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「違和感を感じる」というフレーズを見聞きして、不自然さを感じたことはないだろうか。間違いだと知らずに、つい使ってしまうことも多い。
結論としては適切でない表現なので、本記事を通して正しく理解しよう。意味や例文、注意点、類義語も解説するので、最後までご覧いただきたい。
「違和感を感じる」の意味とは?
「違和感を感じる」は、自身の感覚が現状と違うことを意味する。また辞書で「違和感」を引いてみたが、意味は以下の通り。
しっくりしない感じ。また、ちぐはぐに思われること。「初めて会う人なのに—もなくうちとける」 引用:デジタル大辞泉(小学館) |
なお、雰囲気に疑問を呈する時など、ネガティブなシーンに用いられやすいのも覚えておこう。では引き続いて、重複になるかどうかも見ていこう。
■「違和感を感じる」は二重表現になる?
「違和感を感じる」という表現は、実は二重表現である。これは「違和感」という言葉自体に「しっくりこない感じ」という意味が含まれているためである。そのため、「違和感を感じる」とは「しっくりこない感じを感じる」という意味になり、同じことを二度言っていることになる。
例えば、「旅行に行く」という表現を考えてみると、「旅行」自体に「行く」という意味が含まれているので、「旅行に行く」も厳密には二重表現になる。しかし、多くの人が日常的に使っているため、違和感を覚える人は少ないだろう。
同様に、「違和感を感じる」という表現も多くの人に使われているが、正確な日本語を使いたい場合には避けるべき表現である。
代わりに、「違和感がある」や「違和感を覚える」という表現を使うと良いだろう。
「違和感を感じる」の使い方と例文
「違和感を感じる」はそのまま使えないため「違和感がある」を用いた例文を紹介していく。ビジネスのみならず、さまざまな場面で使えるので早速見ていこう。
■ビジネスシーンにおける例文
例文は以下の通り。
・「営業部長がプレゼンで採用した資料には、どうも違和感がある」
このように「違和感がある」と表現することで、矛盾を感じた場合の適用性が高くなる。営業のみならず、さまざまな職種で活用できる。
■購入者が商品を手にした際の例文
商品購入者がコメントする際の例文は以下の通り。
・「旧モデルを改良したという新作だけど、本当なのかどうも違和感がある」
購入前と購入後の心境の違いを明確に示している。商品はさまざまなカテゴリーがあるため、ファッション分野や製品の車、工具などに使える便利な表現だ。
「違和感を感じる」の言い換え表現
「違和感を感じる」の、「違和感」を残したままの言い換え表現を紹介する。
■違和感を覚える
「違和感を覚える」は、最も使いやすい言い換え表現だ。「覚える」には、身につける、記憶するなどの意味がある。
「違和感」に「記憶する」を加えても意味が通じるため、感覚を覚えるというイメージを持つとしっくりくるだろう。
■違和感を持つ
「違和感を持つ」は、「違和感を覚える」に次いで把握しておきたい表現だ。「持つ」という動詞には「心の中にいだく」という感情が含まれる。
「意味合いを持つ」という表現も不自然ではないため、気軽に使っていこう。
「違和感を感じる」の類語
「違和感を感じる」の、「違和感」を除いた類語も見ていこう。以下に「言行不一致」と「羊頭狗肉」を紹介する。
■言行不一致
「言行不一致」は、口で言ったことと実際の内容に矛盾がある意味を持っている。「言」が入っているため、口頭で話す際に相性が良い。
ビジネスシーンの例として、「ヘッドハンティングで入社した部長は、前評判と違って言行不一致が目立つ」という使い方ができる。
■羊頭狗肉
「違和感を感じる」の類語で、四字熟語を活用したいなら「羊頭狗肉(ようとうくにく)」を覚えておこう。
羊頭は「羊」で、「狗(く)」は犬となり、「羊頭を掲げて狗肉を売る」が略された四字熟語だ。見かけは立派だが、内容が伴っていないことを意味する。
内容が一致しないという点で、違和感と共通するため、四字熟語を使いたい場合の筆頭候補になる。