入社した時にはやる気でみなぎっていた人が、徐々にやる気をなくしていく……。それは、リーダーや周囲の些細な言動が原因かもしれません。
社員のモチベーションが低下する職場風土の改善には、実は「関係密度」がカギになるのだそう。この「関係密度」とは何なのか、そして高めるポイントとは?
700を超える企業の職場風土改善に関わってきた中村英泰さんの著書『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』から一部を抜粋・編集し、〝社員のやる気を奪う間違った職場づくり〟を打破するヒントを紹介します。
定期検診で「キャリア近視」「キャリア遠視」「キャリア乱視」を防ぐ
誰もが陥りやすいキャリアにおけるエラーを確認しましょう。
自分のキャリアを考えることは、未来がよく見えない若手社員だけでなく、なんとなくの未来が見えてきている中堅社員にもシニア社員にも必要なことです。
ふと気がつくと「キャリア近視」「キャリア遠視」と「キャリア乱視」という症状に陥っていることもありますので、注意が必要です。
まずは「キャリア近視」から説明していきます。
入社して3年、5年と経って、社内で責任がある仕事や役割を任される機会が徐々に増えてくると、目の前の仕事に夢中になったり、忙殺されたりして、将来に向けてのキャリアプランを描くことをどうしても後回しにしてしまいがちです。
このように、今の仕事、キャリアに集中するあまり、自分の将来的なキャリアの形成やその先の目標のビジョンが見えていないのが「キャリア近視」といえる状態です。
次に「キャリア遠視」についてです。
一方で、一定期間同じ業務を担当することで、精神的にも時間的にもいくらか余裕が出てくると、周りに独立したり、転職したりする人も出てきます。
すると、自分のキャリアが、他者に比べて充実していないように見えてきます。
そして、「どうせ、オレなんて……」と自分を卑下したり、「そろそろ自分も独立すべきなんじゃないか?」と、明確な理由もなく、焦燥に駆られたりするのです。
見えるのは遠くばかりで、今自分が手にしているものや、やるべきことなど、近くにあるものにはピントが合っていない「キャリア遠視」といえる状態です。
最後に「キャリア乱視」についてです。
「キャリア乱視」になると、社内で成果を出して昇進する同僚をやっかむ一方で、学生時代の友人には「来年は独立する」とうそぶいてみたり、意味もなく資格の取得に励んでみたりなどムダな言動をとってしまいます。
自分軸がないため、その都度、外部のことに気を取られキャリアの焦点が定まらないのが「キャリア乱視」の状態です。
これらを避けるためには、定期的に今の自分を分析する機会を持ちましょう。
そうすることで、企業や組織、職場における自らの立ち位置と、他者との関係を築くうえでの自身の思考を再確認することができます。
こうした取り組みは、バウンダリーの距離を縮めることにもつながります。
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いかがだったでしょうか?
社員のやる気を左右する「関係密度」が高くなると、「社員の不本意な離職率が低下する」「コミュニケーションの齟齬が減る」「他責志向が、自己課題自己解決型に向かう」などのメリットがあるそうです。
部下や後輩との接し方に悩んでいる人は、心地良い職場づくりのヒントが詰まった一冊『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』をぜひ書店でチェックしてみてください。
社員がやる気をなくす瞬間
間違いだらけの職場づくり
発行所/株式会社アスコム
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著者/中村英泰(アスコム)
株式会社職場風土づくり代表
ライフシフト大学 特任講師
My 3rd PLACE 代表
1976年生まれ。東海大学中退後、人材サービス会社に勤務したのち、働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土を創るために起業し、法人設立。年間100の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタント。
監修/田中研之輔