現在、製造業は人手不足や働き方改革、DX推進など、さまざまな課題に直面している。そうした中、期待されているのがDXによる解決だ。今年1月末に開催された「スマート工場EXPO/スマート物流EXPO」では、物流業界が抱えるさまざまな課題解決のための最新技術がお披露目された。出展したうち、製造現場におけるスマートフォンを活用するDXソリューションを3つ紹介する。
1)スマホによる設備点検DX 「MONiPLAT(モニプラット)」
株式会社バルカーの製造現場における設備点検の課題を解決するプラットフォーム「MONiPLAT」は、スマホで手軽に点検業務を行えることで、定期点検業務を効率化する。
提供開始から約11ヶ月(2024年3月時点)で500社以上に導入されており、当初想定していた石油化学系だけでなく医療や食品、鉄鋼や金属、建設など幅広い業界に広がりを見せているという。
特に中小規模の顧客には定期点検に最適化された使いやすいUIと、20設備まで無料で利用できる料金設定が魅力となっている。これらの特徴により初期費用を抑えながらもDXを始めやすくなっており、システム導入予算が限られている企業からも大きく評価されている。
このプラットフォームはどんな課題を解決するのか、またDXに寄与するポイントや今後の展望を同社のH&S事業本部デジタルソリューション部 オペレーションマネージャー 藤田 勇哉氏は次のように述べる。
●解決する現場課題
「製造現場においては、人手不足や設備の経年劣化等の課題が顕在化しており、安全・安心をより効率的に、一体的に実現したいニーズが増大しています。そこで現場管理の基本である定期点検にフォーカスした一元管理ツールを開発しました。現場で行われているアナログな紙での点検業務をスマートフォンやタブレットで簡単にペーパーレス化し、複雑で煩雑な設備点検の記入・申請・承認作業やスケジュール管理に加えて、スマホでの報告書作成やリアルタイムでの承認申請が可能です」
●DXに寄与するポイント
「一般的に、設備管理業務においては、一定期間ごとにメンテナンスを行うTBM(Time Based Maintenance)と、設備の状態に応じてメンテナンスを行うCBM(Condition Based Maintenance)が行われています。MONiPLATではこのTBMとCBMを同一プラットフォーム上で一括管理できます。特に人手に頼った点検業務の負担が重く、紙業務が多く残る現場にとってMONiPLATの3大価値である点検工数の削減、点検データの活用、点検予定の可視化が、現場の課題解決、およびDX推進の大きな手助けとなります」
●今後の展望
「MONiPLATは、あらゆる点検作業を一元管理するプラットフォームとして、今後もアジャイル開発を実践することで、より柔軟にかつ迅速にサービスをユーザーに届け、サービスの品質を向上させていきます。また外部サービスとの連携推進や機能追加などラインアップを拡充していき、お客様とのつながりを活かしながら遠隔監視という領域での事業化も着実に進めていく予定です」