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スーパーで立ち飲みできる!?ブレーク直前とウワサの「スーパー角打ち」で呑んでみた

2024.04.25

ワンカップは冷やと熱燗両方あり、カップワインも

そろそろ日本酒が飲みたくなってきたので、冷蔵ケース内のワンカップコーナーをチェック。

ホットプレートで燗酒も選べるシステム。至れり尽くせり。

迷った末に「賀茂鶴」(500円)を選び、おつまみは「甲いか ウニカニみそ」(280円)「イカの一夜干し塩辛」(280円)。イカ、カニ味噌、ウニという贅沢素材がたっぷり、なのにこの値段。贅沢なのか質素なのか、脳が混乱してバグる(酔っているせいもある)。

仕上げは、「レモンサワー」(399円)ですっきり。ドリンク3杯、おつまみ7品、計10品の合計が3,597円。「この店で、一人で3000円超える人ってあまりいないですよね?」と念のために聞いてみたところ「おひとりでは、あまりいないですね」とのことだった。

いくら流行っていて盛況とはいえ、この価格帯でこの内容だと、とても儲けが出ているとは思えない。果たしてビジネスとして成立しているのか。同店の早瀬社長を、直撃してみた。

「新しいことをやって成功させるには、まず賑わいを作ることが大切(早瀬社長)

――町の魚屋さんが次々に消えているこのご時世に、なぜ鮮魚スーパーをオープンしたんでしょう?

早瀬社長「直接のきっかけは、コロナです。僕は長年にわたって、さまざまな飲食店に朝獲れ鮮魚を卸(おろ)す業者をしてきたんですが、コロナで売上が95%もダウンしたんです。ほぼ売上ゼロですよ。その時にたまたま綱島に手ごろな物件があったことから、小売店を始めたんです。『漁港問屋 早鈴直売所』という店名は、僕(早瀬)と鈴木がいっしょに始めた店なので、一文字ずつとって付けました」

――高級料理店向けに高付加価値の鮮魚を卸すのと、一般消費者向けに激安の鮮魚を売るのでは、利幅が全然違いますよね。それでもやろうと思った理由は?

早瀬社長「魚離れが進む若い人に、朝獲れの本当に新鮮な魚の美味しさを知ってもらいたかった、というのが最大の理由です。関東エリアは海が少なわりに人口が膨大なので、需要をまかなえる量の魚を全国から市場に集めて振り分けるのに大変な時間がかかる。そのため朝獲れた魚がその日の市場やスーパーの売り場に出ることはほとんどないんですよ。鮮度を保つにもコストがかかりますから、激安居酒屋などでは鮮度の落ちた魚を使っていることがほとんど。若い人はそういう魚しか食べたことがないから、どんどん魚離れが進んでしまう。“若者の魚離れ”という言葉を聞くたびに口惜しくて…。若い人に『新鮮な魚ってこんなに美味しいんだ』とわかってもらいたかったというのも、理由のひとつです」

――低価格で提供できるのは、早瀬社長が港から直接買い付けているから?

早瀬社長「それが一番大きいですが、丸のままの魚を店内でさばいているということも理由のひとつです。スーパーなどでは魚をさばける人を確保するのが難しい。教育に時間もかかるしその分、コストもかかります。そのため工場でさばいて製品化したものを小売店で並べることが多く、その加工コストがかかっているんです。ですから豊漁で港では投げ売りになっても、売り場のそれほど価格に反映されないんです」

▲通常の鮮魚の流通ルートでは漁港→仲買人→大型市場からさらにいくつもの段階を経て、販売店に届くが「漁港問屋 早鈴直売所」では近場の漁港から、その日の早朝に水揚げされた新鮮な魚を早瀬社長が直接仕入れて販売している

――立ち飲みの店を始めたのは2023年10月23日ですが、目的は売り上げアップ?

早瀬社長「この価格でこの内容だと、正直、儲けはほとんどありません(苦笑)。物販のほうはおかげさまでリピーターもついて順調に売り上げが伸びていたのですが、利用者の年齢層が高めなんです。若い人にもっと鮮魚の美味しさを知ってもらうにはどうすればいいか考えて居酒屋を思いついたのですが、若い人はお金がないから、利用してもらうには価格設定を低くしなければならない、それで立ち飲み店にしたんです」

――経営的に、儲けが出ないのは苦しいのでは?

早瀬社長「でも立ち飲みで朝獲れ鮮魚の美味しさを知ってもらえたら、日々のおかずで買ってみようということになり、長い目で見れば売上増加につながります。それに、店が賑わっていると、それまで通りかかっても入らなかったお客さんが興味を持って入ってくれます。店で何か新しいことを成功させるには、まず賑わいを作ることが大切なんですよ」

▲立ち飲みタイムのホールのサービススタッフが女性中心なので安心感があり、女性のひとり客も多い。「うちのスタッフは皆、売っている魚に負けないくらい素材がいいんですよ」(早瀬社長)

立ち飲み店はおつまみが安いのが魅力だが、あまりに安いと素材の鮮度などが不安になることもある。だがこの店の場合、母体が鮮魚スーパーなので「安くても、間違いなく新鮮」という安心感が大きい。早瀬社長は「スーパーが飲み屋を併設するのには、スペースや人件費などのハードルが高い」と語るが、立ち飲み店が林立して競争が激化し、スーパーも特色を出すことが求められている今、両者の融合は次の一手になるかもしれない。

取材・文/桑原恵美子
取材協力/「漁港問屋 早鈴直売所」

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