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「五月雨式に申し訳ございません」は、重なった失態について謝罪を込めた言葉だ。五月が付くことから、由来と語源の理解が不十分なことも多い。
また、2語として捉え、繋げて伝えなくてはいけない注意点がある。本記事では、この言葉の意味を本当に理解できているか不安という方に向け、例文や類義語まで紹介する。ぜひ最後までご覧いただき、要所で活用できるようマスターしてほしい。
「五月雨式に申し訳ございません」の意味とは?
■意味
まず「五月雨式」を辞書で引くと、以下の意味が出てくる。
五月雨式(さみだれしき)とは、一定のリズムや間隔を持たずに、断続的に物事が起こる様子を表す表現である。この言葉は、五月雨が降るように、ぱらぱらと不規則に降る様子から派生したものである。具体的な使用例としては、事業の進行やプロジェクトの進捗が一定のリズムを持たず、断続的に進行する様子を指す際に用いられる。 引用:実用日本語表現辞典 |
一定ではなく、断続的に物事が発生する様子を表している。また、ぱらぱらという雨がしたたり落ちるシーンを想像すると、よりイメージしやすい。
■「五月雨式に申し訳ございません」の由来や語源
「五月雨式に申し訳ございません」の由来は、旧暦に基づいているとされる。現在は太陽暦が採用されているが、旧暦では月の満ち欠けを元に太陽の動きを加えた「太陰太陽暦」が使われていた。
旧暦では1年が約354日で、新月から新月までを約29.5日でカウントしていたため、梅雨の開始を明治6年以前の五月に設定していたわけだ。
ぽつぽつと連続して降る雨を何度も起きる現象と表しているので、本質的な意味合いを理解して活用していこう。
「五月雨式に申し訳ございません」の使い方と例文
「五月雨式に申し訳ございません」は、例文を見ておくと理解しやすい。ビジネスの場をシチュエーションとして、使う側と受け取る側で使い方を説明する。
■「五月雨式に申し訳ございません」を使う側の例文
「五月雨式に申し訳ございません」は、ビジネスシーンをメインに以下のように使うことができる。
・五月雨式に申し訳ございません。当初の取り決めで伝えていませんでしたが、都度納品が良いと判断したため連続して送信いたします。
これは自分から得意先に向けてのメール発信で、納品方法を変更した際の例だ。補足を「申し訳ございません」の後に続けているため、先方にもきちんと伝わる。
■「五月雨式に申し訳ございません」を受け取る側の例文
「五月雨式に申し訳ございません」は、自分がクライアント側である時にも以下のように活用できる。
・刊行するパンフレットですが、参考資料は五月雨式に頂けますか?忙しい所申し訳ございません。
このように、相手に求めるケースでも使える。「五月雨式に申し訳ございません」は一つの文で繋がっていなければならないルールはない。したがって、上記のように間に「頂けますか」という謙譲語を挟んで使うことも可能だ。
「五月雨式に申し訳ございません」を使う際の注意点
「五月雨式に申し訳ございません」を使う際は、次の点に注意する必要がある。
■「五月雨式」にお詫びの意はない
「五月雨式に申し訳ございません」を2つのブロックで認識しなければ、五月雨式を単純に謝罪の意味が込められていると誤解してしまう。
しかし五月雨式は一定のリズムを持たずに発生する事態を指すため、2つの語句で結ばなければ成り立たないわけだ。
■文章のみでしか成立しない
「五月雨式に申し訳ございません」はメールや手紙など、文面以外だと伝えにくいことを念頭に置いておきたい。
もし口頭で相手方に伝えると、意味を理解した者でなければ何に対して謝っているのかわからないという印象を与えてしまう。よって、メール・チャットが使用のメインになることを覚えておきたい。