KDDIはサービスの世界展開を狙っている?
房野氏:KDDIの主目的は何ですか?
石野氏:海外に見せられるものをいろいろ見せて行こうという感じ。
石川氏:髙橋社長が最近よく言っているのは、海外のものを日本に持ってきて、日本の良さを加えて、また海外に持っていくのがKDDIのビジネスモデルだということ。そこをMWCで見せたかったというのが1つある。後付けの理由だったりもしますけど(笑)、そういうのがKDDIのグローバルとしての立ち位置という話をしていました。
房野氏:KDDIはベンチャーと組んでやることもありますが、海外でもやるんですか?
石川氏:まぁ、例えばKKBOXという、音楽配信をやっている会社があるんですけど、そこがKDDIと仲良くなってKDDIの子会社になり、日本でいろんなことをやって、2024年4月に台湾でまた上場します。先日、発表会があったAI企業のELYZAも、MetaのLLM(大規模言語モデル)を日本のELYZAがうまいこと加工して、日本語対応させて日本で使われつつ、また世界展開していくんだ、というようなロジックで動いていたりする。MWCはそういったことを披露する場として優れているという説明をされていました。
石野氏:聞いたところによると、povoの展示は結構ギリギリで決まったらしいです。そんなことを考えているんだったら展示しようよといって含めたらしいです。
石川氏:KDDIとしても、MWCにブースを出すからネタを集めた感じ。ソニー・ホンダモビリティの「AFEELA」を模したモビリティの展示も、KDDIのグローバル通信プラットフォームをAFEELAの量産モデルに提供するという発表とタイミングを合わせた感じがするし。
石野氏:povoの件は、povoが黒子になって、サードパーティーのアプリから直接povoのAPIを叩いてpovoのプランを買えるようにする、というものです。
石川氏:povoだからできるか、という感じ。
石野氏:やろうとすると本人確認の問題があるので、KDDI Digital Lifeの秋山社長はデータSIMでもいいんじゃないか、とも言っていた(*2024年3月27日に音声通話ができないデータSIMの提供が始まった)。面白そうですけど、データSIMも本人確認が厳しくなりそうで、心配な部分はある。ちょっと楽天モバイル的な発想ですよね。ほかのサービスから契約しちゃいましょうというのは、楽天モバイルよりもさらに革新的というか、povoという存在を隠して売るというのが面白いなと思いました。なんか「からあげクン」とは逆みたいで。
房野氏:povoには、からあげクンがついてくるプランがありますね。
石野氏:からあげクンを買ったら、〝からあげクンモバイル〟みたいなものがQRコードで契約できるといった感じ。ワンショットで使えるのでWi-Fiの代わりにもなる。例えばテーマパークに行く時に、アプリの中にQRコードが入っていて、それを読み込むと1日だけ無制限のpovoが使えたりすると、新しいコンシューマービジネスの形として面白いなとは思います。
石川氏:面白いけど、それがZ世代に向けたものなのかというと、若干そこが……
石野氏:そうですね。〝気持ちはZ世代な40代〟だったりするかもしれません(笑)。結局、povoも30代、40代はそれなりに多いそうなので。気持ちがZ世代の40代に沿っているなと思いますね。