、社外取締役の設置が義務付けられています(会社法327条の2)。

さらに、その他の上場会社についても、各証券取引所の上場規則において社外取締役の設置が求められています(東京証券取引所の有価証券上場規程436条の2、437条の2)。

したがって、上場会社や上場を目指す会社においては、社外取締役の設置が必須です。

社外取締役の設置義務がない会社でも、取締役が有するスキルを多様化し、ガバナンスを強化する観点からは、社外取締役を設置することが効果的と考えられます。

4. 社外取締役の選び方

社外取締役には最低限、財務・会計・法務を含めた企業経営に関する基礎的な知識・知見が求められます。

ただし、社外取締役は細かい業務執行に関与しないので、経営にすごく詳しいことが必須というわけではありません。

社外取締役に対して特に期待すべきなのは、既存の取締役に足りない能力や経験と、経営陣を適切に監督する高い倫理意識です。

能力や経験に関しては、既存の取締役のスキルを一覧表にまとめた上で、足りない部分を確認し、そのスキルに焦点を当てて社外取締役の人選を進めるのがよいでしょう。

また、経営陣の監督の観点からは、経営陣と過度に親しい人を避けつつ、過去に社外取締役を務めた実績や、弁護士・公認会計士などの資格を有する人を中心に選ぶことが望ましいです。

また、他社の役員との兼職状況についても確認しましょう。

あまりにも多くの役員を兼職していると、社外取締役としての業務に十分な時間を割くことができず、適切に役割を果たせないおそれがあります。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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