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まだ少ない女性起業家の課題解決に求められる「メンター」の重要性

2024.04.24

女性起業家の現状と課題

企業内だけでなく、女性起業家にも期待が高まっている。

現在、日本の女性起業家をとりまく状況はどのようになっているのか。

日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」によると、2022年の開業者に占める女性の割合は24.5%で、前年の20.7%と比べ上昇。増加傾向にはあるが、まだ男女差は大きい。

同フォーラムでは、女性起業家の成長を支援する東京都の事業「APT Women」の卒業生がキャリア形成について語り合う交流会も行われた。そこへ参加した5期生の、株式会社Mentor For 代表取締役 池原真佐子氏に、今後の女性起業家の現状課題や解決策などを聞いた。

現状、女性起業家はどんな環境にあるのか。

「私が起業した当時と比較すると、東京都のAPT Womenのような、女性起業家を包括的に支援するアクセラレータープログラムなどの機会も増え、女性起業家に対するサポート体制は手厚くなってきていると感じます。女性が起業という選択肢にアクセスしやすくなった一方で、起業後に事業を発展させていくことには障害になることがまだまだあると感じています」

特に課題に感じていることに、次の2点があるという。

●必要なノウハウや情報へのアクセスがむずかしい

「事業を成長させるために必要な情報や人脈機会が、例えば夜の時間帯や宿泊を伴う場で醸成されていたりすると、女性の参加のハードルが高くなります」

●仕事とライフイベントの両立

「起業すると、仕事に多くの時間を割いてコミットをしなければいけないことが多いのではないでしょうか。そのタイミングと妊娠・出産や介護などのライフイベントが重なると両立が大きな課題になります」

解決策は「メンター」にあり

現状、女性起業家が起業し、事業を発展させやすくするためにはどのような解決策が考えられるか。

●理想的なメンターと出会える仕組み・場づくりを

「起業家にはメンターが必要です。起業経験者やVC(ベンチャーキャピタル)等の支援者がメンターとなって寄り添い、必要な情報や機会を提供してくれることで、ビジネスとしても、経営者としても伸びていくと考えます。自分と同じような課題を乗り越えながら起業した同性メンターを探すのは困難です。だからこそ、理想的なメンターと出会える仕組み、場づくりが必要です」

池原氏は、女性を中心とした企業の管理職・管理職候補など向けに社外メンターを育成・マッチングする事業を手掛ける。社外メンターは女性起業家にとってどのような役割を担うのか。

「メンターの役割は非常に重要。私の事業で社外メンターをマッチングしているのは企業の方々ですが、私自身が起業家として多くのメンターに支えていただきました。不確定な未来に対して初めての事業をつくり、前進させていくときに伴走してくれる存在は必要です。例えば、ファイナンス、マーケティング、人事などの各領域のメンター、スペシャリストに長期スパンで壁打ちをしてもらえる機会を自ら探し、つくることも大切です。

起業は初めての場所を冒険する旅に似ています。私が思う起業の魅力は、バックパック旅行のように、自分へのチャレンジであり、がんばった先に見たこともない景色を見られることや新しい出会いにあると思います。メンターがいることで、そのような旅を楽しめる女性起業家が増えることを願っています」

●起業のイメージのハードルを下げる

「起業のイメージは、もっとハードルを下げても良いのではないかと思います。起業というと大きな資金調達の先にユニコーン企業を目指すことがゴールのように思われがちですが、ゼブラ企業という言葉も誕生しているように、社会的意義を追求したり、週末起業や副業起業などの起業のスタイルも、成長のあり方も多様で良いという考え方がさらに広がるといいなと思います。

そのためには、多様なロールモデルが増えること、そして多様なスタイルの起業家がメディアなどを通して広く知られていくことが一つの課題解決と言えるかもしれません」

企業の中の女性管理職、そして社会の中の女性起業家。まだまだ厳しい環境にあるが、視野を広げれば社会には知識やノウハウは豊富にある。いかに情報源にもなり得る「人(メンター)」を見つけられるか、その惜しみない欲求が成功へと導いてくれるのかもしれない。

【取材協力】

池原真佐子氏
株式会社Mentor For 代表
早稲田大学、早稲田大学大学院(教育)で修士号取得。PR会社、教育関連のNPO、コンサルティング会社へ転職。INSEAD(Executive Master in Change / コーチング・組織開発)で修士号取得。起業後に妊娠するも、臨月でパートナーが海外赴任。ワンオペ育児を契機に、D&Iを推進する社外メンターを事業を2018年に立ち上げる。2年半のワンオペ育児を経て、その後2年間はドイツから2拠点生活で事業を育てる。2023年「女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書」出版。INSEADにてAdvancing Diversity and Inclusion コースも修了、D&Iの知見を深める。
https://mentorfor.jp/

【参考】
東京女性未来フォーラム

【出典】
内閣府男女共同参画局「女性活躍に関する基礎データ」
日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」

文/石原亜香利

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