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「次第です」は、物事の成り行きを示す言葉だ。ビジネスでよく使われるが、頻出する割には注意点を知らずに連発していることも多い。
本記事では「次第です」の意味・使い方を、例文を通じて解説していく。シチュエーションに応じてスマートに使い分けられるようになるので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
「次第です」の意味とは?
「次第」の意味を辞書で引いたところ、以下の通りとなっている。
1 物事が行われる際の一定の順序。「式の—を書き出す」 2 今まで経過してきた状態。なりゆき。「事の—を話す」 3 物事の、そうなるに至った理由。わけ。事情。「そんな—で明日は伺えない」 引用:デジタル大辞泉(小学館) |
特にわかりやすいのは、経過してきた状態である。また「次第」には、どんどん良くなる・悪くなるといった表現で用いられやすい。
ほかにも、徐々に改良が活かされてくるという、「徐々に」という言葉を同時にイメージすると、なおさら活用しやすくなるはずだ。
ただし、「相手次第です」といった、相手の出方によって先々の状況が変わる表現もあることを覚えておこう。シチュエーションに応じた使い方が重要である。
「次第です」の使い方と例文
「次第です」の使い方は、ビジネスシーンで様々な使い方ができる。以下の例文をチェックしていこう。
■プレゼンテーションをする際の例文
「次第です」は、プレゼンテーションで社内外に説明する際にも使える。
- 改善を重ねた当製品ですが、リニューアルした理由はお客様の声を反映させてもらった次第です。
改良に至っては、経緯に顧客の要望やクレームなどがある。2010年、2020年、2030年など、お客様の声は時系列で届くため、「次第です」となるわけだ。
■プロジェクト報告の際の例文
「次第です」は、プロジェクトの進捗報告にも適している。
- プロジェクトの進行が遅れている理由は、予期せぬトラブルが発生したためです。詳細な対策を講じた次第です。
プロジェクトの進捗には、予期せぬ出来事や調整が必要な要素が含まれる。これにより、「次第です」を使うことで、現状を丁寧に説明することができる。
■顧客対応のフィードバックとしての例文
「次第です」は、顧客対応のフィードバックとしても利用できる。
- この度の対応に至った背景は、顧客満足度向上のための取り組みを強化した次第です。
顧客対応においては、さまざまなフィードバックや改善点がある。これを踏まえ、「次第です」を使うことで、具体的な取り組みの経緯を伝えられる。
「次第です」を使う際の注意点
「次第です」は、便利に見えるため意外な落とし穴もある。マイナスに働かせないためにも、これより紹介する注意点を覚えていこう。
■何度も使用するとくどくなる
「次第です」は、経過という成り行きを簡単に示せる。しかし連発するとどうだろうか?相手から質問や問いただしがあった際、「次第です」で毎回返してしまうと、プロジェクトに時間を割くのを面倒くさがっていると思われかねない。
ビジネスでは、やっつけ仕事をしているという印象を与えるため、連発しないように注意しよう。
■目上の人や顧客に対して使う言葉
「次第です」は、自分よりも立場が上の人に対して使うのが望ましい。「です」というかしこまった言葉は、年下に対して使うと違和感を覚えるからだ。
例えば新入社員が一斉に入社した際、幹部が「新入社員の方にはOJTを通じて実践的に学んでもらいたい次第です」と言うと、頼りなさを感じさせてしまうだろう。
「次第です」の言い換え表現
「次第です」には、ほかの言い換え表現もある。自分に合ったものを以下から選んでみよう。
■所存です
「所存です」は「心に感じるもの」「自身の考え」を意味する言葉だ。「次第です」と比べると、自分の意思をより強く表現している。
曖昧さを示さず、意思を持って発言する場合、「所存です」を活用すると新たなレパートリーが生まれるだろう。
■運びです。
「運びです」は、ポジティブなシーンにおいて使いやすい言葉だ。順を追ってきた積み重ねが、功を奏した場合に活用できる。
例えば、結婚が決まったカップルの場合、「皆様のご協力の甲斐もあって、私たちは春先に披露宴を開催する運びです」といった幸ある未来を含ませた表現が可能になる。
なお、動詞「なる」の連用形「なり」に、丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」を繋げた「運びとなりました」としても良い。