東南アジアや東アジアでは「スマート問屋プラットフォーム」を取り扱うスタートアップが日の出の如く成長している。
これらの国々を旅行した人なら理解できるはずだが、どこの街角にも必ず「個人経営の売店」がある。そこでは日用品や食品、ちょっとした耐久消費財などが販売されている。@DIMEは小学館のメディアだから、ここは「『ドラえもん』のジャイアンの実家」というたとえを出したい。
アジア諸国では「ジャイアンの実家をDX化させよう」という方向性のスタートアップが伸びているのだ。
21世紀の「剛田商店」
ジャイアンの実家は「剛田商店」という屋号の個人商店である。
アニメで確認したところ、日常生活を送る上で必要なものは大抵揃っているようだ。洗剤、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどはスーパーマーケットに行くよりも剛田商店に行ったほうが手っ取り早く入手できるだろう。
アジアにはこうした店が、どの地域にも必ず存在する。そして、国の実体経済を牽引しているのは大企業ではなく個人経営の店舗であることもここで前置きしたい。
各国の中央政府は、その理屈をよく理解している。だからこそ、スーパーマーケットやデパート等の大規模小売店舗やコンビニエンスストア等の新興小規模店舗に厳しい出店規制が存在したりもする。外資であれば尚更だ。
その上で、中央政府は「個人商店のDX化」を推奨している。
筆者は最近の『ドラえもん』をしっかり観ているわけではないのであまり強くは言えないが、剛田商店がキャッシュレスに対応していたり最新のPOSシステムを導入している節は見当たらない(導入済みだったらスミマセン!)。店の女将さん(ジャイアンの母ちゃん)もスマホに精通しているというわけではなさそうだ。となると、剛田商店の決済は現金で帳簿は紙、問屋との連絡は電話を使っているだろう。
これは極めて手間と時間を費やす仕事である。
迅速な在庫補充を可能にするバングラデシュの『Priyoshop』
バングラデシュに『Priyoshop』というスタートアップがある。
この会社は、バングラデシュ国内に無数と存在する個人商店を対象にしたB2B卸売プラットフォームを開発している。一言で言えば、店主が店番をしながらスマホで商品を発注できるシステムである。
個人商店の朝は早い。開店前から卸売マーケットへ足を運び、複数の業者を回って目当ての商品のストックがあるかを質問する。その後、自分の腕で商品をリヤカーの荷台に積み込み(バングラデシュでは今も人力もしくは自転車で牽引するリヤカーが広く使われている)、店に引き返す。
Priyoshopは、スマホアプリを介した発注・受注システムと商品をトラック輸送する仕組みを整備している。これは店主の労働時間を大幅に削減すると同時に、「店主の家族に負担をかけない」という効果も生み出している。
個人商店は、豊富な在庫を置けるだけのバックヤードがないことが殆ど。大きな需要のある商品はすぐになくなってしまうが、上述の理由ですぐさま在庫を補充することはできない。故に「迅速な在庫補充を実現させる流通プラットフォーム」が、市民に強く望まれているのだ。
Priyoshopは今年2月、プレシリーズA投資ラウンドで500万ドルの資金調達を得ている。