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目上の人に使っていませんか?「お気遣いなく」の正しい使い方

2024.05.14

「お気遣いなく」とは、相手に「気にしないで」と伝える際に使える丁寧な表現です。

「お気遣いなく」と上司に使ってよいのか、相手から言われたらどのような返事が望ましいかなど、気になる部分があるでしょう。

この記事では、言葉の意味や使用する際に注意すべきポイント、使い方・例文、言われたときの返事・返信方法を解説します。あわせて、類語・言い換え表現も確認しましょう。

「お気遣いなく」はどんな意味を持つ?

「お気遣いなく」は、相手からの配慮や心配、申し出などを断りたい際に、やんわりと丁寧に伝えられる表現です。「気にしないで」とそのまま伝えるよりも、「お気遣いなく」と伝えたほうが丁寧で、円滑なコミュニケーションにつなげやすいでしょう。

■「お気遣いなく」とは「気にしないで」と伝える言葉

お気遣いなくとは、相手に「気にしないでほしい」「心配しないでほしい」と伝える言葉です。「気を遣わないで」と丁寧に伝えつつ、相手からの配慮や心配に対するお礼の気持ちも込められます。

「気遣い」の意味は、「気を遣うこと」「心遣いをすること」「いろいろと配慮すること」「心配」「懸念(けねん)」などです。接頭辞の「お」を付けることで、丁寧な言い回しにしています。

さらに打ち消しの意味がある「なく」を付けることで、「自分に対する心配や配慮は不要ですよ」と遠慮がちに伝えられます。

「お気遣いなく」の使い方

■「お気遣いなく」の使い方と例文

それでは、お気遣いなくの使い方をあらためて確認しておきましょう。

・(自分だけ残業しそうで、周囲が気にかけてくれたときに)お気遣いなく。私もそれほど時間をかけずに終えられそうです。
・(一緒に飲食店に行ったときに)お気遣いなく、どうぞ先に召し上がってください。

「お気遣いなく」は、動詞が省略された表現です。ゆえに目上の人に使うと失礼な印象を与えかねないため、より丁寧な表現へと言い換えるとよいでしょう。

一方、同僚や目下の人などに使える表現です。また、目下の人には「気遣いは不要です」などへの言い換えが可能です。

■「お気遣いなく」と言われたときの返事・返信

相手から「お気遣いなく」と言われたときに、どのような返事・返信をすればよいのかと迷うこともあるでしょう。

返事・返信をする際は、「お気遣いなく」と発言した相手の真意を理解することが大切です。相手の真意によっては、本当に気遣いが不要な場合と社交辞令で言っている場合、拒絶している場合などがあります。

基本的には、「承知いたしました」と返事をするとよいでしょう。メールで返信する際は、さらに「今後ともよろしくお願いいたします」などとつなげます。

また、相手にお礼をする場面ならば、「ありがとうございます」と伝えます。

■「お気遣いなく」と伝える際の注意点

心配や配慮などをしてくれた相手に対して「お気遣いなく」と伝える際は、以下のポイントに注意すべきです。

・目上の人に「お気遣いなく」と伝えると失礼に当たってしまう
・多用すると冷淡な印象を与えてしまう可能性がある
・「何に対して」かをはっきり伝えないと、表現したい内容がわかりにくくなる可能性がある

前述のとおり、目上の人に使う際は注意が必要です。「お気遣いなさらないでください」「お気遣いなさいませんよう、~」など、文末表現をプラスしてより丁寧に伝えましょう。

多用してしまうと、相手からの心遣いに対して冷淡な受け答えをしているようで、失礼な印象を与えてしまう可能性もあります。すべての気遣いに対して「お気遣いなく」と伝えるのではなく、気遣いを受け入れて感謝することも大切です。

さらに、何に対して伝えているのかがわからないと、お気遣いなくに込められているのが「感謝」の気持ちなのか、「遠慮」や「断り」の気持ちなのかが伝わりにくくなってしまいます。

「お気遣いなく」の類義語・言い換え表現3つ

お気遣いなくと似た意味を持つ類義語や言い換え可能な表現は、以下のとおりです。

1.お構いなく
2.お気になさらず
3.大丈夫です

また、「お気持ちだけ頂戴します」「結構です」などとも言い換えられます。

お気遣いと似た言葉には、「お心遣い」もあります。お心遣いには心を込めた配慮に対する謙遜の意味があり、目上の人に用いるならばお心遣いのほうがより適切です。

また、「お気遣いなく」と伝えたいときに、「お心遣いなく」とは言い換えられないことに注意しましょう。

■1.お構いなく

「お構いなく」とは、「構う必要はありません」「気にしないでください」「私に気を配らなくて大丈夫です」を意味する言葉です。

「構う」とは、「気にする」「気を遣う」「世話を焼く」「相手にする」ことを指します。お気遣いと同様に、接頭辞「お」を付けることで丁寧な表現にしています。

ただし、「お構いなく」も動詞を省略した表現であり、ビジネスシーンで目上の人に対して用いるのはあまり適切ではありません。目上の人に対しては、「お構いなさいませんよう~」などと伝えましょう。

■2.お気になさらず

「お気になさらず」も、相手に「気にしないでください」と伝える表現です。「お気遣いなく」と、ほぼ同じように使えます。

「お気遣いなく」と異なる点は、「相手に感謝をするようなニュアンスを含んでいないこと」と、「すでに相手がなんらかの事柄を気にしている状態である場合に用いること」です。

たとえば、「私のことはどうぞお気になさらず、楽しんできてください」などと伝えます。

■3.大丈夫です

「大丈夫です」も、お気遣いなくと似た意味で使える表現です。「自分のことは、心配や配慮をしてもらわなくてもいいですよ」と表現できます。

また、相手から質問された場合にも「大丈夫です」と返答できます。質問に対する答えが「はい」「いいえ」のどちらであっても使える便利な表現です。

ただし、受け答えできる内容が幅広い分、あいまいな表現でもあるため、誤用や誤解を招く可能性に注意しましょう。

また、お気遣いなくとは異なり、相手に感謝をするようなニュアンスを含んでいません。

適切な場面で「お気遣いなく」を使おう

「お気遣いなく」は、相手からの配慮や心配、申し出などをやんわりと丁寧に断れる表現です。目上の人に伝えると失礼に当たってしまうこと、多用すると冷淡な印象を与えてしまう可能性があることなど、使用する際には注意すべきポイントがあります。

関連する言葉もあわせて、意味や注意すべきポイント、使い方、返答の方法などをあらためて確認し、適切な場面で使えるようになりましょう。

構成/chihaya

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