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サステナブルな時代ゆえに生まれた「異業種コラボ」が新たなビジネストレンドに

2024.05.12

SDGsの流れから、各企業でサスティナビリティが追求されている。そうした中、業種や業界を超えた企業同士がコラボレーションする動きが目立つようになった。従来では考えられなかった結びつきが生まれている。持続可能性を追求する時代だからこそ生まれた異業種コラボを2つ取り上げる。

三井住友信託銀行×ERMグループ(イー・アール・エム日本)~気候変動コンサルティングとファイナンスを一気通貫で

環境・社会・労働安全衛生の各分野を専門にコンサルティングサービスを提供するイー・アール・エム日本(以下、ERM日本)は、気候変動領域における新たな価値創出に向け、自らESGを推し進めてきた三井住友信託銀行(以下、SMTB)と共に新会社、ERM SuMi TRUSTコンサルティング株式会社を設立した。気候変動に関するコンサルティング業務を中心に行っていく。

●協業に至った経緯

今年2月に開催された同合弁会社の設立に関する発表会では、協業に至った経緯や今後の活動内容などが紹介された。

SMTB代表取締役副社長 法人事業統括役員 田中茂樹氏は、協業の経緯として次のように述べた。

SMTB 田中氏

「SMTBとERMグループは、日本法人であるERM日本を通じて、法人顧客のE(Environment)の領域に関する経営課題を解決するため、2021年前半より提携を開始し、共同活動を実施してきました。SMTBはこれまでもサスティナビリティのコンサルティングを幅広く用意してきましたが、当時始まったTCFB(気候関連財務情報開示タスクフォース)に対応するコンサルティングがなかったことから、プロのERM日本と提携をしたというのが当時の経緯。その上で、ESGが日本においても強化、拡大しており、脱炭素に関する開示も加重される中、コンサルニーズ、調査ニーズ、分析ニーズ、戦略策定のコンサルニーズも拡大。今のTCFBを中心とした狭い分野の提携のみならず、広がるマーケットに応えるために合弁会社を設立する運びとなりました」

またERM日本代表取締役社長 野間達哉氏は、「3年ほど業務提携をやらせていただいた後、順調に進んだため、合弁会社を作り、手を握り合って一つの会社にし、気候変動のアドバイザリー部分からファイナンスまで会社として一気通貫して提案できるようにしたほうが、お客様も安心して依頼ができるのではないかと考えました」と述べた。

ERM 野間氏

●異業種コラボによる効果

日本に根付く信託銀行と、グローバルな環境コンサルティングファームはある意味、異業種といえる。コラボによる効果とは?

SMTB・田中氏は、発表会で次のように述べた。

「ERMグループはサスティナビリティに特化した、世界最大のコンサルティング会社。その気候変動や人権に関する調査、分析、コンサルティングはSMTBの既存機能にはない、ミッシングピースの一つです。そのため新会社はSMTBのサスティナビリティバリューチェーンの強化につながり、ERMグループにとっては、SMTBの法人のお客様への展開により、日本ビジネス拡大につながります。今後の法人のお客様の企業価値の向上、資本市場の活性化に貢献していきます」

またERM日本・野間氏は次のように話した。

「ESGのビジネスはロードマップを作れば終わりではない。その後はファイナンシングをはじめとしたさまざまなソリューションが必要になってきます。そのソリューションをSMTBと一緒に作っていきます。今までの日系のコンサルティング会社が持っていなかった新しい分野に入っていけるのではと考えます」

●今後の展望

今後の提案活動については、主に上場企業を対象とし、エネルギー企業やCO2排出企業、グローバルなサプライチェーンを有する企業などが中心になるという。

ERM日本・野間氏は今後の展望として次のように意気込みを語った。

「近いうちにヨーロッパで情報開示の法律が制定されることもあり、問い合わせも増えています。特にグローバルに展開する企業はこの問題を避けては通れず、対策は必須です。そのためにはERMのアドバイザリーとSMTBのソリューション、ファイナンスの部分が必要であり、うまくブレンドして、日系企業のお役に立てるようにしていきます。

とても大きな可能性を感じているため、加速的に成長し、3年後には10億規模のビジネスにしていきます」

異業種コラボが実現したのは、世界的な情勢や顧客からのニーズが高まりからの自然な流れといえそうだ。

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