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プレゼンテーションに対して苦手意識を持つ人は多いが、ビジネスシーンにおいて必要不可欠。社内プレゼンから、大きなコンペの場合もあるだろう。必要であるにもかかわらず、苦手意識を持ってしまうのは、プレゼン内容というより、多くの人の前で上手に話せるかどうかが不安なのではないだろうか。今回は、プレゼンテーションにおいて、伝わりやすい話し方をするためのポイントを紹介する。
プレゼンの準備は入念に
プレゼンテーションで重要なのは、構成などの内容に加え、それらを説明する声だ。声が聞きとりにくいと、すばらしい内容でも相手には届かない。声の準備もしておきたい。といっても、「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」と、発声練習をするだけではなく、自分自身の話し方を確認することも大切だ。
■自分の声と話し方を確認
まず、プレゼン資料を作成したら、どのように話をするのか、録画しながらリハーサルをしよう。録画を見直してみると、聞き取りにくい部分や、表現がわかりにくい部分などを客観的に確認することができる。
まずは声。全体的に聞き取りにくい、もしくは滑舌の悪さが気になれば、いつも以上に一言ずつ口を開けることを意識し、ゆっくり話すことを意識してみよう。さらに、大きな会場で話していることをイメージし、声を遠くに届けるように話すことで、声をしっかり出すことができる。
話し方については、個性や好みもあるが、プレゼンの場合、好感を持ってもらえた方がいいだろう。自分自身が好感を持っているアナウンサーなどの話し方を参考に、真似をして練習するのも効果的だ。また、語尾まで丁寧に話すことも意識しよう。
★発表する具体的な内容を示す
プレゼンの時間はあらかじめ決められているとはいえ、話の内容が理解しにくいと聞き手側は、話が長く感じるだけでなく、理解しようという意識が低くなる恐れがある。まず、何について話すのかを明確にし、詳細を説明しよう。
また、プレゼンする内容は、自分自身は熟知しているが、その良さを伝えるためには、分かりやすく説明する必要がある。
誰にプレゼンするのかで、その内容も変わってくる。専門家にプレゼンする場合を除いて、専門用語は多用せず、分かりやすい言葉を使おう。また、カタカナ用語も使用を最低限にするのがいいだろう。「エビデンス」という言葉もよく使われるが、「根拠」や「裏付け」と表現した方が伝わりやすいこともある。誰に対してプレゼンするのかを把握して準備をしておきたい。わかりやすさを一番に考えて、構成しよう。
■リハーサルなど練習を行う
話す内容の構成ができたら、実際のプレゼンシーンをイメージしながら練習しよう。話す内容の原稿ができているからと安心してはいけない。原稿の文章量と、実際に話したときの時間が体感でわかるプロのアナウンサーでも、本番前に練習している。
何文字を何秒で話すことができるかどうか把握していないと、与えられた時間内に話を終えられるかどうかわからない。プレゼン内容を丸暗記するくらいのイメージで練習することをおすすめする。それくらい内容を頭に叩き込んでおくと、当日、ハプニングが起こっても対応することができる。
プレゼン当日の準備とプレゼン中の話し方のポイント
プレゼン当日は、内容の最終チェックとともに、発声練習も行っておくと、しっかり声が出る。会場によっては、大きな声が出せないため、喉を温めておこう。手が冷たいときに温めるように息を吐くことで、喉の準備体操ができる。
さらに、その日の気候やプレゼン会場の周辺や時事ネタなどを仕入れておくと、プレゼンの最初のあいさつで活用することができる。余裕があれば、準備しておきたい。
むずかしければ、簡単な自己紹介を準備しておこう。古典落語もいきなり本題に入らず「マクラ」と呼ばれる世間話があるが、これは、これから話す内容に注目してもらうためのもの。「マクラ」になりそうなネタを普段から収集しておくのもいいだろう。
■大きな声でいつもよりゆっくり話すことを意識
緊張していると、気づかぬうちに早口になっていることも多い。まず、大きな声でゆっくり話しかけることを意識しよう。ジェスチャーを入れるのもいいだろう。丸暗記するほど練習することを推奨したが、丸暗記したものをそのまま話すだけでは、相手には伝わらない。内容をしっかり熟知するという目的での丸暗記のため、話すときは準備した原稿に目を落としたままでなく、聞いている人にしっかり伝えることを意識しよう。
■会場内の味方を早い段階で見つける
多くの人を前にして緊張しないというのは、なかなかむずかしいものだ。そこで、話し始めて早い段階で、味方を見つけると話しやすくなる。
ビジネスシーンなので、にこにこしながら聞いてくれる人は少数派だが、話したことに対して、うなずいて真剣に聞いてくれる人を見つけ、その人に向かって話すことで自信につながり、より説得力がある話し方ができる。話し方に説得力が出ると、味方が増えていくため、試してもらいたい。
■「間」を効果的に使う
重要な話をする前に、「間」を意識することで、重要なポイントが聞く人にもわかりやすい。話を聞いていて、急に静かになると、そんなに長い時間ではなくても気になるものだ。会場を一度見渡すくらいの「間」が注意をひき、その後に話す内容を聞いてもらいやすくなる。
また、その内容を繰り返すことで、より印象に残せるだろう。重要ポイントを箇条書きにして、この部分は強調するなど、プレゼン中にわかりやすいような手元資料を準備しておくと安心だ。
百戦錬磨のアナウンサーも本番前に発声練習を行い、入念な準備をしている。原稿を丸暗記して当日読み上げているだけでは、心が入らないため相手にその思いは伝わりにくい。
箇条書きだけで当日、うまく話せないかもしれないと心配な場合は、原稿を準備し、重要項目を赤字にするなどの工夫をしておくといいだろう。
また、資料のどの部分を説明しているかを確認する間に「え~」「あ~」などの言葉を挟むと、より内容が伝わりにくくなる。
「え~」などを挟むのが癖になっている人は、その言葉を発する前に飲みこもう。自信がもてるまで練習し、プレゼン当日は、聞く人に伝えようという情熱をもって話してみよう。
文/林ゆり