入社した時にはやる気でみなぎっていた人が、徐々にやる気をなくしていく……。それは、リーダーや周囲の些細な言動が原因かもしれません。
社員のモチベーションが低下する職場風土の改善には、実は「関係密度」がカギになるのだそう。この「関係密度」とは何なのか、そして高めるポイントとは?
700を超える企業の職場風土改善に関わってきた中村英泰さんの著書『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』から一部を抜粋・編集し、〝社員のやる気を奪う間違った職場づくり〟を打破するヒントを紹介します。
忖度で組織を崩壊させないためには
SNSが発達し、さまざまな不正が暴かれる今、会社のありようが変わってきていると感じます。
日立グループ、日野自動車、三菱電機、みずほ銀行……、日本を代表する大手企業で不正の隠ぺいが行われていたのは、皆さんの記憶にも新しいでしょう。
大手企業と聞けば、経営の安定性や社会的信用度の高さ、従業員に対する福利厚生の充実など、よいところばかりに目が向きがちです。
しかし、実際には、そうとばかりもいえません。
企業によっては、巨大な組織が硬直し、さまざまな弊害が生まれています。
企業は規模が大きくなれば大きくなるほど、その内部により多くの組織と仕組みを抱えざるを得なくなります。
組織が多くなれば、至る所に「溝」が増え、それぞれの組織、部署内の一部の関係性だけで、大半のことを完結するようになっていきます。
こうした環境では、発想や思考が一層、近視眼的にならざるを得ません。
「このことを伝えると、○○さんに余計な手間をかけるんじゃないか」
「これをしておいたら、課長に評価されるかもしれない」
などと、自分のごく身近な関係性のなかで忖度することが、行動の優先事項になっていくのです。
冒頭で挙げたような不正の隠ぺいが行われた企業の職場も、公表される情報を確認していくと「風通しの悪さ」「旧態依然とした体制」「決定したことに物申すことができない」などの言葉が並びます。
おそらく「職場風土不全」だったのだろうと推察されます。
露見すれば企業全体が大きなダメージを受ける不正であっても、企業や上司、同僚に対して不利益や不快感を一時的にでも与えたくないため、それを隠ぺいする。
もちろん、自己保身の側面はありますが、それだけが理由ともいえないのが、この問題の難しいところです。
・社内通報制度を設けても、SNSで匿名公開する
・ハラスメント相談窓口を設けても、外部の労働相談窓口を利用する
・産業医がいても、民間の医師を頼る
・職場の不満を上司や役員に言わず、居酒屋でぶちまける
いつから、社内のほかの社員が信用できなくなり、組織は壊れていったのでしょう。
さっそく明日からでも、他部署とのヨコの関係性を強くする、職場風土づくりにあらためて取り組む必要があります。
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いかがだったでしょうか?
社員のやる気を左右する「関係密度」が高くなると、「社員の不本意な離職率が低下する」「コミュニケーションの齟齬が減る」「他責志向が、自己課題自己解決型に向かう」などのメリットがあるそうです。
部下や後輩との接し方に悩んでいる人は、心地良い職場づくりのヒントが詰まった一冊『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』をぜひ書店でチェックしてみてください。
社員がやる気をなくす瞬間
間違いだらけの職場づくり
発行所/株式会社アスコム
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著者/中村英泰(アスコム)
株式会社職場風土づくり代表
ライフシフト大学 特任講師
My 3rd PLACE 代表
1976年生まれ。東海大学中退後、人材サービス会社に勤務したのち、働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土を創るために起業し、法人設立。年間100の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタント。
監修/田中研之輔