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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
――とんでもない社員がいたようですね。
会社
「はい。上司が話しかけても背を向けたまま答えたり、メールで指導すると『死んでお詫びします』と返信するような社員でした」
うざっ。会社が人事考課で悪い査定を出し、部署異動を命じました。すると社員が「人事評価は違法だ!差額の給料を払え!」などと提訴。
――裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「この社員の行動、常軌を逸している。会社の勝ち!」
(トライグループ事件:東京地裁 H30.2.22)
以下、わかりやすく解説します。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 会社
・家庭教師派遣などを行なう会社
・従業員 約2000名
▼ Xさん
・総務、経理などの仕事に従事
・基本給 42万9000円
どんな事件か
▼ 入社直後
入社直後からトラブルがありました。会社はXさんの仕事ぶりがヤバイと感じていたのでしょう。
給料の減額を申し出ますが、Xさんは応じず。会社はXさんに出向を命じましたが、Xさんが労働審判を起こして出向とりやめに。
▼ 異動したまえ
会社はXさんをACという部署に異動させます。主な仕事は、家庭教師の料金を払ってくれない家庭に電話をかけて未収入金を回収するなどです。ここでXさんは色々とチョンボしてしまいます(後述)。
▼ 能力主義へ
会社が就業規則や給与規程などを変更して能力主義を採用します。人事考課の結果によっては給料が下がる可能性が出てきました。Xさん、大ピンチです。
▼ 案の定、給料が下がる
Xさんは降格されて給料が1万6000円減額となりました(41万3000円)。その後、MCという部署への異動命令が出されました。家庭教師の手配をしたりする部署です。
その後も、4~5回に渡り人事考課で悪い結果がつけられ、都度、給料が1万5000円ずつ減額されました。
▼ 再びACへ異動命令
会社は再びXさんに対してACへの異動命令を出しました。
――Xさん、何が不満で裁判を起こしたのでしょうか?
Xさん
「成果主義、能力主義的な給与体系への変更は不利益変更にあたるので無効です!差額の賃金を請求します!私への人事考課についても人事権を濫用しているので違法です!」
――なるへそ。裁判所さん、いかがですか?