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「天は自ら助くる者を助く」とは、「天は他人を頼らず、自分の力で立ち向かっていく者を助ける」といった意味を持つことわざである。
本記事では、ことわざの意味・読み方と使い方、例文を解説していく。誰の言葉に由来するか知りたい人も、ぜひ目を通してみてほしい。
「天は自ら助くる者を助く」とは?
「天は自ら助くる者を助く」とは、自分で努力することの大切さを表すことわざである。以下では、意味・読み方と、関連する自助論について解説していく。
■ 意味・読み方
「天は自ら助くる者を助く」を辞書で引くと、意味は以下の通り。
《Heaven helps those who help themselves.》天は、他人に頼らずにひとりで努力する者を助けて幸福を与える。 引用:デジタル大辞泉(小学館) |
上記の通り、「他人を頼らず、自分で努力する者を助ける」といった意味を持つのが、「天は自ら助くる者を助く(読み方:てんはみずからたすくるものをたすく)」だ。端から他人任せにせず、自分でコツコツ努力できる人を神様はちゃんと見ていて、救いの手が差し伸べられるといった天命が窺えることわざである。
ちなみに、「天は自ら助くる者を助く」は、西洋のことわざである「Heaven helps those who help themselves.」に由来している。自らの力で努力することへの教訓として、この一文が登場する海外の著書は少なくない。
■誰の言葉? 自助論という本について
自助論(Self-Help)とは、「天は自ら助くる者を助く」ということわざが日本に浸透するきっかけとなった著書である。1859年にイギリスの思想家であるサミュエル・スマイルズが記し、後に和訳されて明治維新後の日本で爆発的に広まった。この著書の序文に見受けられるのが、先述の「heaven helps those who help themselves.」の一文だ。
タイトルロールにもなっている自助とは何かというと、ことわざの意味でもある自らの力で事を成し得ることである。自分の身は自分で守るといった災害時の教訓として使われる言葉でもあるが、結局のところ、自分を助けられるのは自分だけなのだ。そんな逆境を生き抜く精神論のお手本として、ビジネスシーンでも活用されているのが自助論である。
「天は自ら助くる者を助く」の使い方
生きるうえでの教訓ともいえる「天は自ら助くる者を助く」は、問題や課題にどう向き合うかを表現するシーンに使用できる。
以下では、ポジティブ・ネガティブな使い方を例文と共に見ていこう。
■ポジティブな使い方の例文
「天は自ら助くる者を助く」を、ポジティブに表現した例文は以下の通り。
・最初から手に負えないと決めつけず、自分のできそうなところから始めるべきだ。天は自ら助くる者を助くという言葉もあるしな。
・真剣に取り組むも手を抜くも自分次第だ。結局のところ、天は自ら助くる者を助くという言葉の通りなのだから。
上記はいずれも、まずは自分一人の力で立ち向かっていく、困難を乗り越えようとする精神の重要性を表現している。
■ネガティブな使い方の例文
「天は自ら助くる者を助く」を、ネガティブに表現した例文は以下の通り。
・天は自ら助くる者を助くとは言うものの、一から十まで自分で背負い込んで、周りをまったく頼らないというのも問題だ。
・彼は彼女の前でカッコをつけたいがために、天は自ら助くる者を助くの精神を貫いているのだろう。いつもは他力本願のくせに。
明らかにキャパオーバーなのに周りを頼らなかったり、自分の力でやり抜くことに邪な目的や思いがあったり、ネガティブな使い方をしたのが上記の例文だ。自分でじっくり努力することはもちろん大切だが、決して周りを頼ってはいけないということではないと覚えておこう。
「天は自ら助くる者を助く」の類義語
「天は自ら助くる者を助く」はあまり有名な言い回しではないため、時と場合によっては言い換えるのが好ましい。以下では、類義語を3つ解説していく。
■「人事を尽くして天命を待つ」
「天は自ら助くる者を助く」の類義語であり、有名な故事成語に「人事尽くして天命を待つ」がある。「できることはすべて行い、後は天の采配に委ねる」といった意味を持つ。自分の力で行うとは指定されていないが、天に任せるといった姿勢は同じだ。
■「運を天に任せる」
「人事を尽くして天命を待つ」をさらに分かりやすくしたことわざが、「運を天に任せる」だ。「運命を天や成り行きに任せる」といった意味がある。試験後など、後はもう結果を待つのみといったシーンで、一度は使ったことがあるのではないだろうか。
■「能事畢る」
「能事畢る」とは、「成すべきことをすべてやり終えた」という意味がある故事成語である。成すべきことを示すのが能事で、やり終えたことを指すのが畢だ。すべて手を尽くしてしまうといった意味で、「天は自ら助くる者を助く」から言い換えられる。
「天は自ら助くる者を助く」の意味を胸に刻んで
「天は自ら助くる者を助く」の読み方は「てんはみずからたすくるものをたすく」で、古くから西洋に伝わることわざに由来する言葉と分かった。
代表的な類義語である「人事を尽くして天命を待つ」ほど聞きなじみはないかもしれないが、自助論にまつわる意味は理解しておいて損はないだろう。何事も他人を真っ先に頼るのではなく、自分の力で立ち向かっていくことこそが成功への近道だということを。
文/shiro