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従業員がプライベートと仕事を両立させて柔軟な働き方ができる制度として、フレックスタイム制がある。フレックスタイム制とは、従業員が自分で出勤時刻、終業時刻、労働時間をある程度自由に決められる制度だ。
そのフレックスタイム制の中でも、コアタイムと呼ばれる時間帯とフレキシブルタイムと呼ばれる時間帯がある。本記事では、フレックスタイム制におけるコアタイムとはどのような位置付けであるかや、フレキシブルタイムとの関連性について解説していく。
コアタイムとは
コアタイムとは、フレックスタイム制における労働時間の中で、必ず勤務しないといけない時間帯のことである。
コアタイムは必ず設定しなければならないものではないため、設定していない企業もある。
ここでは、フレックスタイム制の意味、コアタイムの意味、コアタイムとフレキシブルタイムの関係性について解説していく。
■フレックスタイム制とコアタイムの意味
フレックスタイム制とは、一定の期間の中であらかじめ定めた総労働時間の範囲内であれば、従業員が毎日の始業時刻、終業時刻、労働時間を自分で決めることのできる制度のことだ。従業員は、毎日の都合に合わせて仕事とプライベートの時間をある程度自由に配分できるため、仕事とプライベートの調和を図りながら効率的に働くことができる。
例えば、朝は保育園に子供を送っていかなければならないので、始業時刻は子供を送ってから出勤できる時間にして、終業時刻はその分遅くする。他にも、週のうち2日は資格取得のための学校へ行くため終業時刻を早く設定して、残りの3日はその分労働時間を長くするなど、時間配分を自由に設定できる。
フレックスタイム制の仕組みとして、通常いつ出社してもよい時間帯と必ず勤務しなければならない時間帯に分かれるのが一般的だ。フレックスタイム制の中で、いつ出社してもよい時間帯のことを「フレキシブルタイム」といい、必ず勤務しなければならない時間帯のことを「コアタイム」という。フレキシブルタイムの時間帯であれば、途中で中抜けすることも可能である。例えば、ある企業のフレックスタイム制のイメージは、以下のようになる。
始業時刻について従業員の自主的に決められるフレキシブルタイムを、午前6時から午前10時までに設定している。また、正午から午後1時までの休憩時間を除く午前10時から午後3時までの間は、必ず勤務しなければならないコアタイムとしている。終業時刻について、従業員の自主的に決められるフレキシブルタイムを、午後3時から午後7時までの間に設定している。
フレックスタイム制を導入した企業は、コアタイムやフレキシブルタイムは必ず設定しなければならないものではない。コアタイムが設定されていなければ、従業員が始業時刻、終業時刻、労働時間のすべての時間をフレキシブルタイムとして好きなように決められる。この状態を「スーパーフレックスタイム制」といい、近年は導入企業が増えている。
フレックスタイム制を導入した企業は、適⽤する従業員の範囲、フレックスタイム制の期間や総労働時間、コアタイムやフレキシブルタイムの時間を就業規則に規定しなければならない。そのため、自分の会社のフレックスタイム制のルールがわからなければ、就業規則を見れば記載されている。
※出典:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」
コアタイムがある職場で働くメリットと注意点
コアタイムがあるフレックスタイム制を採用している職場で働くことは、メリットもあるが注意しなければならないこともある。
ここでは、コアタイムがある職場で働くメリットと注意点について解説していく。
■コアタイムがある職場で働くメリット
コアタイムがある職場ということは、フレックスタイム制が採用されている職場ということである。
コアタイムがある職場で働くことは、以下のメリットがある。
・通勤が楽なこと
コアタイムが朝に設定されていない職場の場合には、通勤ラッシュといわれている時間(7時から9時)を避けて通勤することができる。
満員電車に乗らなくてすむため、ストレスがたまらずに通勤できる。
・プライベートに合わせて仕事ができること
コアタイムが朝に設定されていない職場の場合には、子供を保育園に送っていってから出勤したり、平日しか開いていない役所によってから出勤できる。
コアタイムが夕方に設定されていない職場の場合は、早く帰って学校に通うことができたり、次の日が休日であれば早めに退社して旅行に行けたりするなどプライベートを優先できる。
プライベートの充実は、心身の健康にもつながるので重要なことである。
・生産性が上がること
自分で時間配分を考えて効率的に働くことにより、タイムマネジメントができるようになり生産性が上がる。時間に縛られなくなり、業務効率の向上が期待できるだろう。
■コアタイムがある職場で働く注意点
コアタイムのある職場で働くことは、メリットだけでなく注意しなければならないこともある。
・コアタイムが長い職場
フレックスタイム制が採用されていても、コアタイムが長くフレキシブルタイムが短い職場では、自由な働き方がしづらいため注意が必要だ。
・コアタイムが短い、またはスーパーフレックスタイム制の職場
コアタイムが短かったり、スーパーフレックスタイム制の場合は、他の従業員との連携が取りづらい。その結果、職場内のコミュニケーションも取りづらくなるため、工夫が必要になる。
まとめ
コアタイムとは、フレックスタイム制の中で必ず勤務しないといけない時間帯のことだ。1日の労働時間の中で、コアタイムとフレキシブルタイムが設定されていることで、プライベートに合わせて仕事ができることが可能となる。近年では、コアタイムの時間を短縮したり、フレキシブルタイムだけのスーパーフレックスタイム制への移行が進んでいるため、さらなるプライベートと仕事の併用が可能となる。
■プロフ文
文/小島 章広(こじまあきひろ)
信用金庫に8年、システム開発の会社に現在まで20年以上勤務。社会保険労務士・行政書士の資格を保有し、人事労務関係、社会保険関係の記事を中心に6年以上執筆活動を続けている。