世界3大墳墓の一角を担う! どっしり存在感の大仙古墳
2019年に世界遺産に認定された大仙古墳は、日本最大として、さらには世界3大墳墓の一つとしても数えられる、誰もが知っている有名墳なわけですが、実際どのくらいの大きさなのか想像がつくだろうか。
この古墳は周濠と呼ばれる濠が全体に巡っていて、普通に歩いて1時間。かなり体力を消耗される距離になる。それほどまでに巨大な古墳を造るには、どれだけの費用や人手と労力、年月がかかったことだろう。
その当時の様子をうかがい知れるのが、大阪府の太子町にある大阪府立近つ飛鳥博物館の立体模型です。
近つ飛鳥博物館(大阪府太子町)
あまりに大きすぎてこういう写真しか撮れないのだが、大仙古墳は後円部より前方部が大きく、そしてかなり広がってきていることがおわかりいただけるだろうか。
模型のすぐ横から水平に墳丘を観察すると、後円部と前方部の高さもあまり変わらないような気がする。
そして、くびれの部分両方から突き出ているのは「造出し」と呼ばれるもので、その性質は先ほどの五色塚古墳の島状遺構と同様に、祭祀が行われていた場所というのが一般的な見解です。
また、全体を俯瞰してみると周濠のまわりに小さな古墳がいっぱいあるね! これは「陪塚(ばいちょう、ばいづか)」といって、大きな古墳の近くにありがちな小さい古墳のこと。人が埋葬されていることもあれば、武具や農工具などが埋納されていることもある。
この大仙古墳が築かれた5世紀頃は、古墳時代の全盛期。近畿地方を中心に、日本列島を支配しつつあるヤマト王権が最も隆盛を誇った時代で、より巨大で豪華な古墳を造ることがステイタスであり、対外的にも重要な国家プロジェクトだったといえそうだ。
そう考えると古墳が巨大ステージのようにも見えるし、周りの陪塚たちは大きな大仙古墳に従っているような、守りを固めているようにも見えてくる。
では空からの画像も見てみましょう。
大仙古墳(大阪府堺市) Google mapより引用
あれ?なんかくびれがあんまないし、ちょっと太った? そして周濠が額みたいだし、てっぺんの周堤にくっついた陪塚がリボンみたいになってるよ! 思わずそんなツッコミをいれたくなる可愛い一面も持つ大仙古墳は、宮内庁さんに仁徳天皇陵として治定されていることから、仁徳天皇陵古墳とも呼ばれることが多いですが、実は考古学界では「違うんじゃね?」という説も濃厚。なので、人前ではなるべく「大仙古墳」と呼んでおいた方が安全です。
およそ400年にわたる古墳時代の中で、前方後円墳がちょっとずつ姿を変えたり、力ある者がよりボリューミーなサイズに進化させていった様子が伝わりましたでしょうか?
今回は有名な大きな古墳のみ厳選してピックアップしましたが、全国の前方後円墳の中には全長20メートル足らずの超ちっさい古墳や、造出しがくびれ部とは違う場所にある古墳など、その種類は多種多様。
人間と同じく個性豊かで「みんな違ってみんな良い」ので、もしお時間がありましたら、身近にある前方後円墳がどんなスタイルをしているのか、ぜひGoogle mapの航空写真で確認してみてください!
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文/古墳王子
愛知県在住の現役高校生。小学4年生で古墳の魅力に目覚め、西は鹿児島から東は宮城まで延べ3000基以上の古墳を巡りSNSで情報発信中。古墳だけでなく縄文や弥生時代にも目を向け、日々各地の博物館に出没し先史古代の珍しい逸品を探しています。
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