入社した時にはやる気でみなぎっていた人が、徐々にやる気をなくしていく……。それは、リーダーや周囲の些細な言動が原因かもしれません。
社員のモチベーションが低下する職場風土の改善には、実は「関係密度」がカギになるのだそう。この「関係密度」とは何なのか、そして高めるポイントとは?
700を超える企業の職場風土改善に関わってきた中村英泰さんの著書『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』から一部を抜粋・編集し、〝社員のやる気を奪う間違った職場づくり〟を打破するヒントを紹介します。
「欠点宣言」で「愛され上司」になる
特に、あなたの欠点は、積極的に開示することです。
合言葉は「関白宣言ではなく、欠点宣言」。自分がすごい人のよう、偉い人のように振る舞うのではなく、自分にはこういうダメなところがあるということを話して理解してもらうのです。
「欠点宣言」を習慣的にできるように身につけることで、もう一段、関係構築力を高めることができます。
これは、職場において立場が上のほうにいる人たちから接触を図るときに、有効な方法です。
欠点宣言。
それは、自分の弱みや失敗談を伝えることです。
完璧で非の打ちどころがないリーダーが、なんでも華麗にやってのけるのもよいでしょう。
ただ、長い職業人生を、そうした姿でまっとうすることができるのは、ごく一握りの人たちです。
ほかの多くの人は、無理に無理を重ねて、なんとかミスを出さないようにしているのが実情だと思います。
かくいう会社員時代の私がそうでした。
大切なことなので繰り返し言いますが、人は誰かと手を取り合うことで、なにかを成し遂げることができます。
そうして、お互いに足りないところを補いあっているのです。
そのためには、自らの足りないところ、至らないところを相手にも知ってもらう必要があります。
漫画やアニメに登場する主人公、ヒーローたちはみんな、唯一無二の力の持ち主です。
それなのに、泳げないだとか、しっぽをつかまれると力が出ないだとか、ある意味では普通の人にも劣る、わかりやすい弱点があります。
主人公の仲間たちは、彼がただ強いばかりでなく、そうした弱さを併せ持っているために、彼を放っておけず、支えようと奮闘するのです。
これは、職場においても同じことがいえます。
弱みを見せず、自分1人ですべてなんでもできるような顔をしている人には、周囲の人も「自分が余計なことをする必要はない」、「どうぞ、ご勝手に」などと考え、少し距離を取って構え、わざわざ手を差し伸べることはないでしょう。
ところが、「オレは、こういうところがちょっと抜けているんだよなあ。申し訳ないけれど、フォローしてもらえると助かるよ」と言われる。
さらに、それが上司からの言葉であれば、部下は上司を助けようとするはずです。
ただし、部下がその気になるのは、前提として上司をリスペクトしている場合に限ります。
つまり、漫画の主人公と同様に、日頃からリスペクトされる存在であると同時に、本人も周囲をリスペクトする関係性を築けているからこそ、欠点もまた「人間味」、ある種の魅力とみなしてもらえるのです。
「関係密度」の観点からは、欠点を隠して強がる「関白宣言」よりも、欠点を公開して支えてもらう「欠点宣言」をしたほうが、周囲から愛され、支えられる存在になります。
そして、「欠点宣言」をすることで、あなたへの理解は深まります。
その人のことをよく知っている人と、知らない人、どちらの言葉のほうが、心に刺さるかは、火をみるよりも明らかです。
つまり「欠点宣言」は、質の高い接触にもつながっていくのです。
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いかがだったでしょうか?
社員のやる気を左右する「関係密度」が高くなると、「社員の不本意な離職率が低下する」「コミュニケーションの齟齬が減る」「他責志向が、自己課題自己解決型に向かう」などのメリットがあるそうです。
部下や後輩との接し方に悩んでいる人は、心地良い職場づくりのヒントが詰まった一冊『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』をぜひ書店でチェックしてみてください。
社員がやる気をなくす瞬間
間違いだらけの職場づくり
発行所/株式会社アスコム
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著者/中村英泰(アスコム)
株式会社職場風土づくり代表
ライフシフト大学 特任講師
My 3rd PLACE 代表
1976年生まれ。東海大学中退後、人材サービス会社に勤務したのち、働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土を創るために起業し、法人設立。年間100の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタント。
監修/田中研之輔