アクセンチュアはこのほど、日本を含む世界12カ国19,000人の消費者を対象に実施した最新調査の結果を発表した。
顧客獲得と収益向上にむけて、企業は生成AIを活用し、購買体験全体の改善が必要
日本を含む世界12カ国19,000人の消費者を対象にしたアクセンチュアの最新調査では、「情報過多」の問題が浮き彫りになった。消費者の73%は選択肢が多すぎると思っており、また75%は大量の広告に圧倒されているように感じていると回答している。結果として、2023年10月から12月にかけての3カ月間で、74%の消費者が、商品を購入しようとしていたのにもかかわらず、途中で買うことをやめていたことがわかった。
この調査レポート「The empowered consumer」では、小売、旅行、消費財業界における消費者の購買体験に関する、新たな気づきを提供している。本レポートは、相反する主張やメッセージ、広告、選択肢、レコメンデーション、アルゴリズム、アプリを通じた、意思決定に関わる「ノイズ」を減らし、エンゲージメントやロイヤリティ、売上を向上させるために、生成AIによる変革力の活用がブランドにとって急務であることを強調している。
調査では、71%の消費者が、購入の決定に必要な時間や労力は改善されていない、あるいはむしろ増えていると感じていることも判明した。「難しくなった」と回答したのは41%、「改善されていない」が30%で、一方で必要とする時間や労力が減ったと感じる人は29%となった。
生成AI時代におけるリインベンション(再創造)
本レポートでは、生成AIやその他のテクノロジー、新たな働き方などが消費者のブランドに対する考え方を変えると指摘している。企業は、ディスカバリー(認知)、コンバージョン、ロイヤリティにおいて根本的な転換を図り、意思決定プロセスや消費者との関係、また消費者の生活における役割を再創造できる。ビジネスのあらゆる側面で、迅速かつ大規模に生成AIを活用しようとするB2C(消費者向け)企業にとって、早期参入の優位性は特に重要になる。
アクセンチュアのシニア・マネジング・ディレクター兼消費財・サービス業界プラクティスのグローバル・リードであるオリバー・ライト氏は、次のように述べている。
「消費者が生成AI技術を活用することで、今後3年間のうちに、消費者の購買行動において数十年に一度の大変革が訪れると考えられます。消費者は、商品や体験について調べたり、購入したりする際に、会話型生成AIソリューションを利用する意向を示しています。こうしたツールは、これまで購入の決定を促してきたセールスやマーケティングのメッセージに切り込んで来ます。これはB2C企業にとって、市場シェアを獲得するか失うか、近年まれにみる非常に重要な局面となるでしょう。」
本レポートによると、消費者が一層負荷の軽減を求めるなか、その一部として生成AIの活用を模索しつつある。アクセンチュアは、各業界の経営幹部との対話をもとに、消費者が今後2年間で生成AIを活用した「アドバイザー」を急速かつ大規模に活用するようになると予測している。実際、調査回答者の51%が、会話型AIソリューションの利用に前向きだと回答している。
前述のライト氏はまた、次のように述べている。「生成AIは、1週間の予算内に収まる家族の食事、個々人のニーズに対応したスキンケア、食事制限に合ったサンドイッチなど、消費者にとって真に関連性の高いレコメンデーションを瞬時に提供できるポテンシャルを有しています。」
また、本レポートでは、生成AIを活用して、核となる業務プロセスを全体的に見直し、提供価値を大幅に向上させることの重要性も強調している。
※この調査レポート「The empowered consumer」はこちらよりご覧いただけます。(英語)
出典:アクセンチュア
構成/こじへい