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子どもを過保護に包み込む「ラップ子育て」が問題視される理由

2024.04.26

最近、アメリカの経済誌「Forbes」で、「ラップ子育て(plastic wrap parenting)」という概念が紹介されていた。ラップで子どもを包み込むような、過保護な子育てスタイルを表す言葉なのだそうだ。

英語圏では他にも、頭上をホバリングするように子どもの生活を常に監視する「ヘリコプターペアレント(helicopter parent)」という言葉がよく聞かれるようになり、デンマーク発祥の言葉には、氷上のストーンの進路をブラシでならすように子どもが進む道をならしてしまう「カーリングペアレント(curling parents)」というものもあるようだ。

こうした言葉が話題になっている海外と同様、日本でも過保護や過干渉な子育てに警鐘が鳴らされることが多い。ちなみに過保護とは、子どもが望むことを失敗しないようにすべてやってあげる行為で、過干渉とは、子どもが望むかどうかにかかわらず、親自身が望むことを子どもにやらせる行為である。

いずれも、本来は子ども自身が選び、苦難があっても子ども自身の力で乗り越えていくべき物事を、親が肩代わりしてしまう子育てである。

では、過保護や過干渉な子育てによって、子どもにはどのようなデメリットが生じるのだろうか。具体的に考えていきたいと思う。

過保護な子育てではハードルを越える力が身につかない

■その場その場の子どもの感情に振り回される親たち

以前、塾経営者に取材をした時に、「保護者の過保護や過干渉によって、子どもの学力が伸び悩むケースが多い」という話を聞いた。

例えば、これくらいはできるだろうと判断して出した宿題に対して、「分量が多くて子どもが苦痛に感じているので、減らしてほしい」と連絡が来る。保護者は子どもと向き合い、子どもの意見を尊重した結果、塾に対してこうした要望を出しているわけだが、塾側からしたら「この子ならできるはず」「これを乗り越えればレベルアップできるはず」と客観的に判断して宿題を出している。

保護者の要望に従えば学力の伸びは期待できないが、その結果テストの点が下がれば「もっと厳しくしてほしい」と新たな要望が来ることは目に見えている。こんな具合に、子どもを尊重しているようで、実は子どものその場その場の意見に振り回されているだけ。中長期スパンで見ると子どものためにならない要望を出してくる保護者が多いというのだ。

筆者もこれまで10年間、学習支援事業を運営しているが、こと学力に関しては、親の距離感による影響が大きいと感じることは少なくない。

直近のテストで理科の点数が低かったとすると、「子どもと話し合ったのですが、理科が苦手なので重点的に教えていただけますか」と連絡が来る。しかし、テストの内容をよく見ると、計算が必要な問題が多く、分数の計算ができていないがために正解できていない、つまりもともとは数学の土台ができていないことが躓きの原因になっている、ということがある。

「今度は点数が上がるように、早くから予習をしたいと子どもが言っています」と言われても、be動詞と一般動詞の使い分けができていない状態で、受動態や完了形などを使いこなせるはずがない。

「子どもがやる気を出して、こうしたいと言っている」と言われても、そのとおりにすれば結局その子は「勉強してもわからない」となり、投げ出してしまう可能性もあるだろう。

また、基礎問題のスモールステップを踏んだうえで応用問題を出した時に、子どもが「難しい」と感じたことをそのまま家庭で話した結果、「うちの子はそんなに学力が高くないので、難しい問題は出さないでください」と要望が来たこともある。

指導した1時間ではなかなか解けずに「難しい」と感じても、何度も繰り返すことで慣れれば解けるようになるはずの問題だったのだが、挑戦させないという選択肢をとれば、いつまでも「うちの子はそんなに学力が高くない」ままになってしまう。

親があらかじめ子どもの能力の限界を判断し、子どもが傷つくことを防ぐために挑戦をさせない、そんなケースもあるのだ。

■安心感や愛情と、外での挑戦や冒険とのバランスが重要

上記のような、子どもの意見や感想を親がそのままとらえて、塾に対して要望を出す例は、過保護のほうに分類されるだろう。

子どもと一緒に学習の成果を振り返り、どうすればいいかを家族で考えるのはとてもいいのだが、出てきた解決策が「子どものその場の感情」や「子どもに失敗させたくないという親の感情」優先になってしまうと、いい結果を生まないどころか逆効果になることもあり得る。

学力だけでなく、たとえば「同年代の子と話すのが苦手」という子どもに、「では同年代の子と関わらなければいけないコミュニティからはなるべく遠ざけよう」と親が環境を制限してしまえば、その子はいつまでも苦手な状況から抜け出せなくなるだろう。

「片付けや掃除が苦手」な子の部屋を親がずっと掃除してあげていたら、永遠に片付けや掃除の習慣は身につけられないはずだ。

ただし、子どもにとっては親がきちんと話を聞いてくれる、苦手なことがあっても否定されないということは、家庭への安心感につながる。この安心感がないがゆえに、非行に走ったり、自己肯定感を育めなかったりする子どもたちも多いことを考えると、親のバランス感覚が重要なのだろう。

子どもの話は聞き、頭から否定はしないが、すべてを鵜呑みにして物事を判断しないこと。子どもにとっては多少苦しいこと、つらいことがあっても、安心して過ごせる家があれば、はねのける力はきちんと育っていくはずだ。

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