ロイヤルカナン スペシャルインタビュー前編
ロイヤルカナンブランドを展開するロイヤルカナン社は犬と猫の健康を牽引する世界的な企業だ。フランスに本社を構える同社は、シンポジウムを毎年開催しており、世界各国の獣医療関係者が科学的経験や成功事例を発表している。
4月上旬、フランスのモンペリエで開催されたシンポジウムでは計64カ国から550名を超える獣医療関係者が参加した。今回シンポジウムへ参加し、同社のグローバルプレジテントや経営陣、専門家にインタビューする機会を得た。
犬と猫の健康とウェルビーイングを牽引するパーパス経営の実践
ロイヤルカナンの経営理念には、犬と猫の健康とウェルビーイングへの強いコミットメントが表れており、これが「ペットのためのより良い世界」というパーパス(存在意義)を軸とした経営の基盤となっている。
このパーパス経営は、単に製品を製造・販売するだけでなく、犬と猫の健康を科学的にサポートし、ペットと飼い主の生活の質を向上させることを目指している。
ロイヤルカナンのグローバルプレジデントのセシル・クートン氏は明確な経営理念とビジョンを基に、同社をリードしてきた。
常に「ペットのためのより良い世界」というパーパスを原動力としている彼女に話を聞いた。
――まずグローバルプレジデントの役割について教えてください。
「私たちの会社は、獣医師コミュニティ、ブリーダーなどペットの専門家、そしてペットオーナーに対して、常に明確な基盤とビジョンを持って取り組むことにより、成功してきました。その成功を会社全体で引き継ぐことが私の役目だと思っています。
この明確な基盤とビジョンを、引き続き意義ある成果と結びつけるために、しっかりと役目を果たしていかなければなりません。
フランスで始まったこのビジネスは、現在120以上の市場に展開されており、グローバル化しています。ロイヤルカナン グローバルのプレジデントとして、最良の形で組織をリードし、最先端の知識とサービスを通じて犬と猫の健康増進に取り組んでいきます」
――ロイヤルカナンの「パーパス経営」について教えてください。
「ロイヤルカナンは『社会的な価値を提供し、持続可能な発展を目指す』という経営方針を持っています。その方針を具現化するには、私たちがこの世界でどのように貢献したいかというビジョンを持つことが大切です。私たちのビジョンは、『犬と猫に栄養学に基づいた高品質な食事を提供し、彼らにより健康になってもらう』ことです。
このビジョンを実現するためには、様々な“理解”が必要です。私たちは、犬・猫が生まれる時から、どのような栄養ニーズがあるかをしっかり“理解”し、成長に合わせて適切な栄養バランスを持つフードの種類を豊富に用意し、それらを提供することで、ペットが健康に成長できる基盤を作ります。
獣医療の専門家にも適切なタイミングで私たちの知見を提供し、個々の犬と猫で異なる栄養ニーズへの“理解”を深めてもらうことが重要です。
これは、単にビジネスのためではなく、両者の信頼関係に基づいて最適なフードをペットオーナーに推奨していただくことで、犬と猫により健康になってもらうためです」
――今後の経営についての目標を教えてください。
「経営においては、大きな野心的目標を持ち続け、高品質なフードを通じて犬と猫がより健康に生きられるように努めていきます。中でも、肥満や高齢化の問題に対処していく必要があります。また、データの有効活用やAIの活用により、より良い診断と予防ケアの拡大を目指していきます。
組織作りについては、才能と個性を重視し、ダイバーシティ(多様性)を大切にしていきます。優れたチームは、才能あふれる人々がそれぞれの立場から貢献することで成り立っているからです。そして、適切なフィードバックと評価を通じて、常により良いパフォーマンスを目指します」
――日本の皆さんへのメッセージはありますか?
「私たちはペットのニーズを理解し、より最適な栄養バランスを追求し続けます。高品質な製品を提供し続けるために、徹底した生産体制と品質管理に努めています。
私たちの製品をご愛用していただくことで、ペットとペットの専門家、そしてペットオーナーの皆さんに貢献すべく、これからも努力し続けてまいります」
セシル・クートン氏のインタビューでは、企業としての明確なビジョンと社会的責任に対する強い意識が感じられた。グローバルで一貫した製品の高い品質を維持しながら個々の犬と猫のニーズに合わせて、世界中の市場に製品を展開する彼女の姿勢は、リーダーシップの視点からも学ぶべき点が多い。
ロイヤルカナンは今後もペットとオーナーのために革新的な製品とサービスを提供し続けるだろう。
取材・文/Inoue.x.