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なぜ、鯉なのか?「まな板の鯉」の意味と言葉の使い方

2024.09.13

「まな板の鯉」とは、「打つ手がなく、相手にまかせるほかない状態」を意味することわざである。ところで、なぜ鯉にたとえられるのか知っているだろうか。

本記事では、ことわざの意味・読み方をはじめ、使い方や例文、英語表現まで広く解説していく。「まな板の上の鯛」と、どちらが正解か知りたい人も要チェックだ。

「まな板の鯉」とは?

「まな板の鯉」とは、相手にまかせるしかない状態を表すことわざである。以下では、意味・読み方と由来を解説していく。

■ 意味・読み方

「まな板の鯉」を辞書で引くと、意味は以下の通り。

《俎板の上の、料理されるのを待つ鯉の意から》相手の意向や運命にまかせるよりほかに方法のない状態のたとえ。俎板の魚(うお)。俎上(そじょう)の魚(うお)。

引用:デジタル大辞泉(小学館)

上記の通り、「抗ったりせずに待ち、相手の意向や運命にまかせるほかない状態」を意味するのが、「まな板の鯉(読み方:まないたのこい)」である。まさにこれから調理される鯉のように、まな板の上に横たわって絶体絶命の状況を迎えることから来ている。

ちなみに、「まな板の上の鯉」や「まな板の上の鯛」の方が聞きなじみがある人もいるかもしれない。どちらが正解かというと、「まな板の鯉」は「俎上(そじょう)の魚」とも言い換えられ、「俎上」は「まな板の上」を指すことから、意味としてはどちらも間違いではないと言える。

■ 由来と「鯉」を用いる理由

「まな板の鯉」の由来は、上記の通り、まな板に置かれた鯉の様子から来ている。ただし、絶体絶命を迎える鯉の様子には諸説ある。

一つが鯉に限らず、魚はまな板に横たわらせられると覚悟を決めて自然と大人しくなるものだという説だ。

もう一つが、まな板にのせるとジタバタはするが、鯉には水の流れや圧を感知する感覚器(側線)が多く、板前さんがその側線を包丁の裏でなでると失神してしまうことから来ている。いずれも、相手の意の成すままの状態を表すことに違いはない。

「まな板の鯉」の使い方

「まな板の鯉」のことわざは、意味の通り、絶体絶命を表すシーンで使用できる。以下では、例文を交え、使い方を3パターン紹介する。

■覚悟を決める時に使う例文

絶体絶命と知っていたうえで、覚悟を決めて臨んだことを表す例文は以下の通り。

・手術台にのぼったら、あとは先生に身を委ねるのみ。まな板の鯉でいるほかない。

上記では、手術を受けることを前もって知っていて、当日は腹を括って手術台にのぼったことを表現している。相手に身を委ねることを表す時に重宝するだろう。

■絶体絶命の状態を指す例文

まさに絶体絶命の状態だったことを表す例文は以下の通り。

・居眠りから覚めると授業中で、目の前に怖い顔をした先生が立っていた。まな板の鯉とはこのことだ。

授業中の居眠りが先生に見つかるといった、絶体絶命を迎えている例文が上記だ。厳重注意や補習といった、先生の意向に従わざるを得ないことも含んでいる。

■抵抗する気持ちを示す例文

絶体絶命でも諦めず、抗いたい気持ちがあることを表す例文は以下の通り。

・まな板の鯉になってしまうのはあまりにも悔しい。上層部の意向を変えられないか、策を練ってみることにする。

・このままでは、まな板の鯉だ。打開策がないか検討してみよう。

ビジネスシーンでは、通常、上司の決定は絶対である。それでも何とかして抗いたいといった気持ちを表したのが、上記の例文だ。

「まな板の鯉」の類義語

相手に従うしかない状態を表すことわざは、「まな板の鯉」だけではない。以下では、類義語を3つ紹介する。

■「手も足も出ない」

「手も足も出ない」とは、「力が及ばない」「手段が何もない」といった意味を持つことわざだ。「まな板の鯉」のように、施しようがないほど強い相手や困難な状況を表現できる。

■「薬缶で茹でた蛸のよう」

「薬缶で茹でた蛸のよう」とは、「手の打ちようがない」を意味することわざだ。薬缶で蛸を茹でると、まさに手も足も出ない状態に陥ることから来ている。

■「万事休す」

覚悟を決めることの表現として適当なのが、「万事休す」である。「施す手段がなく、おしまい」といった意味を持ち、「まな板の鯉」と同様、腹を括る場面にふさわしいことわざだ。

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