2022年4月、スポーツ用品メーカーのミズノから、スポーツの後に飲む新しい飲料の選択肢として、ノンアルコールビール「PUHAAH(以下、プハー)」が発売された。ミズノ初の試みでありながら、初年度の売上は当初の予想の4倍を記録。
ホップリラクセーションドリンクのプハーは330ml×6本セットで3240円(ミズノ公式オンライン価格)
今回は、プハーの開発を進めたミズノ株式会社 グローバル研究開発部 エキスパート近藤由佳さんに、市場にない新しい商品を開発するうえでの苦労や、他業界と共同開発を進める際のコツなどについてお話を聞いた。
*本稿はインタビューから一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
大人の〝スポーツ後のご褒美〟はノンアルコールビール?
スポーツ後に飲むためのノンアルコールビールとして開発された、プハー。同製品の特徴について近藤さんは次のように語る。
「プハーはスポーツ後に飲むことを想定し、爽快感があり、ごくごくと飲める味わいに仕上げています。ビールには、IPAやエール、ピルスナーなど100以上のスタイルがありますが、プハーはエールに近い味わいです。原材料に香りの強いアロマホップを使っているので、果汁は入れておらず香料も使用していませんが、フルーティーな香りを感じていただけます。
また、日本のビールのほとんどは『ろ過』の工程を経て作られますが、プハーはあえて『無ろ過』で仕上げているんです。そうすることで香りや味わいを最大限に残し、アルコールが入っていなくても満足いただけるようにしています」
なぜ、スポーツ用品メーカーがノンアルコールビールの開発に至ったのだろうか。その背景について近藤さんはこう話す。
「ミズノでは、大人がスポーツを続けられるようにするにはどうすれば良いかを、ずっと考えてきました。大人がスポーツをする理由の多くはダイエットや健康診断のためなどで、楽しむというよりは義務感が大きいですよね。体を動かす大切さは分かっているけど、なかなか続けるのも難しい。ただ周囲でヒアリングを進めていたところ、高確率で『運動後のビールのためならがんばれる!』という声があったんです。これだけ多くの人が言うなら、キーになる何かがあるはずだと深く調べていき、プハーの開発に至りました。
ノンアルコールビールにしたのは、運動後のアルコール摂取はおすすめできないからです。アルコールを体内で分解する時に水分を使うので、スポーツで汗をかいた後には、脱水症状を加速させてしまう恐れがあります。そこで、スポーツ後に安心して飲めて、満足感を得られるノンアルコールビールを開発することにしました」