中国・南京に居を構え、素顔の中国を発信し続けるドキュメンタリー監督・竹内 亮さん。個人および関連の総SNSフォロワー数は1000万人を突破、中国で絶大なる人気を誇る彼の新作『劇場版 再会長江』が、この春公開になる。10年の制作期間をかけた壮絶ドキュメンタリーと、作品に込めた第2の祖国・中国への思いとは。
総SNSフォロワー数1031万人!中国No.1日本人インフルエンサー※
ドキュメンタリー監督
竹内 亮(たけうち・りょう)さん
1978年生まれ。テレビ東京系『ガイアの夜明け』や『未来世紀ジパング』など、多くの映像制作に携わった後、2023年、中国に移住、映像制作会社「和之夢文化伝播有限公司」を設立。Newsweek「世界が尊敬する日本人100」にも選出されている。著書に『架僑 中国を第二の故郷にした日本人』(角川書店)ほか。
※Weibo 旅行関連インフルエンサーランキングにおいて
自ら中国の民となり「素顔の中国」を発信
日本で数々のドキュメンタリー映像制作に携わっていた竹内さんが、中国・南京市に移住したのは2013年。そのきっかけになったのが、2011年に放送されたNHK『長江 天と地の大紀行』だ。
「長江の源流付近から上海までの6300kmを横断する撮影で、視聴率もよく、好評でした。一方で、中国大陸をつなぐ文明の真髄、歴史ある大河を十分に表現しきれていないという悔いもあったんです。その理由のひとつが言葉の壁。通訳スタッフを介しての取材は、現地の人の取材はもちろん、取材交渉さえ、踏み込んで行なえないケースが多いんです。交渉能力、人脈、中国語、すべて揃った時に再度この川にリベンジしたい。その第1段階が中国移住で、早速、妻に相談したんです。僕の妻は中国人でしたので、さぞや喜んでくれるかと思ったら全然ダメ(笑)。仕事は順調で、正社員でしたから、その安定を捨ててどうして、って。子供も生まれたばかり、家のローンもありましたからね。そこを2年をかけて説得し、ようやく移住に至ったというわけです」
もともと『三国志』が好きで、中華料理も口に合う。何より中国という国に興味があり、移住への心理的負担もなかったというが、当時33歳。中国語習得も大変だったのでは。
「それはもちろん。ただ、ここで生きていくと決め、後はないという思いでやれば何とかなるものです。それでも日常会話で1年、仕事で使えるレベルになるまでには3年ほどかかりました」
それから10年、インターネットドキュメンタリー『我住在这里的理由(私がここに住む理由)』をはじめ、素顔の中国を撮り続け、中国No.1の日本人インフルエンサーとなった竹内さん。自らも南京に身を置く〝長江の民〟となり、念願の「長江」を再びたどる旅を収めたドキュメンタリーを完成させた。
「見てもらいたいのはリアルな中国の日常です。中国はそもそも何十もの国が合体したような国で、地域によって民族も違えば、言葉も違う。多くの日本人は『中国はこんな国』と決めつけがちですが、そんな簡単な国じゃない。人間や資源や文化の多様性を、長江という大河で表現したかったんです」
市井の人を描く動画により中国で最も知られる日本人に
『我住在这里的理由(私がここに住む理由)』
日本に住む中国人と中国に住む日本人を紹介したインターネットドキュメンタリーは、累計再生回数6億回を超える超人気番組。