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急増する外国人労働者に日本流のビジネスマナーをどこまで求めるべきか

2024.05.06

留学生向けのビジネスマナー研修だとどのレベル?

語学習得基準の一番下の段階でもかなりのレベルのような気がするが、もっと驚いたのは、ヒューマンアカデミー日本語学校が、日本の大学に在籍する留学生向けのビジネスマナー研修のために作成した「ビジネスマナー研修」。以下はその単元の一部だ。

■一般的なビジネスマナー
表情・挨拶・身だしなみ・おじぎ・立ち方・座り方
■訪問のマナー
受付・遅刻した場合の連絡・待機・着座(上座/下座)・名刺交換
■基本のビジネスルール
時間厳守・報告/連絡/相談・整理整頓・コミュニケーションのポイント・敬語表現・ビジネスメール

テキストを見ると、最初は「笑顔で挨拶する」などごく簡単な内容だったが、後になるにつれ「これは日本人でもできている人は多くないのでは?」と思うハイレベルになっていく。

「最初に受けた印象はいつまでも消えない」「・初対面の最初の7~8秒で、よい印象を持ってもらうことが重要」というアドバイスが書かれている。

会釈:同僚とすれ違うとき、前を通るときなど
敬礼:最もよく使う。上司への挨拶、来客の送迎、訪問時の挨拶、お礼を言うときなど
最敬礼:重役に感謝やお詫びをするときなど

例えば上の2つのマナーは、日本人でも迷う人が多いのではないだろうか。また冒頭の調査で「外国人材に理解してもらえない」という回答があった「5分前行動」についてもしっかり項目が立てられていた。

※テキストでは「10分前行動」

「5分前行動」とは、仕事の予定時刻の5分前にはそれを行う場所にいて、定時ジャストから始められるように準備を整えておくことを指す。時間を厳守し、余裕を持って仕事に取り掛かることが目的であり、日本人にとってはあたりまえのことだが、冒頭のヒューマンホールディングス株式会社の調査結果にもあるように理解が難しい外国人材もいるようだ。

外国人材向けのマナー研修ということで、最低限のマナーをイメージしていたが、この「改まった言い方」に至っては、ベテラン社員でもたまに誤用するレベルでは…。

高い日本語レベルが求められる業種とは

はたして、こうした高い日本語能力を求められるのは、どのような業種なのだろうか。冒頭の調査によると、日本語能力試験のレベルで最も難しい「N1」(幅広い場面で使われる日本語を理解することができる)と「N2」(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)の日本語能力を求める業種は、「卸売業・小売業(43.4%)」「介護(38.7%)」「情報通信業(37.5%)」という結果になった。

「顧客と直接接する業種や、専門用語を使用しロジカルに業務を進めることが必要とされやすい業種において高い日本語能力が求められている傾向が見られる」(ヒューマンホールディングス)。

こうした言語能力に秀でた外国人材が今後増えていくことを思うと、正直、脅威に感じる人もいるかもしれない。一方、冒頭の調査で「外国人材への感謝」エピソードとして「何でも覚える姿勢」を挙げる人が多かった。私たちがこうした外国人材の姿勢から学べることは多いのではないだろうか。

取材・文/桑原恵美子

取材協力/
ヒューマンホールディングス株式会社
ヒューマンアカデミー 日本語学校
ヒューマンアカデミー ビジネス教育事業部

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