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年功序列は、企業をはじめとした組織における賃金を決定する際の人事制度で、勤続年数が長いほど評価が高くなる制度。
本記事では、年功序列の意味や成果主義との相違点を紹介する。年功序列を採用することによって生じるメリット・デメリットについても解説するので、年功序列の採用を検討している方はぜひ参考にしてほしい。
年功序列とは
年功序列の基本的な意味は知っているものの、背景を詳しく知る方はそう多くないだろう。まずは、年功序列の意味や背景、成果主義との相違点を確認していこう。
■年功序列の意味
年功序列は、年齢や勤続年数を重視した人事制度を指す言葉。給料や役職が勤続年数によって決まり、長年務めることで培われたスキルや経験を評価する制度だ。
日本で年功序列が広まったのは、戦後の高度経済成長期。企業はさらなる成長のために人材確保が急務となり、年功序列および終身雇用が拡大した。年功序列は現代でも採用されており、日本企業の特色として挙げられる制度だ。
■成果主義との相違点
成果主義は年功序列とは反対に、従業員が持つスキルや実際にあげた成果を重視して評価を行う人事制度。バブル崩壊後、人件費の削減が課題となった組織は年功序列を廃止し、適切なコストカットをしやすい成果主義が広まった。
近年では転職者の増加や少子高齢化による労働者の減少などの影響により、年功序列への反対を示す意見も多く、相対的に成果主義を重視する組織も増加傾向にある。
年功序列のメリット
次に、年功序列のメリットを紹介する。自分の組織にとってメリットが多いと感じる場合、年功序列の導入を検討してみよう。
■従業員が長期間定着しやすくなる
年功序列のメリットとしてまず挙げられるのは、従業員が長期間定着しやすくなること。長く在籍してくれれば長期的な戦略や人事を行いやすく、各人に適した育成を行える。
長期的に在籍することで従業員のパーソナリティや得意分野もわかってくるため、配属部署等も適材適所で行いやすくなるだろう。また、従業員が定着しやすくなると人員不足になることも少ないため、採用や育成で発生するコストがかからない点もメリットだ。
■従業員の帰属意識の向上
従業員の帰属意識の向上も、年功序列のメリット。年功序列により従業員の定着率が上がれば、長年勤めた組織への愛着がわいてくる。従業員同士の関係も深まっていくため、協力して何かを達成しようとする気持ちも強くなるだろう。帰属意識の向上による結束力の強化は、組織の力を高めることに大きく貢献するはずだ。
■人事評価がわかりやすい
人事評価がわかりやすいのも、年功序列のメリット。年功序列の場合、評価の基準となるのは年齢・勤続年数に限定されるため、評価の管理がしやすく、事業計画も立てやすくなる。
従業員側も評価がわかりやすいため、自身のライフプランを考えやすい点も見逃せない。約束された昇給や各種社会保険がセーフティーネットとなり、従業員が将来の不安を抱きづらくなるため、仕事に集中できる環境を提供できる。
年功序列のデメリット
ここからは、年功序列のデメリットを紹介する。メリットよりもデメリットのほうが大きいと感じた場合、年功序列の導入は控えた方が良いだろう。
■組織全体の成長意欲が低下する
年功序列のデメリットとしてまず挙げられるのは、組織全体の成長意欲が低下すること。年功序列では成果は重視されないため、成果を高めるための工夫や成長意欲が損なわれやすい。
従業員の向上心やチャレンジ精神が育ちづらいため、組織としてもチャレンジングな風土が失われる可能性がある。年功序列を採用する際には、組織の変化や成長を止めないための仕組みや取り組みが必要だ。
■若手のモチベーションが低下する
若手のモチベーションが低下する点も、年功序列のデメリット。勤続年数で評価が決まることは、裏を返せば勤続年数が少ないと成果を上げても評価されづらいこと。
頑張っても報われない、といった感覚になってしまうため、成果を上げる意義を失ってしまい、モチベーションが上がらなくなる。近年では成果主義を重視する風潮も強まっているため、転職による従業員の流出にもつながる可能性が高まるだろう。
■人件費が増加し続ける
人件費が増加し続けるのも、年功序列のデメリットとして見逃せない。勤続年数が長い従業員が増えるほど、支払う給与も増加するため、人件費も増加し続ける。長期勤続している従業員は組織に所属するメリットも大きいため、より長く働きたいと考え、組織に残る期間も長くなりやすい。
対して成果主義は各人のスキルや実績に応じた人件費の分配ができるため、成果主義を採用する組織も増えている。人件費の拡大は組織にとって大きな負担となることも頭に入れておこう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部