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春バテや五月病を乗り越えるヒントが満載!サッカー元日本代表・中村憲剛さんに聞く「こころ」の話

2024.05.08

「勝つ」組織は、心が一つである

あまりのショックに中学校時代は、サッカーから遠ざかった。

「今思えば、サッカーから離れたことで、自分を見つめ直すことができました。入学してすぐの5月に入っていたクラブを辞めて、2年生になったと同時にサッカー部の友人に誘われ入部しました。そして、久しぶりの試合でピッチに立った時に“僕はサッカーが好きだ”と痛感したんです。それまで固執していた、驕り高ぶる気持ちや、自意識のようなものが、なくなっていることがわかりました。

本当に辛い経験をしたときは、一度そこから離れて客観視してみるといいですよ。すると、自分の道が見えますから」

その後、進学した都立久留米高校(現在の東久留米総合高校)ではサッカー部に入り、都大会のベスト4に進出。その後、入学した中央大学のサッカー部は、関東大学サッカーリーグの1部に所属している名門だ。同級生には全国高校選手権に出場経験がある人や、Jリーグのクラブの下部組織にいた人もいた。

「大学での僕は全く無名の存在。実力もなく、体力的にも1番下。そうとわかって、サッカー部に入部しました。だからこそ、練習に打ち込み、2年生の時にレギュラーになりました。しかし、大学3年生のときの試合に負け、チームは2部に降格してしまったんです。僕がもっと活躍したら、1部のままいられたのではないかと、責任を感じました」

中央大学サッカー部は、52年間1部リーグにいたが、出場した試合のときに、負けを喫してしまい、チームを降格させてしまったのだ。中村さんは4年のキャプテンに就任時に、1部リーグへの復活を決意する。

「毎日のように部員とミーティングをして、それぞれの考えを聞きました。チームで結果を出すには、対話を繰り返して皆の気持ちを一つにしなくてはなりません。リーダーの役割は、理念や目標を掲げ、そのために全員の心をまとめることです。

チームメンバーの組織への“愛着”を育てることにも注力しました。チームの一員であるという帰属意識の向上のために、グラウンドの整備や用具管理のほか、細かいところまで、役割配分をしたのです。

上級生が積極的に声掛けをし、部員全体の話し合いの機会を増やしていきました。この時のエピソードは、この本の中にも書いてあるのですが、読者の方から、仕事や勉強にも同じことがいえると意見をいただきました。やはり、どんなに好きなこととはいえ、結果を出すためには、辛いこともあり、一人では限界があります。仲間とともに、取り組むからこそ、大きな力を引き出し合えるのです」

結果を出し続ける企業は、理念や目標を共有し、リーダーが部下と会話を繰り返している。それぞれに役割を与えて、的確な意見を言う。

「この経験が、川崎フロンターレに所属した後にとても生きました。チーム全体を見て、まとめることは、ピッチの中だけではなく、ピッチ外の要素がとても大きい。大学時代に、チームをまとめる経験をしたことが、川崎フロンターレのリーグ優勝につながったと確信しています」

個人として、心を強くするために大切なことは、「自分をしっかり見つめ、現在地を確認すること」だと言い切る。

「プロになってからも、周りとの実力差を感じて、焦燥感や危機感を感じることが多々ありました。結果も出せず、評価も得られない時も長かった。そういうときにすべきことは、“どうすれば、はいあがれるか”を考え、実行することです。自分を心の中心に据え、何ができて、何ができないかを分析し、すべきことは行う。疑問があれば、人の意見を聞くのです。大切なのは、『今日より明日はうまくなる』と自分を信じながら、心を強くしていくこと。そうするうちに、壁は乗り越えられています。そして、気づくとさらに高い壁が立ちはだかっている(笑)。人生はその連続かもしれませんね」

厳しいプロサッカーの世界で、18年間ピッチに立ち続けた中村さんの言葉には、強い力がある。2回目では、後進を育てる立場になって気づいたこと、家族との関わりについてなどを中心に紹介していく。

(プロフィール)
1980年10月31日、東京都生まれ。中央大学卒業後、03年に川崎フロンターレに加入。16年に史上最年長でJリーグ最優秀選手賞(MVP)を受賞。’17年のJリーグ優勝をはじめ、5つのタイトル獲得に貢献。日本代表としては2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ、国際Aマッチ68試合に出場。現在はサッカー指導者、解説者として、サッカー界の発展に尽力している。

『中村憲剛の「こころ」の話 今日より明日を生きやすくする処方箋』
中村憲剛著・木村謙介監修 小学館クリエティブ 1650円
「心って、一体なんだろう?」という簡単には答えが見つからない究極の問いを、著者と川崎フロンターレのチームドクターでもある医師・木村謙介さんが考察。トップアスリートは、体と心の両面を最高の状態に維持する。その思考法やメンタルチューニング術を解説。サッカーやスポーツに詳しくない人の心にも“効く”一冊。

取材・文/前川亜紀 撮影/五十嵐美弥

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