“10倍の成果”を出すことは、“2倍の成果”を出すことより簡単である
名郷根修(エグゼクティブコーチ/株式会社ハイパフォーマンス 代表取締役)
名郷根修と申します。コーチングや、会社の役員など、妻と共働きをしています。子供も2人います。というわけで、当然のことながら「ワーク・ライフ・バランス」を大事にしたいと思っています。そんな中、ある時点から仕事のほうも成果の面からも多忙を極めてきたため、「ワーク・ライフ・バランス」に限界を感じるようになりました。仕事面をうまくやりくりしないと、なんともなりませんでした。そこで、どうすればうまくやりくりできるのか、私なりに考えたメソッドを披露したいと思います。
さて、仕事も余暇も、そして家庭も充実しているある人が、私のように仕事面の成果UPを狙っているとしましょう。意気込みとして、2パターン挙げます。
A「2倍の成果を出すぞ」B「10倍の成果を出すぞ」・・・どちらが「何かうまい方法があるな」と感じますか?おそらく大半がBだと感じるでしょう。今回は、そんな「10倍の成果」を出す方法を紹介します。そして同時に、それがいかに「2倍の成果」を出すことよりも簡単かを私の著書『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』の内容から実感してもらえればと思います。実はそれが(前述した)私なりに考えた「ワーク・ライフ・バランス」の解決策です。
2倍の成果を出せと言われた時と10倍の成果を出せと言われた時、考え方の違い
今からお伝えする「10倍の成果を出す」ということは、働き方や考え方を変えることから生まれるもので、ただ単に労働時間や人員を2倍にして「2倍の成果を出す」ことよりも簡単です。
果たしてどのようなカラクリなのか? 4つのステップにより説明されます。
1.10倍の目標を立てること
2.「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」という4条件に特化するということ
3.「どうやるか」よりも「誰とやるか」を重視すること
4.チームを作って「仕組み化」すること
以下の項目で、順に説明していきます。
■10倍の目標を立てること
まず、「10倍の目標」を立てるにあたり、欠かせないのが「自分が本当にやりたいと思っていることをやる」ということです。そして、「10倍の目標」を達成した時の自分を鮮明に思い描くことも重要です。
後者に関して詳しく説明します。人には「コンフォートゾーン」と呼ばれる、「居心地のいい自分の立ち位置」というものが存在します。その「コンフォートゾーン」をとどまらせていては、いくら「10倍の目標」を立てたところで、現実味を帯びてきません。ぜひ自分の「10倍の目標」を達成した自分を思い描き、「コンフォートゾーン」を動かしましょう。
■「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」という4条件に特化するということ
人はだれしも、「不得意なこと」「やりたくないこと」を持っています。果たしてそれに注力して、最善の結果は生み出せるでしょうか?もちろん、答えはNoです。
それでは、最も生産性があがる仕事とは、どのようなものでしょうか?上に挙げたものの真逆を考えればよく、「得意」で「やりたいこと」「好きなこと」がそれにあたります。
ここで注意しなくてはいけないのは、「得意」と「好き」は一致しない、ということです。
「好きなこと」とは、取り組んでいて、喜びや充実感が得られるもの、「得意なこと」とは、「好き」でなくても上手にこなすことができることです。
そして最後に注意すべきことは、どんなに「好き」で「得意」なことであっても、お金に繋がらなければ、ビジネスとして成り立たないということです。ビジネスとして成り立つとは、どういうことか?すなわち、「人の役に立つ」ことではないでしょうか。すなわち、「人の役に立つ」ことで、「お金になる」ことであることも、「10倍の目標」の達成に欠かせないのです。
以上まとめると、「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」という4条件に特化することが大事なのです。
■「どうやるか」よりも「誰とやるか」を重視すること
まず、1人が一定時間内に行うことが出来るタスクの量には限界があることはおわかりでしょう。また、2つめのステップでも述べた通り、人には「好き嫌い」「得意不得意」が存在しています。
さて、ここで自分が背負っているタスクの中で比較的「好き」でもない、もしくは「不得意」であるものを、逆に「好き」で「得意」とする人に任せたとしたらどうでしょうか?自分一人で業務を遂行するよりも、はるかに早くタスクが完了します。これが「誰とやるか」の重要性です。
■チームを作って「仕組み化」すること
さて、「仕組み化」とはどういうことでしょうか。実は、今までにあげてきた3つのステップが「仕組み化」のためのプロセスの一部なのです。まずは今までの3つのステップを行うことが第一段階です。
次の段階として、さらに「仕組み」に落とし込んで行くために、90日ごとに具体的な数値を用いて、だれが、どのように、いつまでに、何を達成するのかを明確します。
このサイクルを回すことにより、定量的に「10倍の目標」に進んでいくことが出来るのです。
「2倍働けば、2倍の成果を生む」考え方のリスクと「10倍の成果」を生む方法のギャップ
以上が、「10倍の成果」を生み出すためのカラクリの簡易的な解説です。労働するほど偉い、残業するほど偉い、という考え方をする人は今でもいるでしょう。「2倍働けば、2倍の成果を得る」、たしかにもっともな考えです。しかし、そのような考え方はリスクも含んでいます。自分の余暇は楽しめますか?もしご家族をお持ちであれば、ご家族に時間を割いてあげることが出来ていますか?
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が浸透している今こそ、働き方、考え方を変えることで生まれる「10倍の成果を出す方法」は非常に役に立つものであり、積極的に採用していくべきものではないでしょうか。
名郷根 修
株式会社ハイパフォーマンス代表取締役
Rotterdam School of Management, Erasmus University 経営学修士 (MBA)
MIT Sloan School of Management (Executive MBA)
1978年生まれ、岩手県出身。米国戦略コンサルティングファーム、グローバル医療機器メーカー・フィリップスで勤務後、現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社・南部医理科とフィンガルリンクの経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。
世界一の戦略コーチであり、Strategic Coach社を創設したダン・サリヴァン氏に師事し、同社が提供している10x Ambition Programを卒業した唯一の日本人。
会社経営者やエグゼクティブ、起業家を対象に、事業を10倍にしながら自由な時間を生み出す講座、仕事の生産性を上げることに特化したコーチングプログラムを提供している。著書に『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)がある。