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デロイト トーマツが注目するビジネスシーンにおける6つのテクノロジートレンド

2024.04.29

デロイト トーマツ グループから、デロイトがビジネスに関わるテクノロジー領域の最新動向や分析をまとめたグローバルトレンドレポートをもとに、日本独自の視点を加えた「Tech Trends 2024 日本版」が発行された。

グローバル版は15回目、日本版は10回目の発行となる本レポートは、今後1年半から2年の間に顕著になると予測されるテーマを取り上げ、技術傾向や流行に加えてビジネスへの影響を解説。

Tech Trends 2024では、テクノロジーの潮流を、インタラクション、インフォメーション、コンピューテーション、ビジネスオブテクノロジー、サイバーとトラスト、コアモダナイゼーションの6つのテクノロジー領域のマクロフォースに基づいて分析している。

本稿では同社リリースをもとに、その概要をお伝えする。

「Tech Trends 2024 日本版」が取り上げる6テーマと日本の動向

■トレンド1 新しい場所のインターフェース〜空間コンピューティングと産業メタバース

拡張現実(AR)と仮想現実(VR)は、消費者向けアプリケーションだけでなく、産業の現場にも大きな影響を与えている。企業はこれらの技術を使い、産業メタバースを利用している。

具体的には、工場やビジネスを安全で効率的にするためのデジタルツインやAR作業指示、協業用のデジタル空間などを実現している。工場労働者やエンジニアは、タブレットやスマートグラスなどのデバイスを通じて、新たな作業体験を得ている。

また、高精細な3Dアセットは、作業を加速させるための、空間Webの実現へ向けた道筋を作っている。さらに、自律型マシンや先進的なネットワークといった技術が組み合わさることで、リモート手術や1人で工場全体を監督するといった新しい働き方も可能になるかもしれない。

日本においては、IoTやデジタルツインなどの導入は初期コストが大きいことから、投資判断に慎重になる傾向がある。人材の変化や減少、それに伴う技術継承問題など、日本の直面するマクロな課題も踏まえて、将来的な環境を考えた際に導入する価値があるかをはかるのが良い。

■トレンド2 現れたランプの魔人〜成長のカタリストとしての生成AI

長年、「機械は思考能力を持つか」という議論がされてきたが、生成AIの台頭でその問いは無意味となった。生成AIは従来の機械学習ツールと共通点が多いが、強化された計算能力、良質な訓練データ、そしてニューラルネットワークと深層学習の応用により、人間の認知を模倣することが可能となっている。

哲学的な意味での知性は別として、実践的な意味では機械は知性を有し、それは企業の生産性や効率性を大幅に向上させる可能性を持っている。機械が人間のように振る舞い、理解し、物語る現在、重要な問題はこの技術がビジネスや世界にどのような影響を与えるかである。

多くの日本企業では2023年に見えた課題の解決を進めながら業務適用を進めることになる。利用者にとっては気が付かないうちに生成AIを使い、日本企業での働き方が大きく変わる時代が訪れるのもそう遠くない。

■トレンド3 より柔軟で、よりスマートに〜力任せのコンピューティングを超えて

テクノロジーは企業にとってますます大きな差別化要因となり、企業はこれまで以上に複雑な業務を行うようになっている。一般的なクラウドサービスは日常業務の多くをカバーしているが、競争優位性を高めるため、最先端のユースケースでは専用のハードウェアが必要となっている。

これには、AIモデルのトレーニングや複雑なシミュレーションの実行、現実世界のデジタルツインの構築などが含まれる。大手企業は既存のインフラをさらに活用する新たな方法を見つけ、最先端のハードウェアを追加して処理を高速化している。

近い将来、従来のバイナリーコンピューティングを超越した新しい計算方法に注目する企業も出てくるだろう。

最新テクノロジーを活用していくためには、社内アーキテクトをいかに整備していくかである。特に日本企業が目指すべき姿は、ビジネス部門とIT部門の協業体制の構築であり、併せて、必要最低限のセキュリティやガバナンスをガードレールとして担保できる環境の整備により、自由と統制の両立を実現することである。

■トレンド4 DevOpsからDevExへ〜エンジニアリングエクスペリエンスの強化

テクノロジーがビジネスの差別化要因となる中、テクノロジー人材の重要性は増している。しかし、現状では開発者の働き方は効率的ではなく、機能開発に十分な時間を割けていない。

ここで注目されているのがデベロッパーエクスペリエンス(DevEx)である。これは、ソフトウェアエンジニアの生産性と満足度を向上させるための考え方で、組織とのあらゆる接点を考慮に入れる。

DevExは、開発者が最優先され、その経験や満足度が重視されるという考え方である。今後数年間で、DevExによる統合された直感的なツールが普及し、企業内の市民開発者がテクノロジーによる価値創出を推進する未来が開ける可能性がある。

これまでシステム開発を担う役割を自社内に保持してこなかった多くの日本企業にとって、DevExというテーマに取り組むためには、成果の解像度を上げるためのメカニズムの可視化、体験価値向上の下地となる開発者固有のエンプロイージャーニーの設計、開発者の多様性を考慮した取り組みがカギを握るだろう。

■トレンド5 現実を守る:合成メディアの時代における真実

AIツールの普及により、なりすましや偽情報の作成が容易になっている。ディープフェイクとは、AIを使って人物の音声や顔を模倣し、リアルな偽の動画や音声を作成する技術で、これが音声認識や顔認識のセキュリティシステムを回避する手段や、フィッシング攻撃に利用されている。

新たなコンテンツ生成ツールが登場するたびに、インターネット上のセキュリティリスクは増大している。これらの脅威に対応するため、先進的な企業や組織は、ポリシーとテクノロジーを組み合わせて、有害なコンテンツを特定する方法を導入し、従業員がリスクを認識できる仕組みを整備している。

AI モデルの透明性、信頼性を定量化するための仕組みや、AI システムのセキュリティリスクを評価するための手法や技術、AI の適切な監査と運用の具体的なルールについて、海外の模倣ではなく日本の目指すべき姿に基づいた制度設計が不可欠である。

■トレンド6 コアを鍛える〜技術負債から技術ウェルネスへ

企業は長年、メインフレームやネットワーク、データセンターなど、当時の最先端技術を導入し拡張する投資を行ってきた。

しかしこれからは、社会をリードする企業となるためには、これまでの断片的な技術負債への対応から一歩進んで、技術ウェルネス(健全性)という新たな視点でシステム全体を見直す必要がある。

技術ウェルネスでは、システムが技術負債を蓄積し悪影響を及ぼす前に、ビジネスの影響に基づいてシステムの健全性を予防的に検査し、システムを強靭にする。将来的には、モダナイゼーションニーズをなくすような自己修復技術を含む包括的なウェルネスプランが登場するだろう。

技術負債のスパイラルに投下しているヒト・モノ・カネを、技術ウェルネスへの投資に切り替え、守りへの投資から、システムを進化させるという攻めの投資にシフトすることこそが日本企業の成長の鍵となる。

関連情報
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/technology/articles/tsa/tech-trends.html

構成/清水眞希

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