100年に一度のビジネスチャンスが未来の環境と健康を変える
スマートEバイクは2021年に原理試作機が完成し、インドと日本で試乗会を展開しながらテストマーケティングを行ってきた。もうすぐ発売の予定だが、進捗状況が気になる。
「2023年に商品試作と実証実験を実施して、今年2024年は量産体制を構築し、できるだけ早くシェアサイクルなどの社会実装に向けた実証実験を実施することを目指しています」
こちらとしては、早々に新技術を堪能したいところ。スマートEバイクが実用化されたら、私たちの暮らしが一変するかもしれない。
「スマートEバイクの実現は、環境と健康にコミットしながら自分で電気を作るという新しい体験をユーザーに提供することができると思っています。例えば、停電時なども自分で電気を作ることができるのでスマホなどのライフラインを保つことも可能になりますし、移動手段としても使える。
シェアサイクルでは、ギグワーカーがスマートEバイクを充電しながら走行し、再配置を行っていけるようになると思います。自分の電気は自分で作るという思想を根底に据えたマイクログリッド社会にシフトしていくきっかけになれるよう努力を続けております」
――スマートEバイクが大ヒットするために必要なことは?
「大ヒットするためには、それが社会インフラの一部になることですね。スマートEバイクだけでなく、超電導技術、クリーンエネルギー100%の小規模パワーステーション、カーボンクレジット連携型ブロックチェーン等とセットでマイクログリッド構想の実現に貢献できれば幸いです。その結果としてスマートEバイクの大ヒットに繋がれば嬉しい限りです」
――今後の展望をお聞かせください。
「我々の狙いとしては、世界中のモビリティメーカーに回生ドライブシステムを提供することです。まずはEバイクやモーターバイクなどのパーソナルモビリティから始めますが、順次、商用車、船舶、航空機、スペースシップ向けの回生ドライブシステムを開発していきます。トータルの市場規模は1兆ドルを超えますし、100年に一度のモビリティ変革期の最中なのでビジネスチャンスはとても大きいと思います。
自転車だけでなくモビリティ全般の課題とも言えるのがバッテリーなんです。高い、重い、資源が有限。超電導と回生ドライブシステムでバッテリーを削減し、電動自動車の価格を安くする画期的な技術に対して、世界中のモビリティメーカーからの高い期待を頂いております。この技術をユニバーサルな商品として形にすることさえできれば事業としての勝算もきっちり見込めると思いますので、今はそれにチャレンジしているところです」
文/太田ポーシャ