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間違えやすい「ご厚志」と「寸志」「ご芳志」の意味と使い方の違い

2024.05.30

「ご厚志」という表現を葬儀や歓送迎会、ビジネスシーンなどで耳にしたことはありませんか。

元々は「心のこもった親切」という意味ですが、目上の人や来賓からいただくお金やプレゼントを指すことがあります。

「ご厚志」の正しい使い方や言い換えの表現をご紹介するので、ぜひ参考にして「ご厚志」を使いこなしてみてください。

ご厚志とは?

歓迎会の様子

意味は心のこもった親切のこと

「ご厚志(ごこうし)」とは厚志の尊敬語です。「御厚志」と表記することもあります。

「厚志」は深い思いやりの気持ちや心のこもった親切を意味する言葉です。相手の行為や持ち物に対して尊敬の意を示す「ご(御)」をつけて、相手の思いやりや親切を指す「ご厚志」と表現します。

【例文】

・ご厚志、ありがたく存じます。

・ご厚志を賜り、ありがとうございました。

参考:デジタル大辞泉

■寸志(すんし)との違い

「寸志(すんし)」はお金や供物をへりくだって表現する言葉です。他人にお金やものを渡すときは、「寸志」と書いた熨斗(のし)をかけることがあります。

【例文】

・メンバーから集めたお金を封筒に入れ、「寸志」と表書きをした。

・寸志とはいうものの、かなり高額なものに違いない。

なお、寸志はへりくだって使う言葉のため、他人のお金やものに対して使ってはいけません。

たとえば、受け取った封筒やものの表書きに「寸志」と記載してあるときは、「寸志、ありがとうございます」ではなく「ご厚志、ありがとうございます」と言い換えましょう。

参考:デジタル大辞泉

■ご芳志(ごほうし)との違い

「ご芳志(ごほうし)」とは、他人を敬って、その親切な心遣いをいう言葉です。

ご芳心(ごほうしん)やご芳情(ごほうじょう)と表現することもあります。ご厚志と同じく相手の心遣いを指し、ほぼ同じ意味で使われます。

【例文】

・この度は、ご芳志を賜り、誠にありがとうございました。

・ご芳心に対して、いつも感謝しております。

参考:デジタル大辞泉

【シーン別】「ご厚志」の使い方を例文でご紹介

葬儀の様子

ご厚志は、日常会話というよりは改まった席やビジネスで使う言葉です。また、話し言葉としても使われますが、メールや手紙などの書き言葉でも使われます。よく使うシーンをご紹介します。

■葬儀

葬儀では、列席者から供物や香典を受け取ることがあります。また、参加できない方から電話や宅配で、メッセージや花、供物を受け取ることもあるでしょう。

【例文】

・(受付で香典を受け取りながら……)ご厚志ありがとうございます。

・〇〇様より弔電をいただきました。ご厚志ありがとうございました。

■歓送迎会

歓送迎会でも、プレゼントやお金を受け取ることがあります。また、主賓側が会を催してくれたことに対して、「ご厚志」を使って感謝を示せるかもしれません。

【例文】

・ご厚志をいただきまして、ありがとうございます。大切に使わせていただきます。

・今までのご厚志を決して忘れません。本当にありがとうございました。

■ビジネス

ビジネスでは、目上の人や取引先の人などに敬意を示しつつ話すことが必要です。相手の行為や相手がくれた金品などについて話すときは、「ご厚志」を使って敬意と感謝を示しましょう。

【例文】

・この度はご厚志を賜り、誠にありがとうございました。

・いつもご厚志をいただき、感謝に堪えません。

■メール・手紙

メールや手紙などで相手の心遣いについて触れるとき、「ご厚志」を使ってみてはいかがでしょうか。少し固いニュアンスのある言葉のため、書き言葉としても適切です。

【例文】

・弊社の創業記念パーティーにお越しいただき、また、ご厚志を賜り、ありがとうございました。

・末尾ですが、〇〇様からご厚志をいただきましたことをお伝えしておきます。

ご厚志の言い換え表現を例文でご紹介

笑顔で挨拶のイメージ

ご厚志は次の言葉で言い換えられます。

・ご厚情(ごこうじょう)

・ご配慮(ごはいりょ)

・お気遣い(おきづかい)

・お心配り(おこころくばり)

それぞれの使い方を例文を通して見ていきましょう。

■ご厚情(ごこうじょう)

厚情とは、厚い情けや心からの深い思いやりの気持ちを表す言葉です。ご(御)をつけることで相手への尊敬の意を示すため、「ご厚情」と表現するときは相手の情けや思いやりを指します。

【例文】

・いつもご厚情を賜り、誠にありがとうございます。

・ご厚情をいただけるとは思ってもおりませんでした。

参考:デジタル大辞泉

■ご配慮(ごはいりょ)

配慮とは、心を配ることや心遣いのことです。相手への尊敬の意を示す「ご(御)」をつけて「ご配慮」とすることで、相手が示してくれた心配りや心遣いを表現できます。

【例文】

・ご配慮をいただきまして感謝しております。次回からはお気遣いなくお気軽にお越しくださいませ。

・いつも細かなご配慮を賜り、嬉しく思っております。

参考:デジタル大辞泉

■お気遣い(おきづかい)

気遣いとは、あれこれと気を遣うことです。相手や第三者に対する尊敬の意を示す「お(御)」をつけて「お気遣い」とすると、相手の気遣いを表現できます。

なお、「お」は元々は「おん」と読んでいたようですが、音変化により「お」と発音されるようになりました。

【例文】

・どうぞお気遣いなく。

・お気遣いありがとうございます。

参考:デジタル大辞泉

■お心配り(おこころくばり)

心配りも、気遣いと同様、あれこれと気を遣うことです。相手や第三者に対する尊敬の意を示す「お(御)」を頭につけて「お心配り」とすると、相手の心配りを表現できます。

【例文】

・細やかなお心配りに感謝いたします。

・暖かいお心配りに嬉しくなりました。

参考:デジタル大辞泉

感謝の気持ちを込めて「ご厚志」を使おう

感謝するイメージ

「ご厚志」は相手の深い思いやりや心遣いに対して使う言葉です。気持ちだけでなく、相手から受け取った金品を指して使うこともあります。いずれも相手の思いやりがベースにあるため、「ご厚志」という言葉で丁寧に表現するだけでなく、感謝の気持ちを込めるようにしましょう。

また、ご厚志は「お心配り」や「お気遣い」といった言葉でも言い換えられます。「ご厚志」では少し固く思われるシチュエーションでは、別の言葉で言い換えてみてください。

構成/林 泉

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