POSシステムも提供するインドの『Jumbotail』
世界最大の人口を抱えるインドの場合、こうした問題はさらに深刻である。
今年3月にシリーズC3投資ラウンドで1820万ドルを調達した『Jumbotail』は、個人商店の経営効率化を第一のミッションにしたスタートアップ。オンライン発注、倉庫からの商品直送の他、独自のPOSシステム『Golden Eye』を開発している。これを導入すれば、会計と同時に店の在庫管理も可能になる。
バングラデシュもそうだが、人口の多い国はあらゆる仕組みが煩雑になりがち。紙とペンを使った発注書では、それを問屋に出しても忘れ去られていつまでもオーダーが実現しないということも。この部分だけでもDX化が実現すれば、個人商店には非常に大きな恩恵が転がり込んでくる。
21世紀も中葉に差しかかろうとしている今、こうした「中小零細事業者を第一に考えるオンラインプラットフォーム」が大注目されているのだ。
児童労働をなくす効果も
そういえば、ジャイアンはよく店番をサボって野球に出かけ、そのために母ちゃんから怒られることがよくある。
彼はまだ恵まれている子で、剛田商店の女将さんは息子に学校を休ませてでも店番をさせようとは考えていない(そのようなシーンは恐らくない)。ところが、新興国の個人商店では「子供に学校を休ませて働かせる」ということが今も珍しくない。これは明確な児童労働だが、親を責めてはいけない。子供に店番をやらせなければ、店自体の経営が危うくなるのだ。
つまり、「個人商店のDX化」は児童労働をなくす効果も発揮するのだ。PriyoshopもJumbotailも単に便利というだけに留まらず、人々の生活の在り方を大きく変革する可能性を秘めている。
今後もこうした「スマート問屋プラットフォーム」が彗星のように出現し、世界の投資家から巨額の出資を得るだろう。
取材・文/澤田真一