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あなたはコンフォートゾーンの意味を知っていますか?
ビジネスパーソンが成長するには、コンフォートゾーンから身を移すことが重要です。新たな挑戦を続けることで、視野が大きく広がるでしょう。
人の成長に関わる三つの心理的領域を比較しながら、コンフォートゾーンを抜け出す必要性やメリットを解説します。
「コンフォートゾーン」とは
ビジネスパーソンであれば、『コンフォートゾーン』という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。よく見聞きするけれど、意味や使い方が分からない人も少なくないはずです。具体例を挙げながら、コンフォートゾーンが何を指すのかを解説します。
■快適な空間や状況を指す言葉
コンフォートゾーン(comfort zone)とは、快適な空間や状況を指す言葉です。快適さ・安心・癒やしの意味を持つ英語『comfort』と、地帯・区域・圏などを意味する『zone』が合わさった言葉で、日本語では『安全圏』と訳されることが多いでしょう。
自宅や実家、ホテルなどの物理的な場所を思い浮かべる人が多いですが、心理学では精神的なストレスが少ない状況や不安を感じない行動範囲などを指すのが一般的です。
■「コンフォートゾーン」の具体例
コンフォートゾーンの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 行きつけの店
- いつも通る道
- 慣れ親しんだ職場
- 自然体でいられる人間関係
- ストレスのない仕事
初めての店に入るときや、見知らぬ道を車で通るとき、「場違いではないだろうか?」「道に迷わないだろうか?」と不安な気持ちになります。しかし、何度も通っているうちに、コンフォートゾーンとして定着します。
仕事や人間関係においても同様です。新しい業務や職場は、慣れるまでに時間がかかりますが、慣れてしまえばストレスを感じなくなるでしょう。
心理学における「コンフォートゾーン」以外の領域は?
心理学では、人の成長に関わる心理的領域を『コンフォートゾーン』『ラーニングゾーン』『パニックゾーン』の三つに区分しています。ラーニングゾーンとパニックゾーンは、どのような領域を指すのでしょうか?
■学びの領域「ラーニングゾーン」
ラーニングゾーン(learning zone)は、コンフォートゾーンの一つ先にある『学びの領域』です。具体的には、自分がまだ経験したことのない世界や、今よりもハイレベルな要求をされる環境などを指します。
背伸び(stretch)が必要なことから、『ストレッチゾーン(stretch zone)』と呼ばれることもあります。ビジネスにおいては、新規の取引先との交渉や見知らぬ土地への転属、転職先での新しい業務などが該当するでしょう。
ストレス・不安を感じやすい領域なので、本人にとってはあまり居心地が良いとはいえません。楽で快適なコンフォートゾーンと違い、環境に適応するための努力が求められます。
■混乱の領域「パニックゾーン」
パニックゾーン(panic zone)は、コンフォートゾーンの対極にある『混乱の領域』です。過去の経験が全く通用せず、どうしたらよいか分からない状態に陥ります。ビジネスでは、自分の能力をはるかに超える要求をされたときや、状況判断が困難なときなどが該当するでしょう。
ラーニングゾーンでは、冷静になって努力をすれば、困難な状況は切り抜けられます。しかし、パニックゾーンに入った場合は、強いストレス・不安によって、前に進むことをやめてしまう恐れがあります。人によっては、心身に支障を来すでしょう。
「コンフォートゾーン」を抜け出すメリット
ビジネスや日常生活において、周囲から「コンフォートゾーンを抜け出せ」と助言された経験はないでしょうか?勇気を出して一歩足を踏み出すと、自分にとってプラスになるケースが多いでしょう。
■視野が広がり、成長につながる
ラーニングゾーンでは、現状よりハイレベルな要求をされるため、ストレス・不安を感じます。しかし、それらが良い刺激となり、集中力の向上や自己成長につながります。初めての経験や新たに出会う人を通じて、視野が大きく広がる上、変化への適応力も養われるでしょう。
慣れ親しんだ業務は、ルーティン化によってそれなりに早く作業を進められるはずですが、モチベーションを保てなかったり、集中力が落ちたりして、必要以上に時間がかかるケースもあります。コンフォートゾーンに居座り続ければ、時代の変化に淘汰されてしまうかもしれません。
■新しいアイデアが生まれる
コンフォートゾーンの外は未知の出来事の連続で、試行錯誤して前に進まざるを得ないため、創造力が鍛えられるのがメリットです。
多くの企業にとって、新たなビジネスアイデアやソリューションを生み出せる人材は貴重です。他社との差別化や新規市場の開拓につながり、企業が大きく成長します。
逆に、コンフォートゾーンに長くとどまれば、自分の創造性を発揮できる機会が失われます。新しい視点が獲得できないため、革新的なアイデアが生まれにくいのです。挑戦し続ける従業員が少ない企業は、組織力が低下するでしょう。
■自己肯定感が高まる
『自己肯定感』とは、ありのままの自分を認める感覚のことです。自己肯定感が高い人は、パフォーマンスはもちろん、人生に対する満足度も高いといわれています。
コンフォートゾーンを抜けて新たな挑戦をすると、自己実現や自己成長がもたらされ、自分を素直に認められるようになるのがメリットです。
失敗・不安が少ないコンフォートゾーンの中でも、自己肯定感は高まるかもしれませんが、それは一時的なものです。挑戦する機会がなければ、充実感や達成感はなかなか得られません。
時間がたてばたつほど挑戦へのハードルが高くなり、「やってみたいけど自信がない」と自分の能力を疑うようになるでしょう。