今年3月、航空会社AIRDO(エア・ドゥ)がカスハラ対策強化のため、監視カメラ導入などの検討に入ったというニュースが報じられた。
これまで、客の対応に当たる地上職員向けのカスハラ対策が無かったため、『空港カウンターに監視カメラ・ボイスレコーダー設置』、『名札の廃止』などを労働組合が要望したという。
近年、カスハラが増加し、退職や廃業に追い込まれる企業が増えているらしい。昨年、カスハラの実態調査を行ったエス・ピー・ネットワークによると、こんな結果が出ている。
『直近1年でカスハラを受けたことがある人は64.5%』
『男性からのカスハラが多く、40歳代から60歳代が合計8割を占める』
画像・参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000034478.html
そんな中、東京都が動いた。
カスハラを防ぐ全国で初めての条例制定に向け、早期の条例案提出を目指すと発表。
自治体だけではない。もちろん企業も動いている。
不当で悪質なクレームから従業員を守るための対応・対策を導入する企業も増加。「お客様は神様」という理念はもはや昔。
そこで今回、社会問題となっているカスハラ対策に積極的に取り組んでいる企業・行政の事例を紹介しよう。
積極的・徹底的に対処する!企業・行政のカスハラ対策事例
■カスハラで修理を断る場合も/ 任天堂
任天堂は2022年、修理サービス規定/保証規定に「カスタマーハラスメントについて」の項目を追加した。
問い合わせの際に、脅迫や侮辱、過剰なサービス要求、SNSやネット上での誹謗中傷などがあった場合、交換や修理に応じない場合がある他、悪質な場合には警察や弁護士と連携して対処すると明記している。
参考:https://www.nintendo.co.jp/support/modal/customerharassment.html?width=960
■暴力防止ポスター掲出 / JR東日本、西日本など
JRや東京都交通局など各鉄道事業者が共同で、暴力行為防止ポスター『その拳を、STOP!』」を制作し、昨年7月から駅構内、列車内に掲出している。
これは、駅係員や乗務員等への暴力行為や乗客同士のトラブルによる暴力行為に対して防止を呼びかけるもので、ポスターの制作には警察庁および国土交通省からの後援を受けているという。
参考:https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230705_ho02.pdf
■乗務員考案の「ビジネスネーム」 導入 / 京王電鉄バスグループ
京王電鉄バス株式会社並びに京王バス株式会社は、2024年4月1日から、バス車内に掲出している氏名表示について、現在の「本名」表示に加え乗務員自身が考案した「ビジネスネーム」 を導入した。
2023年8月にバス車内における乗務員等の氏名掲示義務が廃止されたことを受け、乗務員のプライバシー確保の観点から、本名かビジネスネームの選択が可能になったという。
参考:https://www.keio-bus.com/news/026a7605f21186e3c517.pdf
■自治体・警察もカスハラ対策に積極的
品川区では職員の個人情報を守るため、今月4月から名札に記載する情報を所属と名字のみに変更し、船橋市も名字のみの名札表記に変更した。
さらに昨年には福岡県警が全国の都道府県警で初めてカスハラマニュアルを策定。「反復・時間的拘束型」、「暴言・威嚇・脅迫型」など4つに分類して運用。実際に逮捕に至ったケースもあるという。
参考
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kuseizyoho/kuseizyoho-koho/kuseizyoho-koho-sonota/20240105192506.html
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/jinji/001/p122200.html
https://www.police.pref.fukuoka.jp/keimu/keimu/kasutama-harasumennto.html