普通に接している中で、「この人、生理的に無理かもしれない」と感じた経験は、おそらく多くの人が一度はあるはずです。
しかし、そう思っていたとしても、仕事関係など簡単に縁を切ることができずに我慢して付き合いを続けている人も多いでしょう。
今回は、「生理的に無理」とはどのような状態のことなのか、なぜそのような気持ちが起こるのか、生理的に無理と思われやすい人の特徴、そして、生理的に無理な人と接するときに我慢する気持ちを和らげる考え方をお伝えします。
生理的に無理の“生理的”とは
初めに、生理的に無理の“生理的”とはどのような場合を指すのかを見ていきます。
デジタル大辞泉(小学館)によると、
・からだの機能や組織に関するさま。
・理屈ではなく本能的であるさま。
とあります。
なので、「生理的に無理」とは、理屈ではなく本能的に相手を受け付けられない状態であると言えます。そして受け入れられないとは、その相手に対して嫌悪感を抱いていると言い換えることができます。
本能的なものなので、「なんとなく苦手」といったように、無理と思ってしまうほどの嫌悪感をその人に対して抱いてしまっているのかを認識していない場合もあります。
生理的に無理という感情はなぜ起こるのか
生理的に無理とはその相手に対して嫌悪感を抱いている状態であり、嫌悪感とは強い不快感や嫌いという感情を持つことを言います。
人間は人にかかわらず、物に対しても「好き」か「嫌い」かを無意識に判断しています。これは感覚的なもので、脳が判断していると言われています。脳は何を理由に「好き」か「嫌い」か判断しているのかというと、あなたにとってその人(物)が「安全」か「危険」どうかです。つまり、生理的に無理な人とは、何かしらの「危険」の可能性があると脳が判断しているのです。
その人を生理的に無理という理由がはっきりしている場合は違いますが、「なんとなくこの人嫌かも」などと無意識のうちに感じているのであれば、それは脳がその相手はあなたにとって害のある「危険」な人だと判断している可能性があります。
生理的に無理と思われやすい人の特徴
生理的に無理と判断する基準はそれぞれの主観ですので、他人に判断できるものではありません。しかし、共通して相手に不快感を与える人はいます。その不快感を与える可能性がある人の特徴をここでは挙げていきます。
1.清潔感がない
第一印象から生理的に無理と言われる特徴の1つに、清潔感のなさが挙げられます。
清潔感がないと感じるのは、髪や服が汚れているなどといった見た目だけではありません。体臭や口臭などのにおいがある場合や、クチャクチャと音を出して食事したり、口に物が入った状態で話すなど食べ方のマナーがなっていない場合も含まれます。
2.距離感が近い
対人距離が近い人も生理的に無理と思われることが多いでしょう。
対人距離とは、パーソナルスペースのことで、心理的な自分の縄張り空間のことを指します。縄張りになるので、距離感が近い人はそのスペースに侵入しているということになり、それが不快感を持たれる原因になります。
3.ハラスメント気質
ハラスメントとは、相手に対して言葉や行動などで嫌がらせを行うことです。ハラスメントは、本人には悪気がなく、自覚がないことが多いという特徴もあります。
無意識に行なってしまう理由は、「このくらいなら自分は大丈夫だから」といった個人の意識差が大きく関わっています。元々その人が持つ気質なので、正すことはとても難しいことなのです。さらに上司や部下など立場の違いがあれば余計に指摘しづらくなり、メンタル不調が起こるまで我慢し続ける人も多くいます。
そうならないために、本能的に「危険」だと脳が判断して、生理的に無理と感じさせてその人から離れさせようとしているのかもしれません。
生理的に無理な人と接するときの心構え
生理的に無理な人と我慢して付き合うことは大きなストレスとなり、メンタル不調になってしまう可能性もあります。
ここでは、生理的に無理な人と接するときに、我慢する気持ちを和らげる考え方をご紹介します。
1.嫌いと思う気持ちを否定しない
「なんとなく嫌い」というような、理由はあるにしても認識していない場合には、嫌いという感情を持つことに対して罪の意識を感じる人がいます。また、誰かを嫌うこと自体に悪いことだと思い込んでいる人もいます。
その罪悪感をまずは取り払いましょう。前述したとおり、「なんとなく嫌い」は、脳の「危険」という信号でもあり、心で否定できるものではありません。罪悪感を持つものでもなく、否定することのない、仕方ないものだと受け入れてください。
2.相手に変わってもらおうと思わない
なぜ生理的に無理なのか、なぜ嫌いなのかという理由を探そうとする人がいます。そのときに嫌いな理由を「あの乱暴な言葉遣いが無理」というように相手に見つけて、それを変えようする人がいますが、その考え方は余計なストレスを抱えることになりかねないのでやめたほうがいいでしょう。
なぜなら、他人を変えるのは無理だからです。何かを変えるときには、その人自身が変わろうとする気持ちが必要です。どんなにアドバイスしても、しょせん外部からの意見にすぎず、受け入れるかどうかはその人次第です。
相手が変わってくれないとわかるとそれが余計なストレスとなる可能性があるので、このような考えは持たないことが得策です。
文・構成/藤野綾子