3)スマホによる採寸DX「MeasureMany(メジャーメニー)」
IDEC AUTO-ID SOLUTIONS株式会社の「MeasureMany」は、採寸したいものをiPhoneProの機能を使用し、画面タップするだけで、物体との距離や形状を自動採寸できる採寸DXを実現するソリューションだ。
基本機能についてはAppStoreから無償でDLして手軽に利用でき、採寸の負荷軽減につながる点が評価されているという。また一般公開版では提供していない機能ではあるが、5m以上の高さの測定も可能で、従来の3Dレーザー測定器の使用に比べて使いやすいとの評価もあるそうだ。
このソリューションはどんな課題を解決するのか、またDXに寄与するポイントや今後の展望を同社の事業開発部 部長の織田収氏は次のように述べた。
●解決する現場課題
「製造現場でのメジャーによる測定ミス低減、紙の削減、データの入力工数削減、転記ミス防止などに役立ちます。実際の作業においては、測定作業時間の削減、手の届かない大きさ、複数人での作業、高所や危険な箇所での測定を安全な離れた場所から測定を可能(※)にすることで作業者の心身的な負荷低減につながり、生産性向上に貢献します」
※測定条件あり
●DXに寄与するポイント
「従来はメジャー測定後に紙の書類に記入していたケースも多くありましたが、本アプリでは数値データのみならず画像履歴も残すことができるため、記入作業が不要になる上に、トレーサビリティにも活用できます。また、段ボールケースなどの直方体の3辺を計測できるだけでなく、カバンなどの不定形品のサイズ測定、円柱形の直径・体積、さらには多角形の面積・周長などのさまざまな測定が簡単にできます。有償でご利用の場合は測定したデータはクラウドサーバーに転送できるので、測定データの活用を後押しします」
●今後の展望
「現在、AIを活用して当該ラベルを識別し、必要な情報だけをOCRする『ラベルAI識別OCR』など、DX化に寄与する製品をハード、ソフトの両面で取り組んでおります。商品検品や照合が、熟練なしで誰でも簡単かつ確実にできるようになるため、作業時間の短縮や人手不足対策に有効です。日付情報やロット番号などのデジタル化も容易で、業務の効率化を促進します」
設備点検DX、検品DX、採寸DXをスマホで実現するソリューションを紹介した。いずれも手軽に導入しやすい点が、DXというハードルを下げ、まずは現場の作業効率化を実現している点が共通している。これを起点に、企業規模問わず、工場内DXが本格的に進んでいくことを期待したい。
文/石原亜香利