理研ビタミンが2023年に発売した「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」。誰しも一度はインドカレー屋さんで目にしたことがある「あのドレッシング」を製品化し、発売直後からSNSで大きな反響を呼びヒット商品となった。
今回は、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」の開発を担当した食品企画開発部 ドレッシング企画グループ 主事 浅子よし絵さんに、商品の誕生秘話や開発時の試行錯誤についてお話を聞いた。
*本稿はインタビューから一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
インドカレー屋さんの「あの味」を求める多くの声を受け商品化へ
インドカレー屋さんのドレッシングを、自宅でも楽しめるようにと開発された「謎ドレッシング」。同製品の特徴について、浅子さんは次のように話す。
「インドカレー屋さんのドレッシングと聞くと、オレンジ色のドレッシングを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。サウザンドレッシングのようなフレンチドレッシングのような、でも市販のものとはどこか違う『あの』ドレッシング。今回開発した謎ドレッシングは、理研ビタミンの独自製法で、塩味と酸味を抑えた手作りのようなおいしさを再現しています。玉ねぎと人参をたっぷり使用した野菜の甘みを生かし、お子様から大人まで幅広い世代の方におすすめの鮮やかなオレンジ色のドレッシングです」
今回インドカレー店のドレッシングに注目し、商品化に至った背景について、浅子さんは次のように振り返る。
「コロナ禍で外食機会が減っていた時期、世間では家庭でお店の味を再現する動きが広がっていました。クックパッドでは、インド×ドレッシングといった検索が上位になっていたり、SNSで『インド料理屋さんの味を真似してドレッシングを作ってみた』などの話題があったりと、少なからずインド料理屋さんのドレッシングに需要があることを確信していました。自身もおいしいと感じているうちの一人で、社内で聞いてみたところ同様の声が多かったことから、開発に至りました。個人的な想いから始まった企画だとも言えます」
2年の開発期間は、ほとんどを「味作り」に費やした
開発にかかった期間は、およそ2年。開発当初、浅子さんは自ら多くのインドカレー屋さんに足を運んだという。
「最初は、インドカレー屋さんのドレッシングのベンチマーク探しから始めました。インドカレー屋さんのドレッシングと言っても、人によって思い浮かべる味が違いますし、お店によっても味が微妙に異なります。まずは、『ドレッシングがおいしい』と評判のインドカレー屋さんを食べ歩きました。いくつか食べた中からベンチマークとなるお店を絞り、お店に通って食材やレシピをヒアリングしましたね。その目標とする味を再現する流れで開発を進めました」
開発途中では、手作りのものを常温の製品として再現することや味作りに苦労したという。
「当社の製品は、常温流通で賞味期限も長いものでなければなりません。インド屋さんのドレッシングは、その場で食べることを想定し、お店で手作りしているものが多くあります。2〜3日で使い切るものなので、そのままでは製品化はできません。特に常温流通の製品で味を再現し、納得の味に仕上げるまでには時間がかかりましたね。味作りをする技術グループと試作を重ね、部内のメンバーにも何度も食べてもらい、意見をもらいました。開発期間2年間のほとんどを、味作りをする期間に費やしたと言っても過言ではありません。
結果的には、当社のオリジナルの製造ラインを活用することで、塩味や酸味の少ない、手作り感があって野菜のフレッシュなおいしさを感じられる味わいにすることができました」
コンセプトを伝える「ネーミング」に苦戦
商品コンセプト自体はすんなりと決まったものの、消費者にわかりやすく商品を伝えるためのネーミング付けに試行錯誤したという。
「当初は野菜の甘みや手作り感を主張した名前の案もありました。ただ今回は『インドカレー屋さんのあの味』と聞いただけで味が想像しやすいこと、SNS上で既に『謎ドレッシング』というワードが話題になっていたことを考慮し、ネーミングはあえてそのまま『インドカレー屋さんの謎ドレッシング』にしました」