任天堂の古川俊太郎社長が、X(旧Twitter)の広報アカウントにてNintendo Switchの後継機種に関するアナウンスを今期中に行うと発表しました。Nintendo Switchが発売されたのが2017年3月3日。7年の時を経て、ついに後継機種への言及がなされました。
ポイントは「後継機種」である点。Nintendo Switchを発売する前は全く新しいコンセプトのゲーム機と表現していたのです。
Wii Uの際はWiiの後継機と説明していました。
このニュアンスの違いも含め、新たなゲーム機の登場は、任天堂の行く末を占ううえで極めて重要です。
マリオ、ゼルダ、あつもり、ポケモンなど多数のヒットタイトルを発売してきたNintendo Switch
起死回生を狙うも大コケしたWii U
5月7日の決算説明会では、「後継機種」と表現することに特別な意図があるのか? との質問がありました。それに対して、古川社長は現段階でこれ以上話せることはなく、「Nintendo Switchの後継機種」という表現を用いることが最適だと判断していると回答しています。
関係者が「後継機種」の定義について突っ込んだ質問をするのにはわけがあります。Wii Uの悪夢があるためです。
任天堂は新型ゲーム機の売れ行きと、業績が連動していました。
Wiiの発売日は2006年11月19日。任天堂の2006年3月期の売上高は5092億円でしたが、2007年3月期は前期の1.9倍となる9665億円、さらにその翌期には1.7倍の1兆6724億円に跳ね上がります。
※決算短信より筆者作成
しかし、2009年3月期の1兆8386億円が天井となって、2010年3月期は2割、その翌期は3割の減収となりました。任天堂は2012年3月期に373億円の営業赤字に転落します。
満を持して2012年11月18日に発売したのが、Wii Uでした。液晶ディスプレイを搭載したコントローラー「Wii U GamePad」により、本体と接続したテレビの2画面で楽しめるという画期的なものでした。
ただし、基本構成はWiiと同じで、ソフトの互換性もありました。
ところが後継機を発売した後の2013年3月期の売上高は、前期比1.9%減の6354億円とまさかの減収。この期も前の年と同じく364億円の営業赤字を出してしまいます。
Wii Uは操作性がいいなどユーザーの評価は高かったものの、商業的には大失敗に終わったのです。