今後の見通し/人手不足割合は高止まりで推移も、就業人口の増加が続けば低下に転じる可能性
人手不足割合は正社員では51.0%、非正社員では30.1%となりそれぞれ高水準で推移している。そうしたなか、足元では月次ベースとして2か月連続で前年同月を下回った。
新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行されてから人手不足割合は上昇し続け、2023年から高止まりで推移していたなか、わずかながら変化の兆しがみられる。
2024年3月時点の労働力調査(厚生労働省)では、就業人口は前年同月から20カ月連続で増加した。働き手の拡大が人手不足の緩和につながっている可能性が示唆され、実際に新規求人倍率や有効求人倍率(同)においても2023年より低下した。
今後も同様の傾向が続けば、人手不足の割合は低下傾向に転じることも考えられる。
一方で、高水準が続いている業種は引き続き顕著だ。IT人材不足が深刻な「情報サービス」や2024年問題に直面している「建設」「運輸・倉庫」を筆頭に、インバウンド需要の高まりを受けて「旅館・ホテル」「飲食店」でも特に際立っている。
それぞれの業種からは、堅調な引き合いのなかで人手不足を理由に受注し切れないという声が相次ぐなど、機能不全が顕在化している。
人手不足が常態化すれば業績の維持・拡大が期待しにくくなるなか、中長期的に人材確保や業務効率化に向けた対策を講じられるかが、今後の事業継続を大きく左右するだろう。
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構成/清水眞希