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未来を見据えた戦略立案をサポートする「電通未来曼荼羅」の正体

2024.05.24

「これからの世の中がどうなるのか‶全部〟知りたい」――15年前、とある企業が看板商品をリニューアルする際に頼んだことが始まりだった。

現時点はもちろんのこと、5年、10年後の未来も生活者に受け入れられてこその看板商品である。その業界のトレンドやロードマップを知るだけでなく、社会や人々の変化を中・長期的に捉えることが不可欠だったからだ。

この企業の要望に応えるため編集されたのが「電通未来曼荼羅」である。電通グループ各社の様々な領域の専門家が集まり、領域横断で未来トレンドをまとめあげた未来予測ツールだ。2010年以降、「電通未来曼荼羅」は継続的に編集され、今では、多くの企業で未来起点の経営戦略立案や新規事業、サービス開発のツールとして多くの企業に活用されている。

その最新版である「電通未来曼荼羅2024」が発表された。編集長・加形拓也さんと編集メンバーの高橋朱実さんに話を聞いた。

加形拓也さん
電通コンサルティング プリンシパル/パーパス&デザインリード
電通マーケティング部門~電通デジタル~電通コンサルティングで保険会社の2050年構想/自動車会社のスマートシティ構想/食品企業の新事業など、企業の事業デザインをサポート。都市工学をバックグラウンドとしたコンサルティングと縦割りを打破していくファシリテーションが得意。電通相撲部主将。右四つ。得意技は下手投げ。

高橋朱実さん
電通デジタル トランスフォーメーション部門 シニアコンサルタント
2016年電通イーマーケティングワン (現電通デジタル) 入社。クリエイティブディレクションからキャリアを開始し、UXコンサルタント、サービスデザイナーと一貫して顧客視点からビジネスをドライブするプロジェクトに携わる。青山学院大学学校教育法履修証明プログラム ワークショップデザイナー修了。

「電通未来曼荼羅2024」では2030年までに起こるとされるトレンドをまとめる

「電通未来曼荼羅2024」はトレンドテーマごとに1ページにまとめている(上記画像は一部ぼかしあり)

――そもそも「電通未来曼荼羅」とはどのように使うツールなんでしょう?

加形:ビジネスマンだと‶あるある〟な話だとは思いますが、よく「これまでの枠にとらわれない次の時代に向けた新しい商品、サービスを考えよ」と上司から言われることがあると思います。

――本当によくありますよね。それでいて答えを出すのが非常に難しい

加形:言うは易く行うは難し、ですよね。これまでの枠の内側だったらやれることはすぐに見つかるものです。しかし、枠の外側なら話は別です。ここにあるかもしれないし、あそこにあるかもしれない。どこの領域で新しいビジネスを作ればいいのか、その領域では自社は何ができるのか……無限に選択肢がある状態です。

「電通未来曼荼羅」は、そういった際に指針になるツールです。

世の中に無数にあるトレンドを、「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4つのカテゴリーに72のトレンドテーマを網羅的に分類しています。

一旦、誰かが網羅的にトレンドをまとめてくれたものがあると、選択肢が無限から有限になる。そして、そこからヒントを得て未来への仮説が立てやすくなる。そうした発想の刺激にしてもらうためのツールでなんです。

加形さんは都市工学の専門家でもある

3月に発表した「電通未来曼荼羅2024」は、社内の約30人の専門家が集まり、累計1000時間以上かけて厳選した72のテーマをまとめています。前年度版から22のテーマを刷新し、2030年までに起こるとされるトレンドをまとめています。一例を挙げると

・多死社会、死生観も関連ビジネスも変わる

・時間資源の貨幣化によるシン経済圏

・多様化し拡大するジェンダーテック

などがあります。

――22ものテーマが刷新されたのですか?

加形:はい。一番の理由は社会変化のスピードです。昨年に私たちが予想したよりも早く市場が進み、それは2030年ではなく、あと2~3年の内に起こることだろうとなったテーマがありました。普段から各専門領域で、これからどうなるのかについてリサーチしている専門家たちであっても未来予測をするのは非常に難しい。たった1年で市場や社会が急激に成熟してしまうことはどうしてもあります。

