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ビジネスパーソンの英語学習で三日坊主にならないヒント

2024.04.21

上級または中級レベルの英語力を持つビジネスパーソンの4割が年収800万円以上という記事が話題を呼んだ(※1)。イギリスに本社を置く世界最大規模の教育サービス会社ピアソンが行った英語学習者に対するグローバル調査の結果である。

語学学習は4月からスタートする人が多く、書店でもたくさんのテキストが並ぶ。必要を感じていても仕事が忙しくてなかなか続かないビジネスパーソンのために、効率的な英語学習について教えてもらおう。寺西裕(てらにしゆたか)さんはピアソン・ジャパンの代表取締役として販売、マーケティングを統括している英語学習のプロフェッショナルである。

ビジネスシーンにおけるリンガ・フランカ

――最初に英語学習の必要性について教えてください。なぜ、ビジネスパーソンにとって英語学習が重要なのでしょうか?

寺西さん キャリアアップのためには英語学習が必須です。その理由は、いくつか挙げられます。英語は国際的なビジネス世界の言語です。およそ10億人が第二言語または、それ以降の追加言語として英語を話し、仕事で英語を使っています。

また、英語の知識が必要なのは、英語圏の企業と取引する時だけではありません。英語は現在のリンガ・フランカ(母国語と異なる人々の間で共通語として使われる言語)、すなわち国際共通言語であり、他の言語を話す人々がコミュニケーションのための共通言語として使用されています。

日本では、ビジネス界の多くは国内・日本語中心で回っていますが、国際的な舞台で競争しなければ、日本が取り残される危険性が益々高くなります。かつて日本は世界経済の約15%を占めていましたが、現在は4%を下回っている状況です。

英語ができれば仕事がしやすい

――最盛期の三分の一以下という数字に、改めて驚かされます。

寺西さん 日本経済新聞社の調査では、67%の企業が、自社の従業員に不足しているスキルとして英語力を挙げています。さらに70%の回答者が「英語ができれば仕事がしやすい」と回答しています。

スキルベースの人材採用は、日本ではまだ比較的新しいですが、英語は企業が今後人材を採用する有力な手段になると考えます。英語が単なるアカデミックな要件ではなく、スキルとして捉えられるべきだと考えます。英語で話したり書いたりできることは、(文法や英語のルールといったアカデミックな知識よりも)より重要性が高いと思います。

冒頭でも紹介していただいた通り、ピアソンの調査では、日本のビジネス界では仕事における英語の価値が低く認識されているにも関わらず、61%が英語力と給与に直接的な関係があると回答されています。

英語力の高い回答者ほど、上級職に就いている割合が高い結果です。英語力が低い回答者のうち、管理職に就いているのはわずか19%であったのに対して、英語力が高い回答者は60%でした。このデータは、昇進が、勤続年数に従うという日本の伝統的なシステムにおいて、高い英語力が昇進を早めることを示唆しています。

一方で、多くの回答者は、AIや翻訳アプリがあらゆる言語の障壁に対応できるため、英語学習は必要ないと答えています。高い割合(Z世代の48%)がAIに仕事を奪われることを懸念しているにもかかわらず、です。

ビジネスパーソンの英語学習の実態を分析

――日本ではほとんどの人が12歳~16歳までの間に英語教育を受けています。英語学習は普及しているのになぜ、他の国に比べると英語が話せるビジネスパーソンが少ないのでしょうか?

寺西さん ピアソンが行った調査でも、正規の教育で十分な英語力に達したと感じている日本の回答者は17%(世界平均45%)のみで、その主な原因は、1)授業以外で英語を使う機会が十分になく(55%)、2)実際に英語を使うことよりも文法や語彙に学習の重点が置かれていた(60%)ことによるものです。

さらに問題なのは日本のZ世代は、それ以上の世代に比べて、「英語の勉強が苦手だった」と回答した割合が高いのです。

他にも英語学習の実態として特徴的な点をいくつかあげてみましょう。第一に、多くの日本人学生は、英語を大学入学の必須条件とみなしており、それが目的となっているため、一度大学に入れば、彼らは勉強を続ける必要性を感じていません。

――英語能力は大学入試直後がピークで、あとは下落の一途とよく言われます。

寺西さん 日本の大学入試は、文法や語彙、受容能力(読む・聞く)に最も重点が置かれており、算出能力(話す・書く)には重点を置いていないように見受けられます。それに従い、高校は入試に必要な内容に重点を置くことになります。

文化的に、日本人は間違いを好まないと言われておりますが、これは、言語学習、言語を使う際の大きな障害になります。

多くの高校教師は、(スピーピングやライティングの専門教育を受ける機会が少なかったため)スピーキングやライティングを教えることに抵抗を感じている面もあるかもしれません。

他には、英語を話すエンターテインメントが言語習得の重要な原動力となっている世界の他の地域とは異なり、日本は日本語の国内メディア(テレビ、音楽)に焦点が当てられている点も特徴的だと思われます。

日本固有の文化が英語学習の妨げになることも

――アンケートによると、英語を週に一回以上使う人の割合は42%で、読む、聞く、書く、話すの4技能すべてに対する自信の度合いは世界平均に比べて一層低く、4技能すべてに自信がある人はわずか7%という結果でした。英語で自分の考えを十分表現できていると感じている割合は14%に過ぎず、世界平均の27%と比較しても低いのですが、英語学習のアドバイスをお願いします。

寺西さん 先の質問と回答と同様に、多くが以下の理由になると思います。まず、現在、日本の会社員は英語を習得しなくても(日本中心の企業で働いているので、翻訳ツールを使うことで)「何とかなる」ので、英語を学ぶ必要性は他の国ほど強くは感じられていないのです。

大学入学共通テストの制度改革(英語4技能評価を実施する民間企業を活用する)法案は廃案となりましたが、この制度変更が実現されるまでは、中等教育や高等教育レベルの大きな変化を動機づけることは、難しい面があると思います。

日本での回答者の24%が「英語学習は苦手」と答えており、これは世界平均の2倍の数値です。これは、日本人の少なく限られた英語学習経験から生まれた固定的なマインドセットを示しています。そして、それが自己暗示となってしまいます。

さらに、旅行は多くの国で英語学習の重要な動機となりますが、多くの日本人は海外旅行よりも国内旅行を好む傾向があるため、英語学習のニーズが生まれにくいのです。

また、文化的に日本人は自虐的と言われていますので、他の国籍の人たちよりも自分の英語力に批判的なのかもしれない。その一方で、2023年のEF Proficiency Indexでは「低い英語力」(113カ国中87位)であり、アジア地域の他のほとんどの国よりも低い英語力となっています。

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