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副業としてありなのか?日本型ライドシェアのドライバーはどれくらい稼げるのか

2024.04.14

ケース(2)名鉄タクシー

次に取り上げるのは、愛知県名古屋市の名鉄タクシーである。

この会社のライドシェアドライバー募集要項は、PDFという形で配信されている。こちらも見ていこう。

給与:時給1,500円に歩合給を加算(固定時給1,200円+手当300円/時間+歩合給)
応募資格:第一種自動車運転免許取得後、三年以上経過されている方 21 歳以上70歳未満の方 従事する日以前の2年間において無事故かつ運転免許の停止処分を受けていない方
持込み車両:定員5人以上10人以下、車幅2,000mm未満。車両装備として、衝突被害軽減ブレーキ、ETC車載器が必須。
雇用会社:名鉄交通第一(株)・名鉄交通第三(株)・名鉄交通第四(株)・名鉄名古屋タクシー(株)のいずれか ※名古屋交通圏(主に名古屋市およびその周辺地域)が営業範囲です。
雇用形態:週20時間未満のパートタイム雇用(副業可)
勤務時間:金曜日 16:00~20:00/土曜日 0:00~ 4:00
募集人数:15名程度
福利厚生:有給休暇、健康診断、タクシー乗務員としての正社員登用あり(希望者)

名鉄タクシーも、日交と同様に基本給を設けている。固定時給と手当を合算した1,500円がそれだ。

こちらも、金曜日と土曜日に4時間ずつ勤務すると仮定しよう。すると1週間に1万2,000円、4週間で4万8,000円だ。歩合はやはり1日4乗車、それぞれ2,000円の運賃、そしてドライバーの手取りは50%と仮定する。3万2,000円の歩合いと前述の基本給4万8,000円を足した額は8万円、12でかけると96万円になる。

こちらも年間100万円に十分届く水準だ。たとえ金曜日の4時間だけの勤務だったとしても、96万円÷2=48万円がドライバーの収入になる。年間の車の維持費を捻出しても、まだ余りある額ではないか。

ケース(3)小松市ライドシェア「i-Chan」

最後は石川県小松市のライドシェア「i-Chan」について解説しよう。

こちらは日交や名鉄タクシーと違い、固定された時間給はないようだ。

募集対象
年齢が21歳以上かつ70歳未満の方
普通自動車運転免許取得後3年以上経過しており、過去 2 年以内に免許停止履歴がない方
※登録後、安全講習(3月20日予定)を受講していただきます。
任意保険(対人対物無制限、同乗者への補償が 3 千万円以上)に加入の方
※自家用有償旅客運送自動車保険を小松市で加入いたします(上乗せ補償)
スマートフォン又はタブレットをお持ちの方
心身ともに健康な方
月に4日以上、運行業務に携わっていただける方
指定の講座を指定の日時(3月20日予定)に受講し、修了すること
関係法令を順守し、安全運転に努めていただける方
反社会的勢力に関係していない方
運送時間帯
17時から24時のうち都合が良い時間帯

ドライバー報酬
運賃の70%(運賃はタクシー料金の概ね80%)

ドライバー手当等
燃料費:15円/km
夜間手当:500円/回(22時以降)
通信費:2,000円/月(年間通じて月平均8日以上乗務された方)
(以上、中略と前後の入れ替えは筆者)

小松ライドシェアは上の条件を見る限り完全歩合制に近い条件ではあるが、それでもドライバー手当が用意されている点に注目。ちゃんと燃料費の補助がある。

それを踏まえて計算してみよう。

こちらの場合も、1日4時間・週2日の勤務とする。そしてやはり1日4乗車発生したと仮定したい。1乗車毎の運賃は2,000円の80%、1,600円としよう。

ドライバーへの報酬は1,600円の70%=1,120円。週2日勤務8乗車で8,960円だ。4週間で3万5,840円、さらに燃料手当を1日20km分、4週間160km分とすれば、その額は4週間で2,400円。

とりあえず、ここまでの計算をまとめた上でそれを12倍にすると45万8,880円となる。通信費や夜間手当も考慮に入れると、ドライバーは年間で50万円程度の収入を得られるということだ。

週1日・4時間勤務で「年間50万円」

これらを鑑みると、日本型ライドシェアのドライバーの収入は都市部のタクシー会社による雇用では週1日・4時間の勤務で年間50万円前後、週2日・8時間の勤務で年間100万円前後がひとつの基準のようだ。基本時給のない完全歩合制に近い条件の場合は、概ねその半額である。

よく考えられている、というのが筆者の正直な感想である。

ライドシェアの導入に慎重、というより反対し続けてきたタクシー業界は、ローカライズされたライドシェアを導入する段階で「割の良い副業」になり得る条件を算出したのだ。現実問題、一般的な会社員が年100万円の副収入を手にすれば様々なことができるだろう。さらに、雇用形態がパートタイム雇用であれば有給休暇も発生する。

日本型ライドシェアは、このような「旨味」を武器にできるのか。今後の動向に注目する必要がある。

【参考】
日本交通
名鉄タクシー
小松市ライドシェア

取材・文/澤田真一

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