現役を引退した後にいきいきと働くため、30~40代のうちに準備しておきたいこととは? 昨年、定年を迎えたコメンテーター・玉川徹さんによる新連載がビジネスパーソンのためのライフハックマガジン「DIME」でスタート!
今春から始まるTOKYO FMの新番組でラジオパーソナリティーを務めるなど、60歳を過ぎてからも活躍の場を広げている玉川さん。今回は、これまでの仕事で大切にしてきたことや、定年後もいきいきと働き続けられている秘訣などについて話を伺った。
1963年宮城県生まれ。1989年京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、テレビ朝日入社。同局系朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』のレギュラーコメンテーターであり、幅広いジャンルを独自取材している。
現役世代の時から意識すべきは自身の市場価値
──長く仕事を続けるために働き盛りのうちにやっておくべきことは何ですか?
玉川 自分の市場価値を意識的に高めるとともに、それをどのようなかたちで収益につなげられそうなのか、考えておくべきです。経済環境が大きく変化しており、今働いている会社が定年まで存在するとは限りません。市場価値が高い「欠くべからざる存在」であれば、国内外を問わずに働くこともできるでしょう。
従来の終身雇用の企業では、現場で高いスキルを身につけても、ある程度の年齢で中間管理職になれば、現場で必要なスキルとは異なるマネジメント能力を持つ必要があります。つまり、社員は社内の立場に応じて、会社に最適化することが求められるわけです。そのような状況において、自分の思い描くようなかたちで市場価値を高めることは非常に難しいと言わざるを得ません。ともすれば市場価値の高い社員が評価されず、上司におもねるだけの社員が出世するようなことも起きていると思います。これからの時代、自らの市場価値を高めようとする社員が評価されず、向上心を持って働けない会社は、成長が期待できず、自然淘汰されていくことでしょう。
仕事が好きなことであれば市場価値を高めやすい
──勤めている会社に左右されず、自身の市場価値を高めるためには、どのようにしたらよいのでしょうか?
玉川 自分の体験からも言えるのは、好きなことを仕事にするのが一番です。好きな仕事なら、常に頭の片隅にあってもストレスを感じませんし。今はそうでなくても、60歳を過ぎた時に好きなことを仕事にできるよう、会社の中でできるだけ興味関心のあることを探して取り組むなどの準備をしておきましょう。だいたいイヤな仕事で時間をつぶす人生なんて、もったいないと思いませんか?
60歳を過ぎて趣味に没頭される人もいらっしゃいますが、私個人としては好きな仕事をしたほうが断然いいと思っています。なぜなら、仕事だと他者に正しく評価してもらえるし、やりがいを抱いて一生懸命に取り組める。仕事を通じた社会貢献が可能で、しかもお金までもらえる。多くの人は65歳から年金をもらえるわけだし、贅沢な生活を夢見なければ、報酬は低くても十分。働き盛りと同様の給与を目指す必要はありません。
人口減少で若い労働力が減り、60歳を過ぎても働けるように、国の制度自体は変わり始めています。同時に、これからは組織の力だけでなく、社員ひとりひとりの価値が重要になる。真の実力主義社会へと時代も変化していくでしょう。