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知っているようで知らない「親の七光り」の意味と言葉の由来

2024.09.10

「親の七光り」とは、「親の高い社会的地位や名声によって、子どもが恩恵を大いに受けること」を意味する言葉だ。芸能人や政治家などに絡めて耳にする機会も多いかもしれないが、悪口としてのネガティブな使い方しかできないと思っていないだろうか。

本記事では、言葉の意味と由来、使い方・例文などを順に解説する。類義語・対義語や英語表現、なぜ七なのか知りたい人もぜひ読んでみてほしい。

「親の七光り」とは?


「親の七光り」とは、「親の光は七光(おやのひかりはななひかり)」の略語である。まず、意味と由来を解説していこう。

■ 意味

「親の光は七光」を辞書で引くと、意味は以下の通り。

親の社会的地位や名声が高いと、子はそのおかげを受けることが大きいということ。親の七光。

 引用:デジタル大辞泉(小学館)

上記の通り、「親が築いた地位や名声によって、その子どもが大きな恩恵を受けること」を意味する言葉が「親の光は七光(親の七光り)」だ。有名なタレントの子どもを指す二世タレントや、企業の代表や重役である親のおかげで入社するコネ入社といった言葉に深く紐づいている。

ちなみに「親の光」とは「親の威光」を意味し、威光とはすなわち、人をおそれさせ、従わせる力・勢いのことだ。さらに「七光り」の七は、七つではなく「多くの」といった意味がある。権力を持つ親からいかにたくさんの恩恵を受けられるか分かるだろう。

■ 由来と「七」を用いる理由

「親の七光り」の由来は諸説あるが、仏教と方角に関係しているという説が有力だ。

まず、仏教では全部で7つの世界があり、それらを巡って生死を繰り返すと考えられている。途中には苦しみや迷いもあるが、抜けた先には仏の世界が広がっていて、どの世界にいても恩恵へと繋がっていると言えるだろう。

方角に由来すると考えられているのは、方角が大きく分けて8つから成り立つためだ。その中の1つに子どもが立っているとすると、他の7つの方角から親の恩恵を受けられることになる。

どちらも7つという数字に関連することから、「親の七光り」という言葉が生まれたと考えられているのだ。

「親の七光り」の使い方

「親の七光り」という言葉は、意味の通り、子どもが親の社会的地位や権力の恩恵を大いに受けていることを表すシーンで使える。どちらかというとネガティブな意味合いで使われるが、以下では、ポジティブな使い方を含め例文をあげて解説していく。

■悪口としての使い方の例文

「親の七光り」を、悪口に当てはめた時の例文は以下の通り。

・彼が〇〇社に入社できたのも、親の七光りからだろう。
・親の七光りだからって、いきなり来て大きな顔をされても納得できない。

上記の通り、コネ入社などに絡めて皮肉めいた使い方をされるのが一般的だ。子どもが今の立場につけたのは、実力ではなく、親の権力が大きく関係しているといった意味が込められている。

■称賛する使い方の例文

「親の七光り」を、称賛の意を込めて使う時の例文は以下の通り。

・彼女は親の七光りと言われているが、実力は確かなものだ。
・世間は親の七光りと言うが、私は彼の努力を知っている。

文の前半に置き、逆説の接続詞でつなげると、子どもが得た立場や成功が親の権力によるものではなく、本人の実力が大きく関係しているといった意味として使える。親の七光りであっても、実力が伴っている人物を表す使い方として覚えておこう。

「親の七光り」の類義語


次に、言い換えとして覚えておきたい「親の七光り」の類義語を紹介する。

■「親のおかげ」

「親のおかげ」とは、字の通り、「親の恩恵」といった意味を持つ。親のおかげで今があるといったように、親からの恵みを受けることを指す時に使える。

■「親の光子に目鼻つける」

「親の光子に目鼻つける」とは、「親が辿ってきたそれを、子どもが辿る道筋にする」といった意味合いを持つ言葉だ。ちなみに、「目鼻をつける」は「道筋を立てる」を意味する。

■「親の光は七とこ照らす」

「親の光は七とこ照らす」は、「親の七光り」が仏教に由来している説に紐づくことわざだ。「とこ」は「場所」を意味するため、「七とこ」で「あらゆる世界」となる。

「親の七光り」の対義語

次に、「親の七光り」の対義語を紹介する。親から受けたのが恩恵ではなく、損害などのマイナスだったことへの表現に使ってみてほしい。

■「親の罪子に報う」

「親の罪子に報う」には、「親が犯した罪が、子どもに悪影響を及ぼす」といった意味がある。仏教の教えである「因果応報」の精神に言葉に基づく言葉だ。

■「親の因果が子に報ゆ」

「親の因果が子に報ゆ」も、「親の罪子に報う」と似た意味を持つ言葉だ。不幸の出所に心当たりがない場合、過去に犯した親の過ちが原因という考えも含まれている。

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