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急増する外国人労働者に日本流のビジネスマナーをどこまで求めるべきか

2024.05.06

外国人材を雇用して起こったトラブルや困ったこと第一位は…?

「外国人材を雇用する中で起きたトラブルや困った」エピソードについては、最も多かったのが「言語の壁」によるトラブル。

・ニュアンスの相違で、意思疎通が図りにくい
・言葉が理解出来ないので作業手順を間違えるトラブルがあった
・細かい日本語を理解できない
など。

次いで多かったのが、文化・慣習・感覚の違い。

・社会マナーが違う
・日本の風習が通じない
・5 分前行動を理解してもらえない
・宗教上の規制で業務に支障がある

一方「言語」についてはグローバル対応の側面におけるメリットも多く、以下の理由から「感謝したエピソード」でも上位に挙げられている。

・語学を教わった
・海外からの電話対応
・通訳が不要
・多国籍の顧客に対応できるようになり、企業の幅が広がった
・グローバル人材相手の交渉時

語学能力は単語や文法の理解よりも、「実生活で、日本語で何ができるか」が大事

日本企業が外国人材に対して危惧している「「言語の壁」によるトラブルを防ぐため、外国人材向けに、語学やマナーなどを教えるスクールも増えている。1991年の創立で外国人材への日本語教育のさきがけ的存在である「ヒューマンアカデミー日本語学校 東京校」(東京都新宿区)では、「グローバル人材育成」のために、社会活動に必要な日本語のコミュニケーション力と社会人基礎力の養成を目標とし、外国人材の「できない」ことではなく「できる」ことに注目し、「学習者のプロフィシエンシーを育てる」ことを教育理念としているという。

「ヒューマンアカデミー日本語学校 東京校」授業風景

プロフィシエンシーというのは聞きなれない言葉だが、「習熟」「熟達」「実践力」「問題解決力」などと訳される広義の言葉。言語教育では「言葉を介して何がどの程度できるか」という熟達度を示す言葉として使われている。

創立時から、留学生や外国人材の日本語教育に携わってきた辻和子校長(当時)は、「日本語力を測るものとしては、日本語能力試験のN1~N5のレベルが有名で、広く使われています。しかし、日本語能力試験は筆記試験であり、我々が求める何が『できる』かに視点をおいた『日本語力』を測るのには適していません」と語る。

「ヒューマンアカデミー日本語学校 」辻和子校長(当時)

同校では言語の習得レベルを測るためのヨーロッパ共通の基準「CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)」を採用。CEFRの示したCan-do(「できる」こと)による言語能力6段階(A1,A2,B1,B2,C1,C2)の中のA1、A2レベルの「できる」ことができるようになることを目標とした『つなぐにほんご初級1,2』(アスク出版)を2014年作成した。

ちなみに一例を挙げると「A1」は「体の調子が悪いとき、『おなかが痛いです』『気持ちが悪いです』など、短い簡単な言葉で周りの人に伝えることができる」レベル。A2は「近所の病院について、場所や様子などの簡単な情報を友人に質問し、いくつかの簡単な答えを理解することができる」といったレベルだ。

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