DIME MAGAZINE
931ccの新世代直列3気筒エンジン採用
新型の931ccエンジンには、MVアグスタのすべての新世代直列3気筒エンジンに採用されている独自のテクニカルソリューションである逆回転クランクシャフトが搭載されている。独自に設計・開発し、MVアグスタの工場で生産されているこのエンジンは、わずか57kgと非常に軽量で、極めてコンパクトとなっている。
ただエンジンのコンパクトさと軽量性だけが、ENDURO VELOCEの驚異的ともいえる操縦性に貢献しているわけではない。逆回転クランクシャフトのジャイロ効果が、フロントホイールのジャイロ効果を大きく相殺するため、素早い切り返しが可能となる。これは特に、21インチのフロントホイールを装着するオフロードモデルでは、非常に効果的となる。
またMVアグスタの他のモデルと同様、パフォーマンスも最高レベルを誇る。10,000rpmで124PS/91kWの最高出力、7,000rpmで102Nmの最大トルクを発揮。高回転数で高出力が確保され、低回転数では瞬時にトルクが発生するという特性は、ライダーに走る喜びをもたらす。さらに3,000rpmでも、最大トルクの85%を発揮。MVアグスタの675ccエンジンや798ccのエンジンよりも大きなボアストローク比、新形状のカムシャフトやタイミング設定によって、楽しさと実用性を両立するエンジンとなっている。
そして、ダブルオーバーヘッドカムシャフトにはDLCコーティングが施され、フリクションを最小限に抑えている。ライダーの快適性を確保するうえで、エンジンは重要な要素となる。カウンターシャフトに加え、クランクギアを丹念に調整することで振動を低減。加えて、MVアグスタの卓越した技術力によって、作動中のエンジンの発熱は比較的低い温度で維持され、これにより、快適性がさらに向上している。
そしてライダーは、スムーズかつ正確な6速ギアボックスにより、エンジンのパフォーマンスを十分に引き出すことができる。また、このギアボックスは左右両側から取り外すことができる。EAS（Electronically Assisted Shift）は、バージョン4.0となり、クイックシフト機能によってスロットルを開いたままシフトアップとシフトダウンが可能となっているため、クラッチを操作する場面は減り、油圧制御によってスムーズかつ安定した操作が出きる。
なおENDURO VELOCEにはバイパス付きのエキゾーストシステムが搭載され、スロットルを開くと、アドベンチャーバイクと言うよりはスーパーバイクレプリカに近いサウンドが鳴り響き、ライダーの高揚感を高めてくれる。MVアグスタの3気筒エンジンは、魅力的なエキゾーストノートを奏でながらも、メカニカルノイズやインテークノイズを最小限に抑え、ENDURO VELOCEのライディング体験を大きく高めている。
8段階のトラクションコントロールを設定可能
ENDURO VELOCEは、高度な電子制御機能が多数搭載されている。6軸慣性プラットフォームが重要な動的データをリアルタイムで照合・処理し、電子制御による介入を行うかどうかを判断。さらにENDURO VELOCEには、アーバン、ツーリング、オフロード、カスタムオールテレインの4種類の走行モードがあり、幅広い走行条件とライダーの好みに対応できる。また、完全ライドバイワイヤのアクセルシステムでは、緻密なトルク管理機能により、エンジン出力を思い通りにコントロールできる。
なおトラクションコントロールは、作動をオフにできるほか、8段階の介入レベルを備えており、5つは公道走行用、2つはオフロード走行用、1つは滑りやすいウェット路面用となる。さらに、ライダーはメインメニューを使用して、装着するタイヤに応じてECUの電子制御を変えることができる。ENDURO VELOCEでは、ブリヂストン製のBattlax A41およびAX41に合わせて各8段階のトラクションコントロールレベルを設定可能となっている。
そしてエンジンブレーキの介入レベルは2段階あり、選択済みの走行モードに応じて制御される。レベル1ではエンジンブレーキが抑制され、レベル2ではエンジンブレーキが抑制されない。またENDURO VELOCEには、ローンチコントロール機能が搭載されている。ハンドル右側のボタンでローンチコントロールを起動すると、驚異的な加速性能を意のままに制御しつつ、停止状態から100km/hまで3.72秒で到達。FLC（フロントリフトコントロール）も、このような急加速を可能にする制御機能となっている。
構成／土屋嘉久
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