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【ヒット商品開発秘話】発売から5か月で500万個売れたハウス食品「X-BLEND CURRY」

2024.05.09

テレビ取材の対応を担う支店の営業メンバー、スタッフ

 最初に発売したのは甘口と中辛の2つ。大人のニーズが高い辛口を最初から発売しなかったのは、子どもに食べてもらいたいからであった。子どもにおいしいと思ってもらうことが支持を得るためのポイントだと考えていたことから、甘口や中辛で子どもにスパイスを体感してもらい、反応を確かめることにした。

 なお、『X—BLEND CURRY』の辛さレベルはすべて、同社の大箱ルウカレー『こくまろ』に準じている。

 辛口の発売は発売開始直後に決まった。甘口、中辛合わせて発売初週で137万5000個を超える出荷をしたほど好調な売れ行きを示したためである。辛口の発売を要望する声も発売と同時に多数、同社に寄せられた。

「売れ行きは想定した通りに推移しています」と髙田氏。テレビCMの放映、ハウス食品グループの会員制オウンドメディア『Come on House(カモンハウス)』上でのサンプリング、ハウス食品グループ公式XやLINEでの情報発信などで商品を広く知ってもらうことにした。

『Come on House』でのサンプリングは2回(2023年8月、11月)、どちらも100名に配布。初回実施時にはサイトに約50名の当選者からコメントが書き込まれたが、スパイスの香りや味わいを好意的に評価する声が多くを占めた。

 スパイスに対する子どもの反応は、『Come on House』に書き込まれたコメントの限りでは受け入れられていると同社は判断。「おかわりをした」「甘口を食べていた子どもが中辛をおいしく食べてくれた」などといった書き込みが見られた。

 従来と異なり販促で意識して実施したのが、地方の支店に配属されている営業メンバー、スタッフに積極的に宣伝してもらったこと。地方のテレビ局に取材される時、テレビ局のエリアを担当する支店の営業メンバー、スタッフに登場してもらうようにした。

 支店の営業メンバー、スタッフに宣伝を担ってもらったのは、全社一丸となって『X-BLEND CURRY』を推していることを伝えるためだった。髙田氏は次のように話す。

「テレビの取材は主に、東京本社にいる私のような企画担当者や千葉にある研究所のスタッフが対応します。これは地方のテレビ局からの取材でも同じなのですが、同じ人間がずっと登場するよりはいろんな社員が登場したほうが、全社一丸になって『X-BLEND CURRY』を推していることが伝わるのでは、と考え、支店に対応をお願いすることにしました」

スパイスの組み合わせを見直した辛口

 遅れて発売になった辛口は、同社の大箱ルウカレーでは初めて、粗挽き黒胡椒と青唐辛子を採用した。粗挽き黒胡椒は華やかな香りとシャープな辛さ、青唐辛子は爽やかな香りとスッとする辛さをもたらす。

「辛いけどスパイスの香りが感じられるものにするため、スパイスの組み合わせをこれまでの辛口から見直しました」と髙田氏。パッケージの辛さ表記のところに甘口や中辛にはない「香り豊かな」という文言を入れたほど、香りには自信を持っている。

辛口のパッケージ。辛さ表記のところに、甘口や中辛にはない「香り豊かな」と記載している

 辛口の開発で難しかったのが、辛さと香りの両立。辛さが目立つとスパイスの香りの存在感が弱くなってしまう。だからといって、香りを立たせるために辛さを犠牲にすることはできない。

 辛さと香りの両立の観点から選ばれたのが、粗挽き黒胡椒と青唐辛子だった。とくに黒胡椒は、これまでもカレールウに使われてきたが、香りが立つよう粒度が粗い粗挽き黒胡椒を選んだほどだ。

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