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ストレスと向き合うために必要な「コーピング」とは?覚えておきたい3つの種類とリストの作り方

2024.07.10

「ストレス社会」と言われる現代において、ストレスへの対応は必要不可欠である。戦略的にストレスと向き合うためには「コーピング」が効果的だ。コーピングを活用することでストレス緩和だけでなくパフォーマンス向上にも繋がることから注目を集めている。

またコーピングについて理解しておくと、自分自身だけでなく周囲の人々への関わり方が変わり、チームや組織全体の生産性向上に繋がることからぜひ覚えておきたい概念といえる。そこでこの記事では、なぜコーピングという言葉がビジネスシーンで注目されるのか、コーピングリストとは何かを解説していこう。

コーピングとは

まずはコーピングの意味と、「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」という3種類のコーピングについて解説していこう。

■コーピングの意味と種類

コーピングとは、英語の「cope(対処する・対応する)」を語源とする、ストレス対応に関するメンタルヘルス用語のことだ。アメリカの心理学者であるラザルス(Richard S. Lazarus)が提唱した「心理学的ストレスモデル」で用いられている概念である。

人は外部から何らかの刺激(これを「ストレッサー」という)を受けると、瞬時に脳の中で「この刺激をどう捉えるか」を評価し、何らかの対応を行う。例えば、「カチンとくることを言われてついカッとなって怒鳴ってしまった」の「カチンとくること」がストレッサーであり、「カッとなる」が評価(正確には「認知的評価」という)である。そして「怒鳴る」という行為として反応が表に現れるのである。人はそれぞれ価値観を有しているので、同じ刺激を与えられても反応は様々である。コーピングとは、「カチンとくることを言われてもカッとならないための技術」と理解しておくと良いだろう。

また、コーピングにはストレッサーとの向き合い方も含まれる。ストレスを単に避けるのではなく、自分に向けられるストレッサーを認知したうえで対処法を考えるのが特徴だ。多くのビジネスパーソンは日常的にストレスを感じるからこそ、自身のメンタルを守るためにもコーピングが必要である。また、従業員の精神的な安定を図るためにコーピングを導入する企業も増えている。

コーピングには広義と狭義の2種類の意味があるので、それぞれ紹介していこう。

■広義のコーピングの意味

広義のコーピングは、ストレスだけでなく問題に対処する方法や行動全般を意味する。

これには困難な状況への対応や、挑戦に対する心理的な抵抗への対処、今後発生するストレスによる二次被害が大きくならないための工夫も含んでいる。

■狭義のコーピングの意味

狭義のコーピングは、すでに発生しているストレスへの対処のことだ。「ストレスコーピング」ともよばれ、ストレッサーの排除や感情の管理によるストレス軽減など、心理的な問題の解決が含まれている。

広義と狭義のコーピングの違いは、ストレスが発生していない状態での事前対応か、問題がすでに発生している場合の対応かという違いがあると認識しておけば問題ない。

■コーピングの種類は3つ

コーピングは広義と狭義のいずれの場合でも「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」の3種類に分類される。

・「問題焦点型」

ストレッサーとなる問題そのものに働きかけ、変化を促すことで、自分がストレスを感じない環境をつくりだす

・「情動焦点型」

ストレッサーではなく、自分の認知的評価の基準を変え、ストレッサーの受け止め方をコントロールすることで負担を軽減する

・「ストレス解消型」

ストレスの原因となる問題と距離をとる、心身がリラックスできる状態を作ることでストレスを緩和する

「問題焦点型」のコーピングを行うと、一時的にストレスは増加する可能性が高まるが、長期的にみれば問題が解決され、ストレスが発生しない環境が期待できる。

一方で「ストレス回避型」のコーピングを行うと、一時的にはストレスを緩和できるが、問題が解決していなければ再び問題と向き合った時にストレスを感じるだろう。どちらの対応が良いかは自らの精神状態や環境に応じて異なるため、適切に判断して対処してほしい。

■コーピングで対処できるストレス

これまで解説してきた通り、ストレスとは、外部からの刺激により体の内部に問題が生じることだ。ストレスの原因となる外部刺激を「ストレッサー」といい、それに対する反応を「ストレス反応」という。
コーピングで対処するのは「ストレッサー」であり、さまざまな種類がある。主要なストレッサーは以下の3つ。

