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「拝見させていただく」は間違った敬語表現?覚えておきたい正しい使い方

2024.05.11

ビジネスの場でよく耳にする「拝見させていただく」という表現が、敬語として正しいのか、自信を持てないまま使っている方もいるのではないでしょうか。

今回は「拝見させていただく」の言い換え表現や、類似表現を解説します。

「拝見させていただく」は二重敬語にあたる

ビジネスシーンで使われることの多い「拝見させていただく」という言葉は、二重敬語にあたります。「拝見」自体が「見る」の謙譲語であり、さらに「させていただく」も謙譲語であるためです。

正しくは「拝見する(します)」

二重敬語にあたらない、正しい表現は「拝見します」あるいは「拝見しました」です。

しかし、「拝見させていただく」が浸透しているため、人によってはあまり聞き慣れない正しい表現に対し、失礼だと感じることもあるでしょう。

そのため、「二重敬語だから絶対に使ってはいけない」と杓子定規に捉えるのは避け、状況に応じて使い分けるのが賢明です。

ただし、あくまでも正しい表現は「拝見します」であることを押さえておきましょう。

「拝見させていただく」の使用を避けるべき理由

「拝見させていただく」という表現はよく使われているため、違和感を覚えずに使用している方も多いでしょう。しかし、以下の2点の理由から避けるべきだと考えられます。

・過剰な敬語表現は敬意が伝わりにくい

・冗長表現になる

過剰な敬語表現は、相手に敬意が伝わりにくいことがあります。また、二重敬語によって必要以上に長い表現になることにも注意が必要です。

ビジネスにおけるコミュニケーションは、基本的には端的でわかりやすいことが求められます。相手への敬意や丁寧さは意識しつつも、冗長表現にならないように意識することがポイントです。

そもそも「拝見」の意味とは

そもそも拝見は、「拝(おが)む」と「見る」から成り立っている、「見る」の謙譲表現です。拝むとは、神仏などに手を合わせ頭を下げて祈ることを意味する言葉です。

「拝見する」は見ることを、相手への敬意を示しながらへりくだって伝える言葉であるため、ビジネスで目上の方や取引先などに使う表現として適しています。

参考:デジタル大辞泉

「拝見させていただく」の正しい使い方

ここからは、ビジネスシーン別に「拝見する」をどのように使うのか、見ていきましょう。

資料やメールを確認したとき

「拝見する」は、資料やメールを確認したときによく使う表現です。取引先や上司から資料を手渡しされた際に、「ありがとうございます。拝見します」というように使いましょう。

また、メールに添付された資料などを確認したときも、「〇〇について確認しました」などと伝えます。

取引先や顧客に会うとき

取引先や顧客に会うときも、「拝見する」を使います。たとえば、「〇〇様の元気なお姿を拝見できて嬉しかったです」「会場で〇〇さんを拝見しました」などと伝えましょう。

「拝見させていただく」でもOKなケース

相手の許可を得て何かを見る場合や、相手のおかげで何かを見られた場合などは、「拝見させていただく」という表現でも問題ないとされます。具体的な例文は、以下をご参照ください。

・〇〇様からご許可が下りたので、拝見させていただきましょう

・〇〇様のおかげで、貴重な物を拝見させていただきました

「拝見」とあわせて押さえておきたい言葉

「見る」の謙譲表現である「拝見」に似た特定の動詞の謙譲表現は、ほかにもあります。ここでは、「拝見」とあわせて押さえておきたい言葉をご紹介します。

拝聴

「拝聴」は「はいちょう」と読み、「聴く」の謙譲表現です。「講演内容を拝聴しました」というように、相手に敬意を払って聴くというニュアンスで使われます。

言葉や音楽を耳で認識する行為は、「聞く」と表現することが一般的です。しかし、より注意深く耳を傾ける場合は「聴く」と使い分けます。

拝読

「拝読」は「はいどく」と読み、「読む」をへりくだって表現する際に使う言葉です。「拝見」が見て確認するという意味で使うのに対し、「拝読」は文書などをしっかり読んで確認するというニュアンスがあります。たとえば、「お手紙を拝読しました」と使います。

拝受

「拝受」は「はいじゅ」と読み、「受け取る」の謙譲表現です。メールや資料のほか、お歳暮などを受け取ったときにも使えます。

中身をしっかり確認したというよりも、受け取ったことを強調する意味合いの言葉です。

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