だからこそ私たちは毎年、市場の成熟度合いを精査して「電通未来曼荼羅」をアップデートしています。

――「電通未来曼荼羅」を活用することで、どういった視点を得ることができるのか。ひとつのテーマを取り上げながら、教えていただくことは可能でしょうか

高橋:では今回追加されたテーマから「時間資源の貨幣化によるシン経済圏」を一例に挙げて考えてみましょう。

「電通未来曼荼羅」は未来への「答え」ではない

高橋:いま、タイパ重視が睡眠にも拡大していたり、時間活用の二極化が進んでいるなどは現在の私たちも実感していることだと思います。

その結果、人生の余暇時間は増えている。それにも関わらずなぜ人は「タイパ」を追い求めるのか。そこに未来へのチャンスがあると思っています。

高橋さんのチームは「多様化し拡大するジェンダーテック」「多死社会、死生観も関連ビジネスも変わる」といったテーマの編集を担当した

――例えば、エンタメの倍速視聴などは現時点ですでに起こっていることですよね

高橋:はい。倍速視聴やネタバレ視聴はすでに若い世代を中心に浸透しています。最初にネタバレをしてから結論を逆算して、見たかったら本編をしっかり見るという楽しみ方に変化しています。

でも、人々の変化はそこで終わらないのが面白くて、「タイパ重視」と「しっかり時間を使う」が両立しているんです。特にエンタメだと顕著なんですが、コンテンツの消費は早いけど、その後に推し活や聖地巡礼には手間や時間をしっかりと費やしているんです。

――「時間活用の二極化」ですね。しかし、それもまたここ数年、ずっと指摘されていた変化です。「電通未来曼荼羅2024」に新たなテーマとして取り入れた理由はどこにあるのでしょうか

高橋:「さらにタイパが進む」ではなく、「時間資源による経済圏の確立」というところがポイントです。効率化すること自体のマーケットもそうですが、効率化した先にあるものへの何かしら新しい経済圏を生み出すことができると考えています。

いまは「効率」「タイパ」に注目されていますが、「その先に何があるのか」、それが2030年の社会を見た時の新たなテーマになりました。

タイパが進むその先の未来を予想する「電通未来曼荼羅2024」

加形:タイパで空いた30分は他の何かに活用できるし、さらに空いた時間を貨幣化されていく。時間そのものが貨幣化されて運用され流通することになれば、例えば120分が30分に短縮され空いた90分に、こういったサービスを受けられますよと、タイパだけでなく、タイパ後の時間の使い方まで総合的にサポートしてくれるサービスも生まれてくるかもしれません。

それは自分の時間を市場に出していくことを意味します。もしかしたら労働時間と余暇時間も自分で最適にマネジメントしているのか、それともAIに支配されているのか分からなくなる時代になるかもしれませんね。

――時間そのものが価値あるものとして流通をするということですか?

加形:そうです。様々な価値が金銭という価値に置き換わり流通したように、時間そのものが流通して新たなサービスが生まれていく。少し抽象度の高い話ではありますが、そこから発想されるサービスはたくさんあります。

――私は最近、好きなことにタイパを追求する姿勢には違和感を覚えています。むしろタイパが進んだ先には逆タイパ、先ほどの二極化の話で言う「あえてゆっくりした時間を過ごす」という行為も価値を生まれそうですが、いかがでしょう

加形:その仮説も面白いです。過剰なまでにタイパを追求することをつまらないと思う人が現れるだろうから、それを先回りして、あえて余暇時間を楽しむサービスが生まれるかもしれません。

高橋:実際、クライアントと「電通未来曼荼羅」を使ってプロジェクトを進めている中でも、同じように新しい気付きが生まれ、仮説を立てることが始まります。みんな自社の既存事業の延長では辿り着かないような、新たな課題やアイディアを生みだしていますね。

加形:よく勘違いされるのですが、「電通未来曼荼羅」は未来に対する「答え」を提示するものではありません。専門家たちが現時点から未来への予想をして、それを企業やビジネスパーソンが自身のビジネス領域でさらに仮説を立て直すことに活用するためのツールです。

今回の「時間資源の貨幣化によるシン経済圏」というテーマでは、自分なりにタイパとは逆の価値観が生まれるという仮説を立てることに意味があります。

――ビジネスパーソンが自分なりの考えや仮説を話し合うのは難しいというのは痛感しています。社内であっても、どうしてもお互いの立場に遠慮をしてしまいますよね

加形:少しカジュアルな例で表現すると、カウンターのお寿司屋さんで肩を並べて座りながら「あのネタが美味しそうだ」「あれは何だ」とか話している感覚と近いんです。プライベートでもビジネスでも自分のことを話すにはどうしてもお互いに遠慮をしてしまってうまく話せない。

でも共通のネタがあれば、自分のポケットから話題を出して自由に話すことができる。

「電通未来曼荼羅」はこうした状況を自然に作り出し、自由な発想を促すツールとして本領を発揮します。みんなが同じ方向を見ることで新たな可能性に気付くこともあります。

@DIMEの読者は知的好奇心も高くイノベーションを秘めたビジネスパーソンも多いと思います。私たちも「電通未来曼荼羅」を皆さんの領域で活用してほしいので、興味がありましたらぜひ一度お問い合わせください!

取材・文/峯亮佑 撮影/木村圭司

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