・物理的・化学的ストレス

温度や湿度、騒音や悪臭などの物理的・環境的な刺激

・生理的ストレス

病気や体調不良、睡眠不足などの生理的な負担

・心理的・社会的ストレス

職場・家庭でおこる不安や緊張、怒りなどの精神的負担

現代社会においては特に「心理的・社会的ストレス」の割合が大きいとされる。つまり、「心理的・社会的ストレス」をコーピングにより緩和できれば、ほとんどのストレス要因が減少するといっても過言ではない。

■コーピングがビジネスシーンで注目される理由

厚生労働省が平成30年に行った調査によると、「仕事や職業生活で強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えた労働者は58%だった。「ストレス社会」ともいわれる現代において、ストレスへの対処法を学ぶことは当然の取り組みといえるだろう。ストレスが原因で集中力が続かない、業務ミスが増える、体調を崩して欠勤が増えるなど、仕事に影響を及ぼす可能性もある。

また、コーピングを実施することで、社内外に「職場環境の改善に取り組んでいる会社」というポジティブなイメージを与えられる。コーピングによって社員のストレスを減らすことは、仕事の効率化や離職率の低下が期待できる。

社員の心身の健康を守ることが、会社としての安定につながる。

※出典:厚生労働省 1労働者のストレスの実態
※出典:厚生労働省 若者の離職理由
※出典:厚生労働省 職場におけるメンタルヘルス対策の状況
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレス」

コーピングリストの定義と目的・作り方

続いて、コーピングを行う上で必要な「コーピングリスト」の定義と目的、リストの作り方について解説していこう。

■コーピングリストとは

コーピングリストとは、自身のストレスを減らすための方法をリスト化したものである。ストレッサーと解決策をリストとして明確化することで、ストレスに直面したときに早急な対処が可能だ。

書き出しと実践を繰り返し、より効果的な方法を模索する。あまり効果がなかった方法も消さずに残しておくと、「なにが合わなかったのか」を探る材料となる。

■コーピングリストの作り方とポイント

コーピングリストは心理的な状況がポジティブなうちに作成することがポイントである。職場でできるコーピング、自宅でできるコーピング、平日のコーピングや休日のコーピングなど、様々なケースを想定して作成するとより効果的である。

コーピングリストは以下のプロセスで作成する。

  1. 自分が楽しいと感じること、好きな性格などポジティブなキーワードを書き出す
  2. キーワードの中から、ケースごとにアクションに落とし込めるものをあてはめる
  3. ケースごとに想定したアクションに必要な物を用意する

このようにしてコーピングリスト作成と準備が完了すれば、コーピングの第一段階は完了したといえるだろう。コーピングリストを作る際のポイントは以下の通りだ。

ポイント1:ストレスを感じている時はマイナス思考に陥りやすい。そのため、ポジティブな事柄を十分に書き出せない可能性がある。コーピングリストを作成するときは、ストレスを感じていない状態であることが重要だ。

ポイント2:リストの中から試す項目は、ストレスを感じる状況に合わせて選ぶ必要がある。手軽にできるものを多くピックアップしておくと、試す方法も多くなる。

ポイント3:コーピングリストは書き足すことでより効果的なものを見つけ出せる。試して効果がなかった項目でも、別の機会にプラスになる可能性があるため、消さずに残しておくと良い。

コーピングを身につけストレスをコントロールする

コーピングは、ストレスの原因となるストレッサーの解決、負担の軽減が目的である。
人間の主なストレス要因(ストレッサー)は、職場や家庭での「心理的・社会的ストレス」がほとんどだ。つまり、職場でのストレスを減らすことは、仕事の効率化や離職率の低下につながる。

コーピングリストを作成して解消の方法を探ることで、ストレスのコントロールが可能である。まずはコーピングリストを作成し、実際にストレスが発生した段階でコーピングを実践。コーピングの効果を検証して改善するサイクルを回し、自分にとって最適なコーピングを見つけることが重要である。

ストレスの多い社会だからこそ、適切なコーピングを行うことがパフォーマンス向上のポイントとなる。ぜひコーピングを身につけ、ストレスへの対処能力を高めていただきたい。

文/太田 佳祐(おおた けいすけ)
人材系企業にて求人広告の営業や人材紹介部署の立ち上げやマネジメントを経験。転職し、新規事業部門にて新事業の立ち上げや採用業務に従事したのちに独立(ライター・カウンセラー・セミナー講師)。2021年に政治分野のハラスメント対策を行う法人を立ち上げ、2023年にフリーランスの事業を法人化。プロスポーツチームや自治体、企業や個人の目標達成を伴走型でしながら、ライターとしての執筆や講演活動も行っている。保有資格​​:国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、採用コンサルタント、アンガーマネジメントファシリテーター

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